アジア欧州会合(ASEM)
アジア欧州会合(ASEM)第13回外相会合



11月20日~21日,ミャンマー(ネーピードー)にて,第13回アジア欧州会合(ASEM)外相会合(FMM13)が開催され,我が国より中根一幸外務副大臣が出席した。51か国・2機関の外相又はその代理が一堂に会し,「平和と持続可能な開発とのシナジー」(全体会合第1セッション),「ASEM20周年と次の10年間:よりダイナミックかつ連結したASEMパートナーシップへ」(全体会合第2セッション)及び「国際・地域情勢」(リトリート)に関して議論が行われ,議長声明(英語(PDF) / 仮訳(PDF)
)が発出された。概要はそれぞれ以下のとおり。
また,この機会に,ミャンマー政府主催のラカイン州北部情勢に関する閣僚級非公式ブリーフィングが行われ,中根外務副大臣が出席した。更に中根外務副大臣は,アウン・サン・スーチー国家最高顧問との立ち話に加え,ホスト国であるミャンマーのミン・アウン・フライン国軍司令官,チョウ・ティン・スエ国家最高顧問府大臣との会談,ハンガリー,ラオス,カンボジア,バングラデシュの外相,スロベニア,リトアニア,ポルトガルの副外相と会談を行い,また,英国,フランス,オランダ,インド,シンガポールの外相・閣外大臣等と懇談を行うなど,合計16の外相・副外相等と意見交換を行った。
1 全体会合第1セッション「平和と持続可能な開発とのシナジー」
(1)冒頭,議長であるアウン・サン・スー・チー国家最高顧問から,SDGsの達成は平和の達成に不可欠であり,まだ問題の解決のためには相互理解が重要である等述べた。それに続き,アジア及び欧州地域のそれぞれの議長国であるフィリピン,パキスタン,EUの代表から発言があった。多くの国から,国際法やルールに基づいた国際秩序の重要性,北朝鮮問題等の現在の国際安全保障課題,SDGsの重要性,ASEMにおける協力の重要性等について言及があった。
(2)中根外務副大臣からは,全体会合第1セッションの3番目のリードスピーカーとして,アジアと欧州の連結性という観点からも重要な「自由で開かれたインド太平洋戦略」について説明を行い,アジア太平洋からインド洋を経て中東・アフリカ,そして欧州にいたるインド太平洋地域を自由で開かれたものにすることの重要性を訴えた。
北朝鮮問題については,今は国際社会全体で北朝鮮に対する圧力を最大限まで高めるべき時であること,また,拉致問題への理解と協力を要請した。
海洋安全保障については,いかなる地域でも法の支配に基づく自由で開かれた海洋秩序が重要であることを再度強調し,また南シナ海問題については,実効的な南シナ海における行動規範(COC)の早期策定などの取組によって緊張が緩和され,非軍事化が進展することを強く期待する旨述べた。
(3)この他,中根外務副大臣から,日本がASEMの枠内で来年に主催することを予定している「ASEM連結性・質の高いインフラに関するセミナー(仮)」及び,日本がアジア欧州財団(ASEF)と共催して来年に開催予定のユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)及び薬剤耐性菌をテーマとする「ASEF パブリックヘルスネットワーク2018」について紹介し,各国からの参加を呼びかけた。
2 全体会合第2セッション「ASEM20周年と次の10年間:よりダイナミックかつ連結したASEMパートナーシップへ」
(1)冒頭,議長であるアウン・サン・スー・チー国家最高顧問から導入の発言があった後,各国から発言。多くの国から,アジアと欧州の連結性強化の重要性,率直な対話と協力を議論する場としてのASEMの重要性,サイバーやテロ対策での協力等について発言があった。
(2)中根外務副大臣は,ASEMにおける連結性強化のための具体的取組として,質の高いインフラの推進の取組,日本がインドネシアと共催して来年前半に実施予定の「ASEM観光促進シンポジウム」,日EU経済連携協定(EPA)等の自由貿易の意義について説明し,各国に協力を呼びかけた。
3 国際・地域情勢(リトリート)
(1)テロ対策やサイバーセキュリティ等の新たな安全保障課題,北朝鮮問題や南シナ海を含む海洋安全保障,ラカイン州北部の情勢,中東情勢等の地域情勢,難民問題等につき議論が行われるとともに,法の支配の重要性や国際法に基づいた紛争解決の重要性について改めて指摘がなされた。
(2)中根外務副大臣からは,北朝鮮問題に係る我が国の立場について更に説明し,各国に働きかけるとともに,暴力的過激主義及びサイバーセキュリティについて我が国の取組を紹介し,ASEMにおける協力を呼びかけた。