ベトナム社会主義共和国
日・ベトナム首脳会談

(写真提供:内閣広報室)

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本31日,午後6時15分から約60分間,安倍晋三内閣総理大臣は,国賓として訪日中のチャン・ダイ・クアン・ベトナム社会主義共和国主席(H.E. Mr. Tran Dai Quang,President of the Socialist Republic of Viet Nam)と首脳会談を行ったところ,概要は以下のとおりです。会談には河野太郎外務大臣,石井啓一国土交通大臣,西村康稔内閣官房副長官,野上浩太郎内閣官房副長官,薗浦健太郎総理補佐官,衛藤晟一総理補佐官他が同席しました。また,会談後,両首脳は,日越共同声明(仮訳(PDF)/英文(PDF)
)を発出するとともに,協力文書の署名・交換に立ち会い,共同記者発表を行いました。
- 署名式に立ち会う両首脳
(写真提供:内閣広報室) - 署名式に立ち会う両首脳
(写真提供:内閣広報室) - 共同記者発表
(写真提供:内閣広報室)
1 冒頭
(1)安倍総理大臣から,クアン国家主席の国賓としての訪日を心から歓迎,昨年11月のダナンでのAPEC以来の再会を嬉しく思う旨述べ,本年は外交関係樹立45周年であり,昨年の天皇皇后両陛下の御訪問及び今回のクアン国家主席の訪日を始め,多くの記念行事が盛大に行われており,両国間の素晴らしい友好が示されている,今般のクアン国家主席の訪日を機に,あらゆる分野で両国関係を更に発展させていきたい旨述べました。
(2)クアン国家主席から,今次訪問における日本政府,天皇皇后両陛下及び国民からの心温まるおもてなしに心から感謝する,外交関係45周年という友好感あふれる雰囲気の中,両国関係の新たな発展段階を切り開いていくため,その方向性や協力分野につき意見交換したい旨述べました。
2 二国間関係
(1)安倍総理大臣から,クアン国家主席が昨年のダナンでのTPP首脳会合で共同議長を務めたことに謝意を表し,引き続きTPP11の早期発効に向けて両国が協力したい旨述べました。また,ベトナムの持続的成長のため,国際スタンダードに則った質の高いインフラ整備,産業競争力強化,人材育成等を力強く支援する旨述べ,職業訓練に円借款を供与する方針を伝えました。さらに,日越大学,高専教育モデルの活用,アジア健康構想の下での協力など,国民生活に直結する協力を広げていきたい,日本語教師育成や,文化・スポーツ交流,人的交流を促進したい旨述べました。その他,刑事共助条約及び受刑者移送条約の正式交渉を開始したい旨述べました。
(2)クアン国家主席から,日本はベトナムにとって長期的かつ最重要のパートナーである,引き続き活発な要人往来を通じて政治的信頼を強化したい旨述べました。
防衛・安全保障の分野について,実質的な協力を幅広い分野で進めていきたい,両国の防衛当局間の「共同ビジョン声明」に基づき協力を進展させ,サイバー,人材育成,PKO,ダイオキシン除去,海上法執行能力の強化,海洋政策の立案等で協力をお願いしたい旨述べました。
日本からのODAはベトナムの経済・社会発展に大きく貢献してきた,大規模インフラ整備,製造業・裾野産業,気候変動対策,農業等の分野を中心に,引き続きODAによる支援をお願いしたい,今後も日本からのODAを効果的に活用したい旨述べました。
外交関係樹立45周年に際し,文化交流や人的交流が深まっていることを喜ばしく思う,観光や地方間交流を含め,更なる友好関係の発展に共に取り組みたい旨述べました。
(3)安倍総理大臣から,「自由で開かれたインド太平洋戦略」の下,本年の日・メコン首脳会議も見据え,海洋安全保障や連結性強化の協力を一層具体化したい旨述べました。これに対し,クアン国家主席から,地域の平和,安定,発展に資する取組を歓迎する旨述べました。
3 地域・国際情勢
(1)安倍総理大臣から,北朝鮮問題について,米朝首脳会談が,拉致,核,ミサイル問題の包括的な解決に向けて前進する機会となることへの期待を表明し,両首脳は,関連安保理決議を完全に履行していく必要があるとの認識で一致しました。また,拉致問題の早期解決に向けた協力も確認しました。
(2)両首脳は,南シナ海問題について,外交的取組が非軍事化につながり,国際法の完全な遵守及び平和で安定した南シナ海の実現に貢献することが重要との認識を共有しました。安倍総理大臣から,ベトナムの外交努力を支援する旨述べました。クアン国家主席からは,ベトナムが本年8月からASEAN対日調整国となる,日本との連携を一層緊密にしたい旨述べました。
(3)両首脳は,安保理非常任理事国選挙への立候補を相互に支持することを改めて確認しました。
- 総理主催晩餐会で挨拶する安倍総理大臣
(写真提供:内閣広報室) - 総理主催晩餐会で挨拶する安倍総理大臣
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