北朝鮮
Q&A
Q1 拉致問題って何ですか?
行方不明事案に対する当局の捜査や、亡命北朝鮮工作員の証言によって、北朝鮮による拉致の疑いが濃厚である複数の事案が明らかになってきたことを受けて、1991年以来、政府は、機会あるごとに北朝鮮に対して拉致問題を提起しました。
北朝鮮は頑なに否定し続けましたが、2002年9月、金正日(キム・ジョンイル)国防委員長(当時)は、小泉総理(当時)との会談において、初めて日本人拉致を認め、謝罪しました。しかし、拉致された日本人のうち、日本に帰国できたのは5名にとどまっています。
5名以外の拉致被害者についても、政府は、その速やかな帰国を、北朝鮮に対して強く要求するとともに、いわゆる特定失踪者も含め北朝鮮による拉致の可能性を排除できない事案に係る関連情報の提供についても、繰り返し要求してきています。
Q2 なぜ北朝鮮は日本人を拉致したのですか?
拉致に関する真相は明らかにされていませんが、北朝鮮が拉致という未曾有の国家的犯罪行為を行った背景には、工作員による日本人への身分の偽装、工作員を日本人に仕立てるための教育係としての利用、北朝鮮に匿われている「よど号」グループ(注)による人材獲得、といった理由があったとみられています。
(注)昭和45年3月31日、日本航空351便(通称「よど号」)をハイジャックした犯人とその家族等の総称。
Q3 北朝鮮は拉致問題を「解決済み」と主張していますが、それは嘘ですか?
これまで北朝鮮は、拉致被害者のうち生存している者は全て日本に帰国させた、残りの拉致被害者は「死亡」又は「入境せず」とし、したがって拉致問題は「解決」したと主張してきました。
しかし、北朝鮮が「死亡」と説明する根拠は極めて不自然で、全く納得のいくものではありませんでした。
2014年5月の日朝政府間協議の合意では、北朝鮮側は、「従来の立場はあるものの」全ての日本人に関する調査を包括的かつ全面的に実施し、最終的に、拉致問題をはじめとする日本人に関する全ての問題を解決する意思を示したところであり、政府としては、引き続き、北朝鮮に対してストックホルム合意の履行を求めつつ、全ての拉致被害者の帰国に向けて全力を尽くしていきます。
Q4 日本には、拉致被害者は何人いるのですか?
政府が、北朝鮮による拉致被害者として認定したのは17名です。このうち5名は、既に帰国を果たしましたが、残りの12名については帰国できていないままです。
また、朝鮮籍の幼児2名が日本国内で拉致されたことも明らかになっています。
このほかにも、拉致の可能性を排除できない方々も多くおられ(注)、政府は、認定の有無にかかわらず全ての拉致被害者を一刻も早く帰国させるように、強く求めています。
(注)北朝鮮による拉致の可能性を排除できない方として、871名(2023年10月現在)に関して国内外からの情報収集や捜査・調査を続けています。
Q5 北朝鮮は拉致を認めたのに、どうしてまだ帰国できない人がいるのですか?
拉致被害者が日本に帰国することにより、スパイ活動やテロ行為への関与など、北朝鮮にとって不都合なことが明らかになることを恐れているためと考えられています。
例えば、金賢姫(キム・ヒョンヒ)北朝鮮元工作員(スパイ)は、1987年11月、日本人になりすまして韓国の航空機を爆破しました。金賢姫元工作員は、拉致被害者(田口八重子さん)から日本語の教育を受けたと証言しています。しかし、北朝鮮はこの事件への関与をいまだ認めておらず、事実が明らかになることを恐れて田口さんを帰国させていないと言われています。
Q6 どうなれば、拉致問題が解決したと言えるのですか?
拉致問題の解決には、以下の三つを実現する必要があります。
- 全ての拉致被害者の安全を確保し、すぐに帰国させること。
- 北朝鮮が、拉致被害の真相を明らかにすること。
- 北朝鮮が、拉致を実行した者を日本に引き渡すこと。
Q7 拉致問題の解決のために、日本政府はどのようなことをしていますか。
我が国は、北朝鮮に対して拉致問題の解決に向けて行動するよう強く要求してきており、例えば、北朝鮮との間の輸出入を禁止するなど、様々な対北朝鮮措置を講じています。
また、二国間会談や国際会議の機会を利用し、各国に対し、理解と協力を求めてきています。
そして、拉致被害者に関する情報収集を行っています。加えて、拉致の可能性を排除できない方々の捜査・調査を行っています。
Q8 日本政府は、拉致問題を解決するために、北朝鮮に対してどのような交渉方針で臨んでいるのですか?
政府の対北朝鮮政策の方針は、日朝平壌宣言に則って、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決するというものです。
拉致問題の解決に向けた今後の対応については、引き続き、北朝鮮に対してストックホルム合意の履行を求めつつ、あらゆる施策を講じ、全ての拉致被害者の一日も早い帰国の実現を目指す考えです。
Q9 拉致問題を国際社会はどのようにみているのでしょうか。
2014年2月に公表された「北朝鮮における人権に関する国連調査委員会(COI)」の最終報告書では、北朝鮮による拉致事案の被害者の出身国は、日本以外にも、韓国、レバノン、タイ、マレーシア、シンガポール、ルーマニア、フランス、イタリア、オランダ、中国といった諸国に及ぶとされています。
拉致問題は、被害者がいる国、いない国を問わず、国際的に追及すべき人権問題であり、2014年12月、国連総会において、上記COI報告書の内容を踏まえた決議が賛成多数で採択され、国連総会及び人権理事会では、毎年、北朝鮮人権状況決議が採択されていることからも明らかであるとおり、国際社会は北朝鮮に対し、拉致問題の早急な解決を要求しています。
Q10 拉致問題の解決のために、私たち国民に何ができるのでしょうか?
これまで国民の皆様から、1,700万筆(2023年11月現在)を超える拉致問題の解決を求める署名を頂いています。
このように、国民一人ひとりから、拉致は決して許さない、そして一日も早く全ての拉致被害者を取り戻すという強い決意が表明されていることは、この問題の解決に向けた力強い後押しとなります。
