G20(金融・世界経済に関する首脳会合)

平成30年5月21日

 5月20日(日曜日)及び21日(月曜日),G20外相会合がブエノスアイレス(アルゼンチン)において開催され,我が国からは河野太郎外務大臣が出席した。G20メンバーに加え,招待国(スペイン,チリ,オランダ,ルワンダ,シンガポール,セネガル,ジャマイカ)が参加した。
 同会合では,「G20の貢献,期待及び性質(ワーキングディナー)」,「マルチラテラリズムとグローバルガバナンス(第1セッション)」,及び「公正で持続可能な開発のための行動(第2セッション)」の議題のもと議論が行われ,会合終了後には,本年議長国のアルゼンチン,昨年議長国のドイツの外相と共に合同記者会見が行われたところ,概要以下のとおり。なお,共同記者会見の場で,河野大臣から,明年のG20外相会合を明年11月22,23日に愛知県名古屋市で行うことを発表した
 また,本会合の機会を捉えて,河野大臣は,英国,オランダ,インドネシア,南アフリカ,及び豪州との間でバイ会談を実施し,二国間関係や国際場裏における問題について意見交換を行った。

1 各セッションの概要

(1)ワーキングディナー

(ア)各国・国際機関の代表本人のみが出席し,自由かつ率直な意見交換が行われた。冒頭,フォリー亜外相から,G20において外相会合が果たす役割も増加してきていると考える旨が述べられた後,テクノロジーの進化に伴い不確実となってきている時代における幅広い議論の重要性が強調された。

(イ)その後,G20トロイカとしてフォリー外相から発言を促され,河野大臣から,TPP11WTO等に言及しつつ自由貿易の重要性について言及した。さらに,AIやロボティクスといったイノベーションの推進や人材のプールの拡大により,人口減や高齢化に直面する国も包摂的に成長していく機会が創出される旨言及。その後,テロの問題,アフリカにおける制度枠組み構築の重要性等に触れた上で,G20の場が,異なる意見を理解し相互に協力していく場として機能している点を強調した。

(ウ)トロイカである日本,ドイツの発言の後,他の出席者からは,サイバー,ベネズエラや北朝鮮等の地域情勢問題の重要性についても累次指摘がなされた。

(2)第1セッション:マルチラテラリズムとグローバルガバナンス

(ア)冒頭,フォリー亜外相から,G20が2008年以降の10年間で行ってきたことを振り返るべきタイミングである旨述べた。また,同大臣は,マルチラテラリズムの重要性について言及した上で,マルチラテラリズムには柔軟性も求められている旨言及した。

(イ)河野大臣からは,マルチラテラリズムの重要性を指摘し,マルチラテラルな枠組としての国連の重要性に言及した上で,国際社会の現実を反映していない安保理の改革の必要性について指摘した。また,NPTを中心とする国際的な核軍縮・核不拡散体制の維持・強化や,CTBTの早期発効の必要性について触れた上で,通常兵器の適正な国際貿易,腐敗対策,サイバー気候変動分野でのマルチラテラルな取組の必要性を述べた。

(ウ)他の出席者からも,マルチラテラリズムの重要性に関する発言が相次ぎ,安保理改革を含む国連改革の必要性,WTOを中心とする自由貿易体制の強化の必要性,マルチラテラルな取組を通じた北朝鮮問題への対応の重要性,サイバーや移民問題といった新たな課題や化学兵器対策の必要性等について指摘がなされた。

(3)第2セッション:公正で持続可能な開発のための行動

(ア)全体を通して,仕事の未来,開発のためのインフラ,食料安全保障に関してG20がとるべき行動等について,活発な意見交換が行われた。

(イ)河野大臣からは,会議の締めくくりに,G20では,持続可能な未来の創出に向けた方策につき議論すべきである旨強調した上で,高齢化問題解決のための鍵となる要素は革新及び開放性である,公平な社会のためには民主主義を伴った開発が必要,SDGs達成のためには金融取引税を含む国際連帯税の活用も一案である,インフラについては開放性や平和利用を含む質が極めて重要である等の点についても指摘した。また,G20において,経済だけでは解決できない問題等についても議論することは重要である旨強調した。また,第一セッションのテーマに関連し,北朝鮮の核・ミサイル開発問題は,国連を通じたマルチラテラリズムの重要性を実証するもの,NPT体制に対する重大な挑戦である北朝鮮の核・ミサイル開発については,CVIDが不可欠,IAEAも活用する必要がある,北朝鮮のCTBT署名・批准も必要である旨述べた。さらに,明年愛知県名古屋市で開催されるG20外相会合での議論を楽しみにしている旨述べた。

(ウ)その他の出席者からは,気候変動を含む環境への配慮,デジタル・ジェンダー・デバイドへの対応,インフラ分野における民間資金動員,アフリカとのコンパクトの実施の重要性等につき指摘がなされた。

2 共同記者会見

  • 共同記者会見へ向かう様子
     
  • フォリー外相とマース外相と河野外相が会話をしている様子
     
  • フォリー外相とマース外相と河野外相の共同記者会見を行っている様子
     

 河野外相は,G20ブエノスアイレス外相会合閉幕後,今回のG20外相会合の議長をつとめたフォリー・アルゼンチン外相及び昨年のG20議長国をつとめたドイツのマース外相と共にトロイカ・メンバーとして共同記者会見に出席した。

 河野大臣からは,明年のG20外相会合を議長国年の締めくくりとして,11月22,23日に愛知県名古屋市にて開催することを発表するとともに,明年の外相会合では,本年のアルゼンチン議長国下で達成される成果を基に,グローバル化による格差拡大への声にも正面から向き合いながら,世界経済の持続的かつ包摂的な成長と安定,また,グローバルな諸課題への取組を主導すべく力強いリーダーシップを発揮していく旨の抱負を述べた。

 


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