国際機関を通じた協力
世界遺産条約
令和2年1月8日
世界遺産条約の概要
1 正式名称
「世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約」
(Convention Concerning the Protection of the World Cultural and Natural Heritage)
2 成立経緯,発効,締約国
1972年 11月16日 | 第17回ユネスコ総会において採択(於:パリ) |
---|---|
1975年 12月17日 | 発効 |
2020年 1月現在 | 締約国数193か国 |
3 我が国の締結
1992年 6月19日 | 国会承認 |
---|---|
1992年 6月26日 | 受諾の閣議決定 |
1992年 6月30日 | 受諾書寄託 |
1992年 9月30日 | 我が国について発効 |
4 目的
文化遺産及び自然遺産を人類全体のための世界の遺産として損傷,破壊等の脅威から保護し,保存するための国際的な協力及び援助の体制を確立することを目的とする。
5 主要規定
- (1)保護の対象は,記念工作物,建造物群,遺跡,自然の地域等で普遍的価値を有するもの(第1~3条)。
- (2)締約国は,自国内に存在する遺産を保護する義務を認識し,最善を尽くす(第4条)。また,自国内に存在する遺産については,保護に協力することが国際社会全体の義務であることを認識する(第6条)。
- (3)「世界遺産委員会」(委員国は締約国から選出)の設置(第8条)。同委員会は,各締約国が推薦する候補物件を審査し,その結果に基づいて「世界遺産一覧表」を作成するほか,締約国の要請に基づき,同一覧表に記載された物件の保護のための国際的援助の供与を決定する。同委員会の決定は,出席しかつ投票する委員国の三分の二以上の多数による議決で行う(第11条,第13条)。
- (4)締約国の分担金(ユネスコ分担金の1%を超えない額(我が国の場合,2018年は約3,500万円)及び任意拠出金,その他の寄付金等を財源とする,「遺産」のための「世界遺産基金」を設立(第15条,第16条)。
- (5)「世界遺産委員会」が供与する国際的援助は,調査・研究,専門家派遣,研修,機材供与,資金協力等の形をとる(第22条)。
- (6)締約国は,自国民が「遺産」を評価し尊重することを強化するための教育・広報活動に努める(第27条)。
6 世界遺産一覧表記載物件(合計1121件)(2020年1月現在)
- (1)文化遺産:869件
- (2)自然遺産:213件
- (3)複合遺産: 39件
世界遺産委員会
1 概要
世界遺産条約第8条に基づいて設置された政府間委員会。委員会会合が毎年1回6-7月頃に開催される他,特定の問題を解決するために特別会合が不定期で開催される。
2 事務局
ユネスコ事務局世界遺産センター(パリ)
所長:メヒチルト・ロスラー
3 世界遺産委員会における主要議題
- (1)「世界遺産一覧表」及び「危険にさらされている世界遺産一覧表」への記載物件審査
- (2)「世界遺産一覧表」及び「危険にさらされている世界遺産一覧表」に記載された特定物件の保全状況審査
- (3)「世界遺産一覧表」記載物件の保護のための国際的援助要請の審査
- (4)「世界遺産基金」の運用
- (5)広報・啓発活動 等
4 世界遺産委員会委員国
現在の世界遺産委員会委員国は,以下の21か国(任期6年)。但し,現在は,条約の下部規則により任期を4年に短縮し,委員国任期を終えた国は,次の立候補まで6年間空けることとする措置が取られている。
2021年に任期終了 | 2023年に任期終了 |
---|---|
|
|
5 これまでの世界遺産委員会会議開催地
我が国の世界遺産条約締結以降の開催実績は以下のとおりである。
会議 | 開催年月 | 開催地 | |
---|---|---|---|
第16回 | 1992年12月 | サンタフェ | (米国) |
第17回 | 1993年12月 | カルタヘナ | (コロンビア) |
第18回 | 1994年12月 | プーケット | (タイ) |
第19回 | 1995年12月 | ベルリン | (ドイツ) |
第20回 | 1996年12月 | メリダ | (メキシコ) |
第21回 | 1997年12月 | ナポリ | (イタリア) |
第22回 | 1998年12月 | 京都 | (日本) |
第23回 | 1999年12月 | マラケシュ | (モロッコ) |
第24回 | 2000年12月 | ケアンズ | (オーストラリア) |
第25回 | 2001年12月 | ヘルシンキ | (フィンランド) |
第26回 | 2002年6月 | ブダペスト | (ハンガリー) |
第27回 | 2003年6月 | パリ | (フランス) |
第28回 | 2004年6月 | 蘇州 | (中国) |
第29回 | 2005年7月 | ダーバン | (南アフリカ) |
第30回 | 2006年7月 | ビリニュス | (リトアニア) |
第31回 | 2007年6月 | クライストチャーチ | (ニュージーランド) |
第32回 | 2008年7月 | ケベックシティ | (カナダ) |
第33回 | 2009年6月 | セビリヤ | (スペイン) |
第34回 | 2010年7月 | ブラジリア | (ブラジル) |
第35回 | 2011年6月 | パリ | (フランス) |
第36回 | 2012年6月 | サンクトペテルブルク | (ロシア) |
第37回 | 2013年6月 | プノンペン | (カンボジア) |
第38回 | 2014年6月 | ドーハ | (カタール) |
第39回 | 2015年6月/7月 | ボン | (ドイツ) |
第40回 | 2016年7月 | イスタンブール | (トルコ) |
第40回臨時 | 2016年10月 | パリ | (フランス) |
第41回 | 2017年7月 | クラクフ | (ポーランド) |
第42回 | 2018年6月/7月 | マナーマ | (バーレーン) |
第43回 | 2019年6月/7月 | バクー | (アゼルバイジャン) |