アジア
第10回日本・メコン地域諸国首脳会議
(写真提供:内閣広報室)
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本9日,午前9時20分から約1時間半,東京において,安倍晋三内閣総理大臣は,第10回日本・メコン地域諸国首脳会議(日メコン首脳会議)を主催したところ,概要は以下のとおりです(出席者:安倍晋三内閣総理大臣(議長),フン・セン・カンボジア王国首相(Samdech Akka Moha Sena Padei Techo HUN SEN, Prime Minister of the Kingdom of Cambodia),トンルン・シースリット・ラオス人民民主共和国首相(H.E.Dr. Thongloun Sisoulith,Prime Minister of the Lao People's Democratic Republic),アウン・サン・スー・チー・ミャンマー国家最高顧問兼外務大臣(H.E. Ms. Aung San Suu Kyi, State Counsellor and Union Minister for Foreign Affairs, Republic of the Union of Myanmar),プラユット・ジャンオーチャー・タイ王国首相(H.E.General Prayut Chan-o-cha, Prime Minister of the Kingdom of Thailand),グエン・スアン・フック・ベトナム社会主義共和国首相(H.E. Mr. Nguyen Xuan Phuc, Prime Minister of the Socialist Republic of Viet Nam))。
会議では,今後の日メコン協力の指針「東京戦略2018(日本語(PDF)/英語(PDF))」並びに別添として「SDGsを推進するための日メコン協力プロジェクト(日本語(PDF)/英語(PDF))」,「自由で開かれたインド太平洋を実現するための我が国の政策との相乗効果が期待される日メコン協力(日本語(PDF)/英語(PDF))」及び「ACMECSマスタープランに関連した日本の現在進行中及び可能性のある協力プロジェクト(日本語(PDF)/英語(PDF))」が採択されました。
1 冒頭,安倍総理大臣から,ベトナムのクアン国家主席及びドー・ムオイ元書記長の逝去について心からの弔意を表した上で,日メコン協力が10周年を迎えることを機に,日本とメコン地域を「戦略的パートナー」と位置づけ,更に協力を進めたい旨述べました。
2 その上で,安倍総理大臣は,3年前の日メコン首脳会議で採択された「新東京戦略2015(PDF)」及び「日メコン連結性イニシアティブ(PDF)」の成果を総括しつつ,今後の日メコン協力の指針「東京戦略2018」における新たな協力の三本柱について,以下のとおり説明しました。
(1)生きた連結性
日本は,「質の高いインフラ」の推進を含むハード面,デジタル分野での協力を含むソフト面,投資促進や経済特区の開発を含む産業面の3面からの連結性強化を推進し,ヒト・モノの流れを活性化し,新たなビジネスチャンスを生み出していきます。
(2)人を中心とした社会
メコン地域の成長をよりバランスの取れた持続可能なものとすべく,SDGsの掲げる「誰一人取り残さない」,多様で公平,包摂的な社会,特に女性・子供・高齢者といった社会的弱者が活躍でき,安心して暮らせる社会を実現していきます。この観点から,AI分野を含む産業発展と,SDGsの実現のために,今後3年間で3万人規模の人材育成に取り組みます。また,「日メコン交流年2019」や2020年東京オリンピック・パラリンピックに向け,人的交流を深化させていきます。
(3)グリーン・メコンの実現
気候変動や防災,海洋汚染,水資源管理といった日本とメコンが直面する諸問題に対処し,環境に優しい強靱な社会を作るべく,「グリーン・メコンに向けた10年イニシアティブ」に代わり,新たに「2030年に向けたSDGsのための日メコンイニシアティブ」の策定に取り組み,来年の首脳会議での採択を目指します。
3 さらに,安倍総理大臣は,この3つの柱を,(1)「持続可能な開発目標(SDGs)」の実現,(2)自由で開かれたインド太平洋の実現,そして(3)メコン諸国自身の経済協力枠組みであるアクメクス(ACMECS)との連携という3つの具体的な目標を持って力強く推進していくとの決意を表明しました。
また,安倍総理大臣から,日本企業によるメコン地域への投資が過去3年間で2兆円を超え,メコン地域の発展に重要な役割を果たしていることを強調しつつ,こうした実績を踏まえ,ODAを始めとした公的資金を活用し,これまで以上の民間投資の実現を後押ししたいとの決意を表明した上で,各国首脳に対し,日本企業の声に耳を傾け,投資環境の整備を着実に進めるよう要請しました。
4 これに対し,メコン地域諸国の首脳から,日本が最近見舞われた災害へのお見舞いの言葉が寄せられるとともに,過去3年間,日本が「新東京戦略2015」に基づく協力を着実に実施し,質の高いインフラ整備等を通じて,メコン地域の発展に貢献してきたことを高く評価する発言がありました。さらに,記念すべき第10回日メコン首脳会議において「東京戦略2018」が採択され,日本とメコン地域が「戦略的パートナー」として位置づけられたことを歓迎しつつ,今後とも日本が「東京戦略2018」に基づき,メコン地域に対して継続的に支援を行っていくことに対する期待が表明されました。また,来年の「日メコン交流年2019」に向けて様々な事業を行っていきたい旨の発言がありました。
5 日メコン双方の首脳は,地域情勢についても意見交換を行いました。
(1)北朝鮮情勢
双方の首脳は,朝鮮半島の非核化に向け,引き続き,国際社会による安保理決議の完全な履行を確保することの重要性を確認しました。また,安倍総理大臣から拉致問題の早期解決に向け改めて理解と協力を求め,各国首脳の支持を得ました。
(2)南シナ海情勢
双方の首脳は航行及び上空飛行の自由,国連海洋法条約(UNCLOS)(PDF)を含む国際法に従った紛争の平和的解決の重要性に言及しました。また,現場における最近の動向に対する深刻な懸念を表明した上で,非軍事化と自制の重要性を訴えました。
6 最後に,日メコン双方の首脳は,来年,タイで開催されるASEAN関連首脳会議の機会に,次回の日メコン首脳会議を開催することを確認しました。