外務大臣談話

平成30年3月29日

1 本29日,「核軍縮の実質的な進展のための賢人会議」(以下,「賢人会議」という。)の提言を,白石隆座長(日本貿易振興機構アジア経済研究所長)より受け取りました。

2 この賢人会議は,昨年11月26日及び27日に広島にて第1回会合が,本年3月26日及び27日に東京にて第2回会合が開催され,核軍縮・不拡散や安全保障の分野で活躍される核兵器国と非核兵器国双方の有識者16名(日本6名,海外10名)が個人の立場で参加し,核軍縮の実質的な進展に資する提言の取り纏めに向け,活発な議論が行われました。

3 この提言では,近年の国際的な戦略的環境の悪化に伴い,核軍縮における2つの潮流の対立が先鋭になり,異なる立場の国々の対話が困難になっているとの現状認識が示されています。その上で,核兵器不拡散条約(NPT)第6条に沿って国際的な安全保障環境を改善しながら「核兵器のない世界」を追求するため,国際社会が一致して取り組むことを可能とする共通の基盤を模索するための方策として,核戦力の透明性の促進を含むNPT運用検討プロセスの強化,効果的な核軍縮検証メカニズムの構築,安全保障と軍縮の関係に関する「困難な問題」に取り組むこと等が提言されています。

4 この提言においては,安全保障の現実に直面し核抑止の必要性を認める立場と,人道的観点等から核兵器の即時廃絶を求める立場の橋渡しを行うべく,安全保障と軍縮の関係についての難しい問題の検討を提起するなど,「核兵器のない世界」の実現に向け,異なるアプローチを収斂させようとの試みが行われており,国際社会にとり参考となる有益な提言となっています。政府としては,この提言を4月下旬の2020年NPT運用検討会議第2回準備委員会に然るべくインプットし,核軍縮の実質的な進展のため国際社会の取組を促していく考えです。

5 今後の賢人会議については,2020年NPT運用検討会議に向けた国際社会の機運を高めるべく,残された中・長期的な論点についての議論を更に深めるため活動を継続することに期待します。


外務大臣談話へ戻る