日本の領土をめぐる情勢

平成23年3月1日

北方領土 Northern Territories

我が国国民の北方領土入域問題について

平成10年4月17日
閣議了解

我が国国民の北方領土への入域については、政府は、「我が国国民の北方領土入域問題について」(平成元年9月19日閣議了解)により、北方領土問題の解決までの間、これを行わないよう、国民に対し要請してきたところである。

政府は、平成3年10月14日付け日ソ両国外相間の往復書簡により、領土問題の解決を含む日ソ間の平和条約締結問題が解決されるまでの間、相互理解の増進を図り、もってそのような問題の解決に寄与することを目的として、かつ、いずれの一方の側の法的立場をも害するものとみなしてはならないとの共通の理解の下に、我が国国民の北方領土への訪問を、旅券・査証なしで行うこと等を内容とする枠組みを設定した。この関連で、政府としては、このような趣旨を踏まえれば、当分の間、この枠組みの下での北方領土への訪問は、北方領土に居住していた者(これに準ずる者を含む。)、北方領土返還要求運動関係者及び報道関係者で、総務庁長官及び外務大臣が適当と認めるものが総務庁長官及び外務大臣が定める手続に従い、団体で実施されることが必要であると考え、平成3年10月29日付け「我が国国民の北方領土への訪問について」の閣議了解を行った。

その後、平成5年10月13日付けの日露関係に関する東京宣言第2項において、両国政府は、北方領土問題を歴史的・法的事実に立脚し、両国の間で合意の上作成された諸文書及び法と正義の原則を基礎として解決することにより平和条約を早期に締結するよう交渉を継続し、もって両国間の関係を完全に正常化すべきことに合意し、また、上記の往復書簡により設定された枠組みの下で行われてきている歯舞群島、色丹島、国後島及び択捉島の北方四島に現に居住している住民と日本国の住民との間の相互訪問を一層円滑化することをはじめ、相互理解の増進へ向けた一連の措置を採ることに同意した。さらに、我が国国民の北方領土への訪問を旅券・査証なしで行うこと等を内容とする前記の枠組みは、平成4年に開始されて以来過去の6年間順調に発展し、北方領土問題解決のための環境整備の一環として相互理解の増進を図る上で相当の役割を果たしてきた。

以上を踏まえ、政府としては、この枠組みによる訪問を更に拡充することとした。このため、当分の間、この枠組みによる北方領土への訪問は、前記の者に加え、この訪問の目的に資する活動を行う専門家で、総務庁長官及び外務大臣が適当と認めるものにより、総務庁長官及び外務大臣が定める手続に従い、団体で実施されることとする。

北方領土への入域は、今後とも、本件枠組みの下での訪問及び昭和61年7月2日付け日ソ双方の口上書に基づく墓参のための訪問のみとし、これら以外の北方領土への入域については、引き続き前記平成元年9月19日付け閣議了解に従って対処するよう国民各位の理解と協力を要請する。

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