北朝鮮

 

平成31年2月13日

国際社会における取組

 拉致問題の解決のためには,我が国が主体的に北朝鮮側に対して強く働きかけることはもちろん,拉致問題解決の重要性について各国からの支持と協力を得ることが不可欠である。政府は,あらゆる外交上の機会をとらえ,拉致問題を提起している。

 北朝鮮による拉致の被害者は,韓国にも多数いることが知られているが,帰国した日本人拉致被害者等の証言から,タイ,ルーマニア,レバノンにも北朝鮮に拉致された可能性のある者が存在することが明らかになっている。このほか,北朝鮮から帰還した韓国人拉致被害者等の証言では,中国人等の拉致被害者も存在するとされている。このように,拉致問題は,基本的人権の侵害という国際社会の普遍的問題である。

1 国際連合

(写真)国連総会において一般討論演説を行う安倍総理
国連総会において一般討論演説を行う安倍総理
(2018年9月)

  • (1)国連においては,我が国は,欧州連合(EU)と共同で,北朝鮮人権状況決議を人権理事会と国連総会の双方に提出してきており,人権理事会では11年連続11回,国連総会では13年連続13回採択されている(2018年10月現在)。
  • (2)2013年3月の人権理事会において,新たに北朝鮮における人権に関する国連調査委員会(COI)を設置することを含む決議が無投票で採択された。国連調査委員会(COI)は,日本,韓国,米国,英国,タイを訪問するなどして拉致問題を含む北朝鮮の人権状況の調査を行い,2014年2月に最終報告書(COI報告書)を公表した。
  • (3)2014年3月の人権理事会にて,COI報告書の内容を反映したこれまで以上に強い内容の決議が賛成多数で採択された。同決議は,北朝鮮の広範で深刻な人権侵害を最大限の表現で非難し,北朝鮮に対して,拉致問題を含む,全ての人権侵害を終わらせる手段を早急に取ることを求めている。また,COI報告書の勧告を踏まえ,安保理が人権侵害に責任を負う者に説明責任を果たさせるよう,適切な国際刑事司法メカニズムへの付託を検討することや,COI報告書のフォローアップをしっかり行うための体制の構築などを要請している。
  • (4)2014年12月,国連総会において,COI報告書及び同年3月の人権理事会における決議の内容を踏まえた,これまで国連総会において採択された北朝鮮人権状況決議よりも強い内容の決議が,過去最多の共同提案国を得て賛成多数で採択された。具体的には,北朝鮮の組織的かつ広範で深刻な人権侵害を非難するとともに,「人道に対する犯罪」に言及し,更に,安保理に対し,北朝鮮の人権状況の国際刑事裁判所(ICC)への付託の検討を含む適切な行動をとるよう促している。
  • (5)その後,北朝鮮人権状況決議に基づき,国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)ソウル事務所の設立(2015年6月),北朝鮮における人権侵害に係る説明責任の問題に重点的に取り組む独立した専門家の指名(2016年9月),ソウル事務所を含む,OHCHRの能力強化の決定(2017年3月)といった,具体的な取組が進められている。2018年3月に人事理事会において採択された北朝鮮人権状況決議においても,OHCHRの能力強化プロセスの加速が求められている。
  • (6)国連安保理においても,2014年12月,人権状況を含む北朝鮮の状況が包括的に議論されて以降,「北朝鮮の状況」に関する国連安保理会合が,4年連続で開催され,我が国から,拉致問題の一刻も早い解決を求めてきている。

2 六者会合


六者会合(2007年9月27日)

 我が国は,六者会合においても,拉致問題を取り上げてきており,2005年9月に採択された共同声明においては,拉致問題を含めた諸懸案事項を解決することを基礎として,国交を正常化するための措置をとることが,六者会合の目標の一つとして位置づけられた。これを受けて,2007年2月の成果文書においては,日朝国交正常化のための作業部会の設置が決定され,10月の成果文書においては,日朝双方が,日朝平壌宣言に従って,「不幸な過去」を清算し懸案事項を解決することを基礎として早期に国交を正常化するため誠実に努力すること,また,そのために日朝双方が精力的な協議を通じて具体的な行動を実施していくことが確認された。ここでいう「懸案事項」に拉致問題も含まれていることは,当然である。

3 多国間の枠組み

(写真)G7シャルルボワ・サミット(2018年6月)
G7シャルルボワ・サミット(2018年6月)

(写真)日中韓サミット(2018年5月)
日中韓サミット(2018年5月)

(写真)日米韓外相会合(2018年7月)
日米韓外相会合(2018年7月)

 日本政府は,G7サミット,ASEAN関連首脳会合等の多国間の枠組みにおいても,拉致問題を提起しており,拉致問題解決の重要性とそのための政府の取組は,諸外国からの明確な理解と支持を得てきている。

 例えば2018年6月のG7シャルルボワ・サミットでは,安倍総理から拉致問題の即時解決に向けて理解と協力を呼びかけ,G7首脳から支持を得た上で,コミュニケにも明確に盛り込まれた。また,9月の国連総会の際にも,安倍総理の一般討論演説等において,全ての拉致被害者の帰国に向け,各国に対して理解と協力を求めた。

4 二国間協議

(写真)トランプ大統領と拉致被害者御家族の面談(2017年11月)
トランプ大統領と拉致被害者御家族の面談(2017年11月)

(写真)日露首脳会談(2018年9月)
日露首脳会談(2018年9月)

(写真)日中首脳会談(2018年9月)
日中首脳会談(2018年9月)

(写真)日韓首脳会談(2018年9月)
日韓首脳会談(2018年9月)

 我が国は,米国,韓国,中国,ロシアを始めとする各国との首脳会談,外相会談等においても拉致問題を取り上げており,各国から我が国の立場への理解と支持が表明されている。

 例えば,トランプ米国大統領は,2017年11月の訪日の際に,拉致被害者の御家族と面会し,御家族の方々の思いのこもった訴えに熱心に耳を傾け,安倍総理との間で,拉致問題の解決に向けて,日米で引き続き協力していくことで一致した。また,トランプ大統領は,安倍総理からの要請を受け,2018年6月の米朝首脳会談において金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長に対して拉致問題を提起したほか,米国は,ポンペオ米国国務長官の訪朝時等,様々な機会に拉致問題を提起している。さらに,韓国についても,2018年4月の南北首脳会談を始めとする累次の機会において,北朝鮮に対して拉致問題を提起している。

 さらに,2018年5月の日中韓サミットにおいては,拉致問題の早期解決に向け,安倍総理から文在寅大統領と李克強(り・こくきょう)国務院総理に支持と協力を呼びかけ,両首脳の理解を得た結果,その成果文書に拉致問題が初めて言及された。さらに,2018年9月の日露首脳会談においても,安倍総理から拉致問題の解決に向けてロシアの協力を呼びかけ,プーチン大統領の理解を得たほか,同月の日中首脳会談においても,拉致問題の早期解決に向けた日本の立場について,習近平(しゅう・きんぺい)国家主席から完全な支持を得た。

北朝鮮に拉致された可能性のある米国人に関する決議案

 米国においては,2016年9月,米国議会下院本会議にて,米国政府に対し,北朝鮮に拉致された可能性のある米国人について,日本,中国及び韓国政府と連携して調査を進めるよう求める決議が採択された。2017年3月には,同様の内容の決議案が米国議会上院に提出され,2018年2月に外交委員会で可決された。日本政府として,引き続き米国議会の動向を注視する考えである。

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