安倍総理大臣

平成26年7月30日
写真撮影に臨む安倍総理
(写真提供:内閣広報室)
日カリコム首脳会談
(写真提供:内閣広報室)
共同記者発表
(写真提供:内閣広報室)

 7月28日(月曜日)午前8時45分(トリニダード・トバゴ時間。日本時間21時45分),トリニダード・トバゴ訪問中の安倍晋三内閣総理大臣は,カリブ共同体(カリコム)14か国首脳等の参加の下,初の日・カリコム首脳会合を行いました。(カリコム側からの出席者は,10か国の首脳,4か国(バハマ,ベリーズ,ジャマイカ,スリナム)の代理出席(閣僚)及びカリコム事務局長。)
 会議の冒頭,安倍総理は,改めてカリコム諸国との連帯を強調し,3つの柱から成る日本の対カリコム政策を表明しました。続いて,カリコム各国の首脳等との活発な意見交換が行われ,カリコム諸国からは,日本の対カリコム政策を歓迎し,特に,日本の小島嶼国特有の脆弱性についての日本の理解を高く評価するとともに,債務問題,ハリケーン被害,再生エネルギー等において,各国が抱える課題に対して日本の協力への期待が表明されました。

1 日本の対カリコム政策
 安倍総理が表明した日本の対カリコム政策の三本柱は以下のとおりです。

(1)第一の柱は,「小島嶼国特有の脆弱性克服を含む持続的発展に向けた協力」。具体的には,第一に,小島嶼国特有の脆弱性をめぐる国際的な議論に,日本がカリコム諸国と共に積極的に参画していくこと,第二に,日本の技術や知見を活かし,防災,環境,エネルギー,廃棄物処理,水産等の分野において,今後とも支援を充実させていくこと,そして,カリコム諸国が抱える「小島嶼国特有の脆弱性」に鑑み,一人あたりの所得水準とは異なる観点から支援することが重要であり,今後の協力のために調査を実施すること。

(2)第二の柱は,「交流と友好の絆の拡大と深化」。2014年の日・カリブ交流年で高まった交流を,さらに,観光,スポーツ,語学などを通じて深化させ,相互理解を飛躍的に拡大させていく。

(3)第三の柱は「国際場裡における協力」。国際社会の諸課題の解決に向け,協力を深め,共に貢献していくために,同じ価値観を共有するカリコム諸国との政策対話と協力の強化を重視していく。この観点から,日本が「積極的平和主義」の下,世界に貢献していく。

2 続いて行われた討議の中で,安倍総理が表明した第一の柱を中心に活発な意見交換が行われました。
 カリコム各国は,日本のこれまでの支援に感謝するとともに,小島嶼国特有の脆弱性に対する日本の理解を高く評価しました。カリコム各国からは,深刻な債務問題を抱えているが,所得基準により譲許的な資金の提供を受けられないとして,気候変動,ハリケーンなどの自然災害のための基金が必要,債務問題を抱えているため経済発展,生活向上に必要な社会政策,インフラ整備などの国内投資を行う財政余力がない,高額にかさむエネルギーコストへの対処が必要などの課題が提起されました。
 このため,再生エネルギー,省エネルギー,防災などの分野で日本の技術を活かした支援への期待,国際機関のガバナンス改革による途上国の事情を汲んだ融資条件等の策定が重要であり,日本に様々な国際機関においてカリコムの懸念を提起してほしい等の要望がありました。また,日本との貿易・投資関係の強化,日・カリコム首脳会合の定期化の提案等が示されました。

3 これに対し,安倍総理から,自然災害や債務などカリコム諸国の課題について理解が深まった,日本も多くの島嶼を有し,海洋の安全等の共通の課題を有していることが日カリコム関係の原点でもある,より緊密な協議が重要であると述べた上で,日本が小島嶼国の脆弱性の問題について国際場裡でも発言していくこと,提起された協力について検討していくこと,より頻繁な首脳会合の実現を目指していくこと等,カリコム諸国からの問題提起に丁寧に応答しました。

4 安倍総理とカリコム各国首脳は,ルールに基づく国際社会の平和と繁栄の実現にあたり,基本的価値を共有する重要なパートナーであるとの認識で一致しました。また,本年の日・カリブ交流年を契機に,友好・協力関係を更に強化していくことに合意しました。

5 最後に,安倍総理から,本日示した方針に沿って,今年秋の日・カリコム外相会合を始め,要人往来の機会,国際会議の場を利用してカリコム諸国との充実した交流や協力を進めていくと述べた。

<参考>
(カリコム側出席首脳)

ガストン・ブラウン アンティグア・バーブーダ首相(議長国)
フローンデル・スチュワート バルバドス首相
ルーズベルト・スケリット ドミニカ国首相
キース・ミッチェル グレナダ首相
ドナルド・ラモタ- ガイアナ大統領
ミシェル・ジョゼフ・マルテリー ハイチ大統領
デンセル・ダグラス セントクリストファー・ネーヴィス首相
ケニー・アンソニー セントルシア首相
ラルフ・ゴンザルベス セントビンセント及びグレナディーン諸島
カムラ・パサード=ビセッサー トリニダード・トバゴ首相(開催地国)
アーウィン・ラロック カリコム事務局長

(代理出席)

フレドリック・ミッチェル バハマ外相
ウィルフレッド・エルリントン ベリーズ・外務貿易相
ワイカム・マクニール ジャマイカ観光・娯楽大臣
ロバート・アメーラリ スリナム副大統領

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