
玄葉外務大臣の東南アジア訪問(概要と評価)
平成23年10月17日
1.訪問日程概要(10月11日~15日)
2.全体評価
(1)アジア太平洋地域の安定と繁栄の確保に向けたASEAN主要国との二国間関係の更なる深化
- 3か国の外相との間で個人的な信頼関係を構築。
- 二国間関係のみならず,地域及び国際社会の諸課題で連携(安保理改革,気候変動,中東和平,北朝鮮,ミャンマー等)。
(2)世界経済の原動力たるアジア太平洋地域の活性化と活力の取り込み
- 東日本大震災からの復興の着実な進展。
- インフラ輸出(マレーシア,インドネシアのインフラ整備に対する協力)
- 環太平洋パートナーシップ(TPP)協定交渉に関する意見交換(シンガポール,マレーシア)
(3)地域協力の枠組みを通じた多層的なネットワークの強化
- 東アジア首脳会議(EAS),日・ASEAN首脳会議の成功に向け連携強化。
3.各国外相との会談概要
(1)シンガポール(シャンムガム外相)
ア 二国間関係
- シャンムガム外相に対する訪日招請(外務省賓客)。
- シンガポールからの観光客増加に対する期待を表明。
⇒12日,シンガポール政府は日本への渡航制限の更なる緩和を発表。
- シンガポールが2012年開催予定のASEM原子力安全セミナーを歓迎。
イ 環太平洋パートナーシップ(TPP)
- シンガポール側から,大枠合意前の交渉プロセス参加への期待表明。
ウ 地域・国際情勢
- EAS,日・ASEAN首脳会議,ミャンマー,北朝鮮,国連改革,気候変動等について意見交換。
(2)マレーシア(アニファ・アマン外相)
ア 二国間関係
- マレーシアの「ビジョン2020」を支持。具体的に,スマートコミュニティ,上下水道,ETC等インフラ整備,再生可能エネルギー分野での協力を推進。
- 2012年の「東方政策」30周年に向けて協力を推進,「マレーシア日本国際工科院(MJIIT)」の開校を歓迎。
- マラッカ海峡における航行の安全確保のための協力を確認。
イ 地域・国際情勢
- EAS,日・ASEAN首脳会議,TPP,ミャンマー,北朝鮮,国連改革,気候変動等について意見交換。パレスチナ支援についても協力推進で一致。
(3)インドネシア(マルティ・ナタレガワ外相)
ア 二国間関係
(ア)政治・安全保障面
- 防衛当局間の交流促進,PKO分野における協力推進で一致。
- バリ民主主義フォーラムの枠組みの下,中東諸国の民主化支援に関する協力推進を確認。
(イ)経済面
- 首都圏投資促進特別地域(MPA)構想における連携強化で一致。
- 看護師・介護福祉士候補者受入れ状況の改善に向けた協力継続で一致。
(ウ)文化面
- J-POPなど日本文化に広く触れる機会を増やしていくことで一致。
イ 地域・国際情勢
- 11月のEAS,日・ASEAN首脳会議に向けて緊密な連携を再確認。
- 国連安保理改革,気候変動,中東和平,北朝鮮,ミャンマーについても意見交換。中東和平については,パレスチナ支援に係る連携継続で一致。