フィリピン共和国

日・フィリピン外相会談

平成28年8月11日

英語版 (English)

 本11日,12時10分(現地時間)から約1時間25分間,岸田文雄外務大臣は,訪問中のフィリピン・ダバオにおいて,ペルフェクト・ヤサイ・フィリピン外務大臣(H. E. Mr. Perfecto R. Yasay, Foreign Affairs Secretary, the Republic of the Philippines)とワーキングランチを行ったところ,概要は以下のとおり。フィリピン側からは,ドミンゲス財務大臣及びペルニヤ国家経済開発庁長官が同席した。

1 冒頭

 ヤサイ大臣から,友人である岸田大臣の訪問を歓迎する,外務大臣の再任後に初のとなる公式訪問でフィリピンを訪れていただいたことは意義深く,感謝する,ダバオを訪問した外務大臣は岸田大臣が初めてである,また,フィリピンに対するODAの大部分は日本によるものであり,日本による協力に感謝申し上げたい,今回のご訪問の機会を得て両国関係を発展及び強化させることができ嬉しく思う旨述べた。
 これに対し,岸田大臣から,改めてフィリピンのドゥテルテ新政権の発足に祝意申し上げる,また,リオ五輪でフィリピンが女子ウェイトリフティングで20年ぶりとなる銀メダルを獲得されたことに心からお祝い申し上げたい旨述べた。また,岸田大臣から,外務大臣として初めて訪問したのはフィリピンであり,これは我が国としてフィリピンを重視していることの証左である,昨年11月に続いて3度目の訪問ができて光栄であり,ヤサイ大臣とはラオスのASEAN関連外相会議で初めてお会いして時をおかずして再会できることを大変嬉しく思う旨述べた。さらに,岸田大臣から,本年は両国国交正常化60周年でもあり「戦略的パートナーシップ」の下,基本的価値と多くの戦略的利益を共有する両国の協力関係を更に力強く発展させたい旨述べた。

2 二国間関係

(1)要人往来,海洋安全保障面での協力

 ヤサイ大臣から,本年の国交正常化60周年を祝うにあたり,両国間の要人往来が一層重要性を増すと述べ,記憶に新しい天皇皇后両陛下のフィリピン御訪問昨年11月のAPEC首脳会議の際の安倍総理の御訪問は大変喜ばしい,五輪でのメダル獲得を嬉しく思っている旨述べた。
 岸田大臣から,国交正常化60周年である本年にハイレベルでの交流を密にしたい,ドゥテルテ大統領及びヤサイ大臣の早期訪日を期待する,フィリピンの海洋安全保障能力の向上のため,今月下旬以降,我が国が支援した巡視船が順次マニラに到着し供与される予定である旨述べるとともに,海上自衛隊練習機TC-90の有償貸与等の防衛当局間協力も推進したい旨述べた。
 これに対して,ヤサイ大臣から,海洋安全保障能力の強化に向けた日本の支援に対する謝意の表明があった。

(2)ミンダナオ支援・和平,テロ対策

 岸田大臣から,ミンダナオに対する支援を重点的に行う用意があり,ミンダナオ和平も引き続き支援する,新政権の和平ロードマップの着実な実施を期待する,ODAを通じたJ-BIRD(Japan-Bangsamoro for Reconstruction and Development)による支援についても進めたい旨述べた。また,岸田大臣より,ドゥテルテ新政権の重点分野であるテロ対策協力を強化したい旨述べた。

(3)インフラ整備・ビジネス環境整備等,遺骨収集

 ヤサイ大臣から,インフラ分野を始めとする,日本との間のプロジェクトを前進させていきたい,そのために今回はドミンゲス財務大臣及びペルニヤ国家経済開発庁長官も同席することとしたものである旨述べた。
 岸田大臣から,ODAも活用し,インフラ整備を含む,ドゥテルテ新政権の経済成長を支援する旨表明し,特に首都圏インフラについては,マロロス=ツツバン間の2,400億円規模の鉄道事業(円借款「南北通勤鉄道計画」)の進展を歓迎するとともに,マニラ地下鉄事業の具体化に向けて協力していきたい旨述べた。また,岸田大臣から,日本企業の投資・進出を増加させ,フィリピンの経済成長に貢献したい,そのため,個別の問題の解決を通じてビジネス環境の改善をお願いしたい,日・フィリピン社会保障協定を早期に発効させたい旨述べた。
 また,岸田大臣より,フィリピンにおける遺骨収集を早期に再開したく,そのための協力覚書を早期に署名したい旨述べた。
 ドミンゲス財務大臣から,日本及び日本国民の多大なる支援に深甚なる表明があった他,ペルニヤ国家経済開発庁長官からは,フィリピンに対するODAの35%は日本によるものであり,日本はフィリピンに対する最大の供与国である旨の説明があった。

3 地域情勢

 地域・国際社会の共通の関心事項,特に,南シナ海に関する問題について,法の支配の重要性等について意見交換を行い,先般の比中仲裁判断を踏まえ,紛争の平和的解決に向け,協力関係を強化していくことを確認した。
 また,両大臣は,ASEANや北朝鮮情勢についても意見交換を行い,岸田大臣から,ASEAN設立50周年の来年はフィリピンがASEAN議長国であり,日本として,最大限の支援・協力をする考えであり,緊密に連携していきたい旨述べた。

(注1)J-BIRD(Japan-Bangsamoro Inisiative for Reconstruction and Development)
 元紛争地域に対する人間の安全保障・草の根無償資金協力など経済協力プロジェクトの集中的実施のための事業。

(注2)円借款「南北通勤鉄道計画」
 マニラ首都圏の南北軸の近郊と首都圏を結ぶ「南北鉄道計画」のうち,北方のブラカン州マロロス市から首都圏マニラ市ツツバンまでの約38kmの区間を新たに整備(線路の敷設や車両調達等)するもの(約2,420億円)。マニラ首都圏の交通ネットワークの強化とその深刻な交通渋滞の緩和を図り,もって投資促進を通じた持続低成長及び脆弱性の克服と生活・生産基盤の安定に寄与するもの。2015年11月,日・フィリピン政府間で交換公文の署名が行われた。

(注3)日・フィリピン社会保障協定(PDF)別ウィンドウで開く
 現在,日・フィリピン両国からそれぞれ相手国に派遣される企業駐在員等について,日・フィリピン双方の社会保障制度に二重に加入を義務付けられる等の問題が生じている。本協定により,派遣期間が5年以内の一時派遣被用者等は,原則として,派遣元国の年金制度にのみ加入することとなり,また,両国での保険期間を通算してそれぞれの国における年金の受給権を確立することもできるようになる。2015年11月,日・フィリピン政府間で交換公文の署名が行われた


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