インド

平成27年12月13日
モディ首相による歓迎をうける安倍総理大臣
(写真提供:内閣広報室)
日印首脳会談
(写真提供:内閣広報室)

 12月12日(土曜日)11時頃から12時頃まで,ニューデリーにおいて,安倍総理大臣は,インドのモディ首相と日印首脳会談を行ったところ,概要以下のとおり。なお,会談終了後,両首脳は「日印新時代」の道しるべとなる共同声明「日印ビジョン2025 特別戦略的グローバル・パートナーシップ,インド太平洋地域と世界の平和と繁栄のための協働日本語英語骨子(PDF)別ウィンドウで開くファクトシート:日印,平和と繁栄のための協働仮訳(PDF)別ウィンドウで開く英文(PDF)別ウィンドウで開く))に署名しました。

共同声明署名式
(写真提供:内閣広報室)
共同記者発表
(写真提供:内閣広報室)

1 冒頭

 モディ首相より,安倍総理のインド訪問を歓迎,日印関係は一段上のレベルに上がっている,強いインドと日本はお互いにとって重要であり,その友好関係はアジア全体に大きな影響を及ぼす旨述べました。
 これに対し安倍総理より,日印関係は「世界で最も可能性を秘めた二国間関係」であり,モディ首相と協力して,日印関係を可能性のつぼみから,現実に開花させて咲き誇る関係にして,日印新時代の幕開けを迎えたい,強いインドは日本のためになる,強い日本はインドのためになる,強固な日印関係でインド・太平洋地域,さらには国際社会の平和と繁栄を牽引していきたい旨述べました。

2 政治・安全保障

(1)平和安全法制

 安倍総理より,先般成立した「平和安全法制(PDF)別ウィンドウで開く」は「積極的平和主義」の具体的実践であり支持をお願いしたい旨述べたところ,モディ首相より,平和安全法制の成立に向けた安倍総理のリーダーシップを評価すると共に,インドとしても同法制を支持する旨述べました。

(2)安全保障協力

 モディ首相より,海洋安全保障は大きな課題になっており,日印で海洋監視能力の強化や情報交換を進めていきたい,南シナ海については,G20やASEANでも強いメッセージを発出したようにインドとしても懸念しており,日印共通の大きな課題,国際法に基づく平和的解決を期待する,また米印海洋合同演習「マラバール」に日本を継続的に招待していきたい旨述べました。
 安倍総理より,防衛装備品及び技術移転協定和文(PDF)別ウィンドウで開く英文(PDF)別ウィンドウで開く)と,情報保護協定和文(PDF)別ウィンドウで開く英文(PDF)別ウィンドウで開く)の署名を歓迎,「マラバール」への日本の恒常的参加は有意義であり,「JAI」の協力を進めたい旨述べました(注;日米印の頭文字「JAI」はヒンディー語で勝利を意味し,過去の首脳会談でモディ首相から提案したもの)。これを受けて,モディ首相より「JAI」の協力として,地域連結性や人道支援・復興救済(HA/DR)を日印米で進めていきたい旨の発言がありました。

(3)原子力協力

 モディ首相より,原子力協力が今回合意に至ったことは喜ばしい,日本企業にとっても大きなビジネス・チャンスになる旨述べました。これに対して安倍総理より,日本は,核実験の一方的かつ自発的なモラトリアムに関するインドのコミットメントが維持されていることを評価,今後原子力協力を進めていく上で,軍縮・不拡散の分野での協力を深めていきたい,我が国が積極的に取り組んできている,「核兵器のない世界」の実現という目標は既にインドと共有している,日本はNPT普遍化,CTBT早期発効,FMCTの早期交渉開始を重視しており,これらの点についても対話を続けていきたい旨述べました。

原子力の平和的利用における協力のための日本国政府とインド共和国政府との間の協定に関する覚書仮訳(PDF)別ウィンドウで開く英文(PDF)別ウィンドウで開く

3 経済・経済協力

(1)高速鉄道

 モディ首相より,高速鉄道はインドにとって政治的にも非常に大きな話であるが,今回採用の決定に至った,高速鉄道はそれ自体が触媒となり,インド経済全体に大きな影響を及ぼすものである,メイク・イン・インディアへの貢献を期待する旨述べました。
 安倍総理より,新幹線システム導入の決断に感謝,新幹線は,その安全性,正確性という意味において,世界の高速鉄道の中でも群を抜いている,この新幹線システムがインドの他の高速鉄道路線にも導入されていくことを強く期待する旨述べました。

(2)ビジネス環境

 安倍総理より,モディ首相が進める改革イニシアティブを支持するとともに,日本企業のビジネス機会を後押しするため,NEXIとJBICにより,インド進出日本企業向けに1.5兆円の金融ファシリティを設けること,今年度約4,000億円規模のODAが見込まれており,インドにおける「質の高いインフラ」の整備に貢献すること,日本工業団地周辺のインフラ整備等,特別な政策パッケージを用意すると共に,適正かつ予測可能な税務執行もお願いしたい,「アクト・イースト」と「質の高いインフラ」のシナジーにより,南アジアと東南アジアを結ぶ戦略的な連結性の支援を協力していきたい旨述べました。
 モディ首相より,インドの改革を支持いただき感謝,ビジネス機会促進のためのご提案について何ができるか検討したい,グジャラート州首相時代の経験からも,インドには質の高いインフラが必要であり,日本の高いレベルの技術移転に期待,これらは日印のビジネス・コミュニティにも大きな励みになる旨述べました。

4 各種交流

(1)人材交流

 安倍総理より,日印関係の裾野を広げるためには人材交流が重要,「スキル・インディア」に貢献するためにも,今後5年間で1万人のインド人留学生や短期招聘の実現を目指す旨述べました。これに対し,モディ首相より,本件イニシアティブは若者全体に良い影響を及ぼすものであり感謝する旨述べました。

(2)査証

 モディ首相より,来年3月より,ビジネス関係者を含め日本人全員を対象にしたインド到着時の数次査証発給が行われる予定である旨述べました。

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