カンボジア王国
河野外務大臣のカンボジア訪問
4月8日(日曜日),河野太郎外務大臣は,カンボジアを公式訪問したところ,概要は以下のとおりです。
1 日程の概要
プラック・ソコン上級大臣兼外務国際協力大臣との会談,フン・セン首相表敬,ODA交換公文(E/N)署名式,フン・セン首相主催昼食会,故中田厚仁氏(国際連合ボランティア)慰霊碑献花, 故高田晴行警視(国際連合カンボジア暫定機構(UNTAC)文民警察官)慰霊碑献花
2 主要行事の概要
(1)フン・セン首相への表敬及びフン・セン首相主催昼食会
ア 冒頭,河野大臣から,父である河野洋平元衆議院議長が官房長官・外務大臣としてカンボジア和平に尽力したことに触れ,和平・復興・開発の道のりを共に歩んだ両国の絆は強固である旨述べました。また,「自由で開かれたインド太平洋戦略」に対するフン・セン首相の早い段階での支持に対する感謝を述べました。フン・セン首相からは,本8日は中田国連ボランティアの命日であることに言及し,2名の犠牲を出した日本のUNTACへの貢献に改めて謝意を示し,現在の緊密な両国協力関係を高く評価しました。また,「自由で開かれたインド太平洋戦略」への支持を改めて表明しました。
イ 二国間関係
河野大臣から,カンボジアの2030年までの高中所得国入りを後押しするとして,物流改善,人材育成,都市機能強化にかかる支援の進捗状況を説明しました。また,これらの支援は,「自由で開かれたインド太平洋戦略」の趣旨とも合致するとして,具体的協力を更に積み重ねていく考えを述べました。フン・セン首相からは,和平以来一貫して続く日本の支援に対する恩を忘れることはないとして,同「戦略」の下で,協力を深化させていく考えが示されました。
ウ 地域・国際場裡の協力
双方は,インド太平洋地域の平和,安定及び繁栄を確保するための日ASEAN間の協力や,本年秋に開催予定の日メコン首脳会議に向けた協力,海洋の問題や北朝鮮情勢について議論しました。北朝鮮情勢では,非核化を明言しない北朝鮮に対して最大限の圧力を継続していく必要について一致し,フン・セン首相からは,カンボジアの取組の説明とともに,拉致問題にかかる日本の立場を支持している旨の発言がありました。
エ カンボジア国内情勢
河野大臣から,本年7月の国政選挙が国民の意思を適切に反映した形で実施されるよう改めて働きかけました。これに対し,フン・セン首相からは,7月の国民議会選挙を,自由・公正かつ民意を反映した形にする考えを述べました。
オ なお,表敬終了後,プノンペン首都圏送配電網拡張整備計画(フェーズ2)(第二期)に係る交換公文並びに税関監視艇の贈与及び無償資金協力に係る交換公文の署名式が,フン・セン首相の立ち会いの下,河野大臣及びプラック・ソコン外相間で行われました。
(2)日・カンボジア外相会談
ア 冒頭,プラック・ソコン外相から,河野大臣の訪問を歓迎した上で,両国外交関係樹立65周年の機会に両国間の「戦略的パートナーシップ」を一層強化していく考えが示されました。河野大臣から,1月のシェムリアップ領事事務所の開所,種々の祝賀行事を通じ,両国友好強化の一年としていきたいと述べました。
イ 二国間関係
河野大臣から,日本は,メコン地域の要衝にあるカンボジアの発展を重視しているとして,今般署名に至った2つのODA案件に言及しつつ,物流改善,人材育成,都市機能強化を中心に引き続き支援を拡充していく考えを述べました。また,クメール・ルージュ裁判の迅速な完結に向けた取組への期待を述べた。これに対して,プラック・ソコン外相からは,長年に亘る日本の貢献に深い謝意が示されました。
ウ 地域・国際場裡の協力
両外相は,日ASEAN友好協力45周年となる本年,二国間のみならず,マルチの場でも協力を深めることで一致しました。その上で,「自由で開かれたインド太平洋戦略」を推進する上でのASEANとの協力のほか,日メコン協力,海洋の問題,北朝鮮情勢,RCEP等について意見を交わしました。その中で,プラック・ソコン外相から,「自由で開かれたインド太平洋戦略」は平和と安定の維持及び繁栄の確保を目指すものであるとして,改めて支持が表明されました。
(3)慰霊碑献花
1992年から93年にかけてのカンボジアにおける国連平和維持活動の中で命を落とされた故高田晴行警視(国連カンボジア暫定機構・文民警察官)及び故中田厚仁氏(国連ボランティア)慰霊碑に献花しました。