外交青書・白書
第2章 地域別に見た外交

3 南部アフリカ地域

(1)アンゴラ

ロウレンソ大統領は3月、新型コロナの感染拡大の早期段階に緊急事態宣言を発令し、国際線の運航停止を含む厳格な規制を導入した。こうした状況の中、日本は、2017年から実施中の技術協力「母子健康手帳を通じた母子保健サービス向上プロジェクト」の一環として保健所にマスクや消毒液などの衛生用品を配布するなどの支援を行った。

(2)エスワティニ

エスワティニは、国王であるムスワティ3世が行政及び立法において圧倒的な権力を有し、絶対君主制を維持している。2018年4月に、国名を「スワジランド王国」から「エスワティニ王国」に変更することを宣言し、同日発効した。2018年にブルキナファソが台湾と外交関係を断絶して以来、アフリカで唯一台湾との外交関係を有する国となっている。

(3)ザンビア

豊富な鉱物資源を有するザンビアは、近年、鉱物依存のモノカルチャー(単一産品)経済から脱却するため、経済の多角化に取り組んでいる。

7月、日本は26億5,400万円を上限として、コッパーベルト州において保健センターを群病院へ改善・格上げするための無償資金協力に関する書簡の交換を行った。

(4)ナミビア

ナミビアは、豊富な海洋・鉱物資源を有しており、南部アフリカ地域の大西洋側の物流ハブとして、資源開発やエネルギー分野における貿易・投資の拡大が見込まれる。

9月、日本は、産業人材育成に向け、職業訓練センターの訓練用機材の整備のための無償資金協力に関する書簡の交換を行った。

(5)ボツワナ

ボツワナは、2013年にアフリカで初めて地上デジタル放送日本方式(ISDB-T方式)を採用し、地上デジタル放送への移行やデータ放送の活用が進められている。4月には、供与額1億5,000万円の日本方式地上デジタルテレビ放送受信機普及のための無償資金協力に関する書簡の交換が行われた。

(6)マラウイ

マラウイは、1964年の独立以来、比較的安定した内政を維持していたが、2019年5月の大統領選挙以降、同選挙の結果に対するデモが頻発した。2020年2月、同選挙の結果を無効とする憲法裁判所の判断により、6月に実施された再選挙でチャクウェラ・マラウイ議会党(MCP)党首が現職を破り大統領に就任した。

(7)南アフリカ

南アフリカは、アフリカで唯一のG20メンバーであり、アフリカの経済大国として、また、ビジネス展開の拠点として、日本企業を含む外国企業から引き続き注目されている。3回目となる国連安保理非常任理事国を2019年から務めており、国際場裡(じょうり)において存在感を示している。

新型コロナの感染拡大を受け、ラマポーザ大統領は国内対策に加え、AU議長としてアフリカにおける対策にも指導力を発揮している。

1月、第7回日・南アフリカ科学技術合同委員会が首都プレトリアで開催され、二国間の科学技術分野での協力関係を確認した。また、12月には茂木外務大臣が南アフリカを訪問し、パンドール国際関係協力相と会談を行ったほか、ラマポーザ大統領からの電話を受けた。

(8)モザンビーク

モザンビークは、ナカラ回廊地域を中心に豊富な天然資源を有しており、2019年には日本企業が同国の天然ガス開発事業への参画を発表するなど、日本企業から高い関心が示されている。一方、2019年後半以降、北部に位置するカーボデルガード州の治安情勢が悪化しており、ニュシ大統領は先進国ドナー諸国及び近隣諸国との連携を模索しつつ、治安対策の強化に努めている。日本は、9月に交換公文に署名をしたWFP経由の食糧援助の一部を同州避難民支援に充てるほか、10月に五つの国際機関と連携した緊急無償資金協力の実施を決定し、地域の平和と安定の実現に向け協力を継続している。

また、1月には三原朝彦AU議連会長代行が総理特使として大統領就任式に出席したほか、12月には茂木外務大臣がモザンビークを訪問し、ニュシ大統領への表敬マカモ外務協力相との会談を行った。

日・モザンビーク外相会談(12月11日、モザンビーク・マプト)
日・モザンビーク外相会談(12月11日、モザンビーク・マプト)

(9)レソト

国土の大部分が山岳高地であり、南アフリカ共和国に囲まれた内陸国であるレソトは、鉱山や水資源開発などによって経済成長を続けている。また、その自然資源を活用して建設されたカッツェダムのダム湖ではトラウト(にじます)の養殖が行われており、日本への主要な輸出品となっている。

日本は、干ばつや熱波、洪水などによって同国の農作物の収穫量が大きく低下していることを受け、9月にWFPを通じた食糧援助のための書簡の交換を行った。

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