カンボジア王国

平成29年8月7日
儀じょう隊による栄誉礼及び儀じょう
(写真提供:内閣広報室)
握手を交わす両首脳
(写真提供:内閣広報室)
日・カンボジア首脳会談
(写真提供:内閣広報室)

 本7日午後6時10分過ぎから約75分間,安倍晋三内閣総理大臣は,迎賓館において,実務訪問賓客として訪日中のフン・セン・カンボジア王国首相(Samdech Akka Moha Sena Padei Techo HUN SEN, Prime Minister of the Kingdom of Cambodia)と首脳会談を実施したところ,概要は以下のとおりです。なお,会談には西村康稔内閣官房副長官他が同席しました。会談後,両首脳は,交換公文等の署名に立ち会い署名一覧(PDF)別ウィンドウで開く),また,共同記者発表を行いました。

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    署名式に立ち会う両首脳
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    共同記者発表
    (写真提供:内閣広報室)

1 冒頭

 冒頭,安倍総理大臣から,フン・セン首相をはじめとする一行の訪日を心から歓迎,昨年のモンゴルでの会談以来の再会となり,今回で8回目の会談となることを嬉しく思う,サンボープレイクック遺跡の世界遺産登録に心からお祝い申し上げる旨述べました。更に,本年は日本の国際平和協力法成立25周年で,カンボジアは日本の国連平和維持活動(PKO),そして「積極的平和主義」の原点であるとして,共に世界の平和構築に努めてきたことを誇りに思う旨述べ,今回のフン・セン首相の訪日を通じ,日・カンボジア関係を様々な分野で発展させていきたい旨述べました。
 これに対してフン・セン首相からは,自身及び代表団一行を暖かくお迎え頂き感謝,今回の訪日で21回目となるが,今次訪問は日本がカンボジアにPKOを派遣頂いてから25年目の記念すべき年であり,また,岸信介元総理がカンボジアを訪問してから60周年にあたる,今次訪日を通じ両国の戦略的関係が今後更に強固なものとなることを確信している旨述べました。

2 二国間関係

(1)総論・政治・安全保障

 安倍総理大臣から,フン・セン首相は日本の「積極的平和主義」の一貫した支持者であり,カンボジアへのPKO派遣を契機として平和構築は日本外交の大きな柱となった,近年のカンボジアのPKO参加を高く評価しており,要員への能力構築支援を行っていく旨述べました。また,つばさ橋竣工,直行便就航,サンライズ・ジャパン病院開設を例に挙げつつ,フン・セン首相との協力が結実していることに言及した上で,先般の地方選挙の円滑な実施を評価し,国政選挙の自由・公正な実施への期待を表明するとともに,選挙改革支援の継続を伝達しました。併せてクメール・ルージュ裁判への協力継続についても伝えました。更に,インド太平洋地域において,法の支配に基づく自由で開かれた秩序を強化し,国際公共財とするため協力したいとの考えを述べました。
 これに対してフン・セン首相から,先ず,カンボジア国内情勢について紹介したいとしつつ,先般の地方選挙は円滑に実施されたところ,来年7月には国政選挙を行う旨公表したところであり,2013年に安倍総理大臣に要請した選挙改革支援を行って頂いたことについて感謝したい旨を述べました。また,地雷除去,要員への能力構築支援,更にはクメール・ルージュ裁判への貢献に対する謝意を表明しつつ,カンボジアは日本が安全保障分野で大きな役割を果たすことを一貫して支持してきている旨述べ,日本の「積極的平和主義」に対する支持を改めて表明しました。また,新たなイニシアティブである「自由で開かれたインド太平洋戦略」を歓迎し,支持する旨述べました。

(2)開発協力・経済・文化・人的交流

 安倍総理大臣から,国際スタンダードに適合し, 人作りに寄与する日本の援助,投資を想起しつつ,2030年までのカンボジアの高中所得国入りを後押しするため,物流改善や産業人材育成,都市機能強化などの支援を拡充する旨述べ,今回の計274億円に上る署名案件2件はビジネス機会創出にも寄与するとして,一層の投資環境改善を求めました。また,過去5年で約3,500名の交流を行っており,今後も高い水準の交流を続け,友好の裾野を広げたいと述べました。さらに来年のシェムリアップ領事事務所開設を伝えました。
 これに対しフン・セン首相から,様々な二国間協力が達成されてきていることについて非常に満足している旨述べつつ,きずな橋やつばさ橋は近隣諸国と連結するものとなっている旨述べつつ,人材育成を含むこれまでの日本の支援に対して謝意を改めて表明するとともに,近年,日本企業の投資も増大してきており,投資環境を自身としても整備していきたい旨述べました。 更に,高い水準の人的交流が続いており,シェムリアップの領事事務所開設を評価する旨の発言がありました。

3 地域・国際場裡における協力

総理主催晩餐会で挨拶する安倍総理大臣
(写真提供:内閣広報室)
総理主催晩餐会
(写真提供:内閣広報室)

 双方は,北朝鮮や南シナ海をはじめとする地域・国際場裡における喫緊の課題についても率直且つ有意義な意見交換を行いました。特に,北朝鮮情勢については,北朝鮮に国際社会で団結して圧力をかけていくこと,本年のASEAN関連会議でも連携して取り組んでいくことで一致しました。また,拉致問題の早期解決に向け,フン・セン首相からの支持が表明されました。南シナ海問題については,両首脳は「法の支配」の重要性等を確認しました。また,安倍総理大臣より,保護主義的な動きが広がる中,東アジア地域包括的経済連携(RCEP)については,質の高い協定となるようカンボジアと協力したい旨述べたほか,フン・セン首相より2025年大阪万博へのカンボジアの支持が伝えられたことに対し,謝意を表明しました。


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