国際機関を通じた協力

令和6年7月27日

 議長、日本政府を代表し、発言を行う機会を頂き感謝申し上げる。「佐渡島の金山」は、世界の他の地域において機械化が進んだ19世紀半ばまでの間に、高度な手工業による採鉱と製錬技術を継続したアジアにおける他に類を見ない事例であり、顕著な普遍的価値を有するものとして世界遺産として登録されたことを光栄に思う。イコモスから示された3つの勧告については、日本政府としてこれら全てに対し、対応を完全に完了した。

 日本は、世界遺産委員会決議の勧告e)に関し、朝鮮半島出身労働者を含め、「佐渡島の金山」の全体の歴史を包括的に扱う説明・展示戦略及び施設を策定すべく、韓国と緊密に対話してきた。

 日本は、全ての世界遺産委員会関連決議及び同決議に関連する自らのコミットメントに留意し、また、「佐渡島の金山」における全ての労働者、特に朝鮮半島出身労働者を誠実に記憶に留めつつ、決議の勧告を忠実かつ完全に履行し、韓国と緊密に協議しながら「佐渡島の金山」の全体の歴史を包括的に扱う説明・展示戦略及び施設を強化すべく引き続き努力していく。

 日本は、そのようなコミットメント及び「佐渡島の金山」に関する韓国との見解の相違を友好的に解決する意欲を示すことを目的として、全ての労働者の過酷な労働環境を説明し、その労苦を記憶に留めるため、現地の説明・展示施設において、全ての労働者に関する新たな展示物を既に展示した。

 「佐渡島の金山」における全ての労働者のための追悼行事も、毎年、現地において執り行われる予定である。

 この機会に、佐渡の現地施設において展示されている要素の一部を簡潔に紹介したい:
 - 戦時中、国家総動員法、国民徴用令及び他の関連措置が朝鮮半島にも導入された。初めに「募集」が、次に「官斡旋」が、日本が設置した朝鮮半島における行政機関である朝鮮総督府の関与の下実施された。1944年9月以降は、「徴用」が労働者に業務を義務付け、違反に対しては懲役又は罰金が科された。
 - また、展示部屋には、朝鮮半島出身の労働者は、削岩、支柱、運搬といった危険な坑内作業に従事する者の割合が高かったことを示すデータもある。さらに、労働条件をめぐって行われた労働争議に関する記録、食糧不足に関する記録、死亡事故に関する記録も残されている。朝鮮半島出身者について、ある1か月の平均稼働日数は28日であったことを示す記録が あるほか、朝鮮半島出身労働者の中には逃走したり収監されたりした者がいたことを示す記録もある。

 議長、委員国の皆様、
 日本政府は、修正決議案を提出してくださったブルガリアを含む世界遺産委員会の全ての委員国、ユネスコ事務局及びイコモスの関係者が、本件遺産の顕著な普遍的価値への理解に基づき世界遺産登録に向け協力してくださったことに対し深く感謝申し上げる。


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