2 地域機構
中南米地域にはアジア中南米協力フォーラム(FEALAC1)やラテンアメリカ・カリブ諸国共同体(CELAC2)のほか、以下のような地域枠組みが存在し、様々な課題について政策調整を行っている。11月にはドミニカ共和国で第9回FEALAC外相会合が実施され、日本から鈴木馨祐外務副大臣が出席した。

(1)太平洋同盟
チリ、コロンビア、メキシコ及びペルーから成る太平洋同盟は、オーストラリア、カナダ、ニュージーランド及びシンガポールとの間で包括的自由貿易協定の締結を目指しており、早期の妥結に向け交渉中である。これら4か国に加え、韓国及びエクアドルも交渉参加への関心を表明している。
日本は、基本的価値を共有するグループとして、太平洋同盟との連携を重視しており、7月に開催された第14回太平洋同盟首脳会合の際、今後の日本と太平洋同盟との連携に係る共同宣言及び行動計画文書の交換式を行った。
(2)南米南部共同市場(メルコスール:MERCOSUR3)
メルコスールは、アルゼンチン、ブラジル、パラグアイ、ウルグアイ及びベネズエラ4から成る関税同盟であり、1995年1月から域内関税は一部の品目を除き原則として撤廃されている。また、ボリビアは準加盟国5である。
日本は、2012年以来「日・メルコスール経済関係緊密化のための対話」を計4回開催しており、双方の貿易政策や投資などについて意見交換を行っている。
(3)カリブ共同体(カリコム:CARICOM6)
カリコムは、カリブ地域の14か国による経済統合や外交政策の調整などを目的に設立され、国際場裡で協調行動を取ることで存在感を示している。カリコム諸国は比較的所得水準が高い国が多い一方で、毎年のようにハリケーンによる甚大な被害を受けるなど、自然災害の脅威にさらされているほか、人口・経済規模の小ささから生じる小島嶼(とうしょ)国特有の脆弱(ぜいじゃく)性を抱えている。
日本は、安倍総理大臣が2014年に表明した対カリコム協力の三本柱(小島嶼国特有の脆弱性克服を含む持続的発展に向けた協力、交流と友好の絆(きずな)の拡大と深化、国際社会の諸課題の解決に向けた協力)に基づいた外交を展開しており、所得水準の高い国に対しても各国の開発ニーズや負担能力に応じて必要な協力を行っている。3月のバロン・ドミニカ国外相の訪日、10月のエドモン・ハイチ外相の訪日や、12月のホルネス・ジャマイカ首相訪日などの機会を捉え、各国との関係と共に、日・カリコム関係の強化・深化の重要性などを確認した。

(12月12日、東京 写真提供:内閣広報室)
1 FEALAC:Forum for East Asia-Latin America Cooperation
2 CELAC:Comunidad de Estados Latinoamericanos y Caribeños (Community of Latin American and Caribbean States)
3 MERCOSUR:Mercado Común del Sur (Southern Common Market)
4 2019年12月現在、加盟資格停止中
5 2012年12月加盟議定書に署名し、ブラジルの議会承認待ち
6 CARICOM:Caribbean Community