フィリピンを訪問中の岸田文雄外務大臣は,1月10日(木曜日)9時頃(現地時間)から約85分間,アルバート・デル・ロサリオ・フィリピン外務大臣(H.E. Mr. Albert F. del Rosario, Secretary of Foreign Affairs, Republic of the Philippines)との間で日・フィリピン外相会談を行い,続いて11時5分頃から約70分間にわたり,デル・ロサリオ大臣主催昼食会において意見交換を行ったところ,概要は以下のとおりです。
1.冒頭
- (1)デル・ロサリオ大臣から,岸田大臣の外務大臣就任に祝意を表すとともに,昨年12月の台風パブロによる被害に対して日本から寄せられた支援に謝意を表明しました。
- (2)これに対し,岸田大臣から,外務大臣としての最初の訪問国としてフィリピンを訪問でき光栄である旨,また,基本的価値観と多くの戦略的利益を共有するフィリピンとの関係が重要である旨述べ,両大臣は,「戦略的パートナーシップ」を強化していくことで一致しました。
2.二国間関係
- (1)両大臣は,二国間経済関係に関し,ビジネス環境整備等を通じた貿易・投資の拡大,インフラ整備,看護師・介護福祉士の受入れ等につき協力を進めることが重要であることで一致しました。特にインフラ整備については,岸田大臣から,円借款によるLRT(都市高架鉄道)拡張計画(約433億円),新ボホール空港建設計画(約108億円)の支援を表明しました。
- (2)両大臣は,二国間の政治・安全保障面での関係について,「戦略的パートナーシップ」を一層深化させ,次官級戦略対話の早期実施を始めとする政策対話及び海洋分野における協力を強化することで一致しました。また,デル・ロサリオ大臣からは,ミンダナオ和平について,日本のこれまでの積極的な貢献に謝意が表されたのに対し,岸田大臣から,ミンダナオ和平に関する「枠組み合意」署名を歓迎し,最終和平合意に向けて最大限の貢献を行う考えを表明するとともに,バンサモロ自治政府発足に向けた人材育成・コミュニティ開発の分野における支援を検討していく旨表明しました。
3.地域情勢
- (1)ASEAN関連では,岸田大臣から,ASEANの一体性が重要である旨述べ,両大臣は,今後とも日・ASEAN関係の強化に向け,緊密に連携することで一致しました。
- (2)また,両大臣は,南シナ海をめぐる問題について,地域の平和と安定に直結する国際社会全体の関心事項であり,全ての関係国が国連海洋法条約等の関連国際法を遵守することが重要であるとの認識を共有し,引き続き協力していくことで一致しました。
- (3)さらに,北朝鮮の核ミサイル問題の解決に向けてフィリピンと引き続き協力していくことについて一致し,拉致問題の解決の重要性についても一致しました。