外務大臣談話
クメール・ルージュ裁判:クメール・ルージュ政権元幹部に対する最高審判決について
(外務大臣談話)
1 本23日(現地時間同日),クメール・ル-ジュ裁判最高審法廷は,クメール・ルージュ政権元幹部2名に対する第一審判決について弁護側の控訴を棄却し,無期禁固刑の宣告を維持しました。今回のクメール・ルージュ裁判最高審による判決の申渡しは,2006年に始まった本裁判プロセスの大きな成果となるものであり,歓迎します。
2 クメール・ルージュ裁判は,カンボジア和平プロセスの総仕上げとなるものであり,同国における正義の達成及び法の支配の強化に資するものです。この観点から,我が国は,国際社会による本裁判への支援において主導的役割を果たしてきました。
3 我が国は,被告や犠牲者の高齢化が進む中,残された事案に係る裁判が迅速に進められ,成功裡に完結することを強く期待します。
(参考)
(1)クメール・ルージュ裁判
国連とカンボジア政府との合意文書に基づき,カンボジア司法官と国際司法官が協力して,1970年代後半にカンボジア刑法,ジェノサイド条約上の犯罪や人道に対する罪等重大な罪を犯したクメール・ルージュ政権の上級指導者及び最も重大な責任を持つ者を裁くために,カンボジア国内に設置された混合法廷。
(2)クメール・ルージュ政権元幹部2名
今回最高審判決の対象となったのは,ヌオン・チア元国会議長(90歳)及びキュー・サンパン元国家元首(85歳)で,クメール・ルージュ政権下における住民の強制移動や政権奪取直後の前政権兵士の処刑において殺人,政治的迫害,その他の非人道行為等の人道に対する罪を犯したとして,2014年8月に初級審法廷において無期禁固刑の判決を受けていた。両被告は,別の訴因(チャム人及びベトナム人の虐殺,強制結婚・強姦,内部粛清等)でも起訴されており,現在初級審審理が進められている。
(3)我が国のクメール・ルージュ裁判への資金協力
我が国は,2006年の裁判開始以来,国際支援の約32%に当たる約8,512万ドル(法廷国際側に約6,858万ドル,国内側に約1,654万ドル)を支援。