人権外交

ビジネスと人権

平成31年1月15日

1 経緯

  • (1)2005年,第69回人権委員会は,「人権と多国籍企業」に関する国連事務総長特別代表として,ハーバード大学ケネディスクールのジョン・ラギー教授を任命しました。ラギー特別代表は,各国や市民社会との協議を経て,2008年の第8回人権理事会に「保護,尊重及び救済の枠組」を提出しました。同枠組では,多国籍企業と人権との関係を,(ア)人権を守る国家の義務,(イ)人権を尊重する企業の責任,(ウ)救済措置へのアクセスの3つの柱に分類し,企業活動が人権に与える影響に係る「国家の義務」及び「企業の責任」を明確にすると同時に,被害者が効果的な救済を得るメカニズムの重要性を強調し,各主体が,それぞれの義務・責任を遂行すべき具体的な分野及び事例を挙げています。同枠組は,2008年第8回人権理事会に提出された関連の決議において歓迎(welcome)されました。
  • (2)ラギー特別代表は,「保護,尊重及び救済の枠組」を運用するため,新たに「保護,尊重及び救済の枠組にかかる指導原則」を策定し,同指導原則は,2011年の第17回人権理事会に提出され,関連の決議において支持(endorse)されました。同決議により,新たに専門家で構成される作業部会が設立され,同作業部会は指導原則の普及促進,関係機関とのグッドプラクティスの共有,各国訪問等を行うこととされています。
  • (3)同作業部会は,ビジネスと人権にかかる指導原則の普及,実施にかかる国別行動計画を作成することを各国に奨励しており,これを受け,各国は実情や法令に則した行動計画の策定に着手し,2013年から,英国,イタリア,オランダ,ノルウェー,米国,ドイツ,フランス等を含む20か国以上が既に行動計画を公表しています。2015年のG7エルマウ・サミットにおける首脳宣言には,指導原則を強く支持し,また国別行動計画を策定する努力を歓迎する旨の文言が含まれました。2017年7月のG20ハンブルク首脳宣言においても,我が国を含むG20各国は,「ビジネスと人権に関する国別行動計画」等政策的な枠組みを構築することが求められています。

2 ビジネスと人権に関する国別行動計画

  • (1)我が国は,ビジネスと人権に関する国別行動計画を作成する旨を,2016年11月のビジネスと人権フォーラムにおける政府のステートメント及び持続可能な開発目標(SDGs)実施指針付表において公表しました。2018年6月に行われたSDGs推進本部の第5回会合で決定された「拡大版SDGsアクションプラン2018」及び同年12月に行われた第6回会合で決定された「SDGsアクションプラン2019」には,国別行動計画の策定が記載されました。また,同年6月に閣議決定された「未来投資戦略2018「Society 5.0」「データ駆動型社会」への変革」に,企業行動の原則としての人権の尊重に係る国別行動計画の策定が明記されました。
  • (2)今般,海外での取組事例等の調査を踏まえ,国別行動計画策定の第一段階として,企業活動における人権保護に関する我が国の法制度や施策等についての現状を確認すべく,政府主導にてベースラインスタディ(現状把握調査)を実施する旨決定し,全府省庁間においてその現状を整理及びステークホルダーとの意見交換会を実施(意見交換会の議事概要は以下参照)し,その結果を報告書にとりまとめました。本ベースラインスタディにより,新しい分野である「ビジネスと人権」への関心が高まることが期待されます。
  • (3)新たなるグローバル・スタンダードとなりつつある企業行動における人権の尊重に係る国別行動計画を策定し,我が国企業に先進的な取組を促すことにより,日本企業の活動における人権の保護・促進を推進するとともに,日本企業の競争力の確保及び向上を図っていくことを目的とし,ビジネスと人権に関する国別行動計画の策定に向けて有識者等から意見・提言を求める諮問委員会等及び様々な関係者が集まり,意見交換を実施する作業部会の設置を検討していきます。
  • (4)今後の予定としては,2019年前半に優先分野を特定,後半に国別行動計画の原案作成,そして,2020年半ばに国別行動計画を公表することを目指して取り組んでいきます(スケジュールは作業の状況により変更があり得ます。)。

 現在,国別行動計画に盛り込むべき優先分野・事項を特定し,政策・施策について検討する上で参考とするため,本ベースラインスタディを基礎として,意見を募集しています。詳細は電子政府の総合窓口(e-Gov)別ウィンドウで開くをご覧下さい。

         
ベースラインスタディ意見交換会開催状況(英語概要:English(PDF)別ウィンドウで開く
  日時  
第1回 平成30年3月8日(木曜日) 議事概要
第2回 平成30年4月5日(木曜日) 議事概要
第3回 平成30年4月26日(木曜日) 議事概要
第4回 平成30年5月11日(金曜日) 議事概要
第5回 平成30年5月24日(木曜日) 議事概要
第6回 平成30年6月11日(月曜日) 議事概要
第7回 平成30年6月28日(木曜日) 議事概要
第8回 平成30年7月6日(金曜日) 議事概要
第9回 平成30年7月30日(月曜日) 議事概要
第10回 平成30年8月31日(金曜日) 議事概要

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