アジア

令和元年11月4日
(写真1)日・メコン首脳会議での写真撮影に臨む安倍総理大臣(写真提供:内閣広報室) 日・メコン首脳会議での写真撮影に臨む安倍総理大臣
(写真提供:内閣広報室)
(写真2)日・メコン首脳会議での写真撮影に臨む安倍総理大臣(写真提供:内閣広報室) 日・メコン首脳会議での写真撮影に臨む安倍総理大臣
(写真提供:内閣広報室)
(写真3)日・メコン首脳会議(写真提供:内閣広報室) 日・メコン首脳会議
(写真提供:内閣広報室)

 11月4日(月曜日),20時40分(現地時間)から約60分間,タイ・バンコクにおいて,第11回日本・メコン地域諸国首脳会議(日メコン首脳会議)が開催され,我が国から安倍晋三内閣総理大臣が出席し,プラユット・ジャンオーチャー・タイ王国首相と共に共同議長を務めたところ,概要は以下のとおりです(メコン地域諸国からの出席者は末尾のとおり。)。
 本会議では,共同声明英文(PDF)別ウィンドウで開く / 仮訳(PDF)別ウィンドウで開く )に加え,「2030年に向けたSDGのための日メコン・イニシアティブ英文(PDF)別ウィンドウで開く / 仮訳(PDF)別ウィンドウで開く / 概要(PDF)別ウィンドウで開く)」が採択されました。

1 冒頭

(1)共同議長であるプラユット・タイ首相から以下を述べました。
 第11回日メコン首脳会議を開催できることを嬉しく思う。今次会議では,昨年の首脳会議で採択した「東京戦略2018(PDF)別ウィンドウで開く」の下での日メコン協力をレビューし,今後の日メコン協力の方針について議論したい。日本がACMECS(エーヤワディー・チャオプラヤー・メコン経済協力戦略)開発パートナーとなったことを歓迎する。今次会議で「2030年に向けた日メコンSDGsイニシアティブ」が採択されることを歓迎する。東京戦略2018と2030年に向けた日メコンSDGsイニシアティブに沿って日メコン協力を着実に実施していきたい。

(2)共同議長である安倍総理から以下を述べました。
 昨年採択した「東京戦略2018」に基づく協力の1年目であり,この1年間メコン諸国の発展を力強く支援してきた。日本は共同議長であるタイのリーダーシップとメコン諸国の主体的取組を,日本として全面的に支持し,引き続き後押ししていく。「2030年に向けた日メコンSDGsイニシアティブ」は,メコン地域の持続可能な発展を後押しすると同時に,日本とメコン地域との間の「戦略的パートナーシップ」を象徴するもの。日本は、メコン諸国の人々と社会に寄り添いながら、メコン諸国自身の取組を後押しすることで、互いに高め合うパートナーシップを築いていく。

2 日メコン協力の進展

(1)安倍総理から以下を述べました。

 「2030年に向けた日メコンSDGsイニシアティブ」の目標は「メコン地域の潜在力を最適な形で引き出す」こと。国際スタンダードに則った質の高いインフラ投資も活用しながら,(1)環境・都市問題,(2)持続可能な天然資源の管理・利用,(3)包摂的成長,の3つの分野を優先分野として取り組みたい。各分野での取組を通じ,(ア)地域と社会の強靱性を高め,(イ)地域の成長力を維持・強化し,(ウ)社会の発展を一人一人の人生の「豊かさ」につなげていく。
 特に,(ア)環境・都市問題については,G20大阪サミットで採択された「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」をメコン各国と共有した上で,海洋プラスチックごみによる新たな汚染を2050年までにゼロにすることを共に目指したい。(イ)持続可能な天然資源の管理・利用については,水資源管理が開かれた枠組で行われることが重要であり,メコン河委員会との連携を強化していく。(ウ)包摂的成長については,教育・人材育成についてG20持続可能な開発のための人的資本投資イニシアティブ,産業人材育成協力イニシアティブ2.0の下での取組を進めることに尽力したい。これらの取組を地域横断的,かつ開放的なアプローチにより,官民連携で進める。また,これまで官民合同で実施してきたグリーン・メコン・フォーラムを,来年から日メコンSDGsフォーラムに格上げする。
 「東京戦略2018」の下でのプロジェクトの進捗について,本年は,カンボジアのシハヌークビル港開発ラオスの国道9号線橋梁改修ミャンマーのティラワ港拡張など,地域の連結性向上に貢献するプロジェクトを着実に実施してきた。また,本年9月にメコン産業開発ビジョン2.0を策定し,デジタル化等の新しい流れにも対応。
 「日メコン交流年2019」として日本とメコン諸国において120件以上の文化・交流イベントを実施・認定した。長く重層的な友好関係を土台に,新時代の交流が花開いた一年であったと高く評価。特に,「文化のWAプロジェクト」について、メコン各国首脳の皆様からも高い評価をいただき感謝。このような有意義な事業を引き続き活用し,メコン各国との交流を更に深めていきたい。

(2)これに対し,共同議長国タイを始めとしたメコン諸国より,概要以下の発言がありました。
 日本によるメコン地域への継続的な支援に感謝する。「東京戦略2018」の下で確実に日メコン協力が進展していることを評価する。日本がACMECS開発パートナーとなったことを歓迎する。メコン地域の持続可能な成長のため,エネルギー,水資源管理,人材育成等の分野での協力が今後進展することを期待する。「日メコン交流年2019」のもとで人的交流が促進したことを歓迎する。

3 地域・国際情勢

 安倍総理から,北朝鮮情勢や南シナ海問題を含む地域情勢についても言及しました。北朝鮮情勢については,安倍総理から安保理決議の完全な履行の重要性を述べ,また拉致問題の早期解決に向け理解と協力を求めました。メコン諸国の首脳からは,平和と安定が地域の発展に不可欠であるとしつつ,北朝鮮問題に関する懸念を共有する旨の発言があり,拉致問題に理解を示す旨の発言がありました。

4 その他

 最後に,日メコン双方の首脳は,来年,ベトナムで開催されるASEAN関連首脳会議の機会に,次回の日メコン首脳会議を開催することを確認しました。

(参考)メコン地域諸国からの出席者

タイ王国(共同議長)プラユット・ジャンオーチャー首相(H.E. General Prayuth Chan-o-cha, Prime Minister of the Kingdom of Thailand)
カンボジア王国フン・セン首相(Samdech Akka Moha Sena Padei Techo HUN SEN, Prime Minister of the Kingdom of Cambodia)
ラオス人民民主共和国トンルン・シースリット首相(H.E. Dr. Thongloun SISOULITH,Prime Minister of the Lao People's Democratic Republic)
ミャンマー連邦共和国アウン・サン・スー・チー国家最高顧問(H.E. Daw Aung San Suu Kyi, State Counsellor of the Republic of the Union of Myanmar)
ベトナム社会主義共和国グエン・スアン・フック首相(H.E. Mr. Nguyen Xuan Phuc, Prime Minister of the Socialist Republic of Viet Nam)

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