外務省ができたのはいつですか?
1869年(明治2年)に「外務省」という組織が作られました。
江戸時代の終わりごろ、黒船でやってきたアメリカのペリー提督に開国をせまられた日本は、アメリカ、イギリスなどと次々に条約を結び、開国していきました。
しかし、当時の日本は外国との交渉に慣れていなかったため、このころ結んだ条約の多くは日本にとって不利な内容のものでした
このことから日本は、自分の国の利益を守る外交の大切さを知り、明治時代になるとすぐに、外国との交渉を担当する「外務省」という組織が作られました。
日本の大使館が一番初めにできた外国はどこですか?
1905年(明治38年)12月2日にロンドンにあった在イギリス公使館が昇格して大使館となったのが初めてです。
初代駐イギリス大使に任命されたのは林董(はやし・ただす)です。彼は1850年(嘉永3年)に千葉で生まれ、1866年(慶応2年)に幕府留学生としてイギリスに留学しました。その後、ロシアやイギリスの公使(大使の次に主要な人物)となり、イギリスと日本が同盟を結ぶことができるように力を尽くしました。また、外務大臣にもなっています。
外務大臣はどんなことをしているのですか?
外務大臣は、内閣総理大臣によって選ばれます。
仕事の主な内容は、日本がこれからどのように世界の国々とつき合っていくかの基本方針を決定し、日本の外交政策を進めていくことです。また、外国を訪問し、外務大臣あるいは各国の大統領や首相などと話し合い、友好関係を深め、平和な世界をつくるように努めています。
このように外務大臣は、外国との関係をよりよくすることを通じて、私たちがより安心して豊かな生活をおくることができるように仕事をしています。
外務省はどんなことをしているのですか?
外務省では、私たち日本国民が豊かで安全な生活ができるように、日本の国の利益(国益)を守る仕事をしています。このために、平和で安定した豊かな国際社会を作るため、核兵器、テロ、感染症 (HIV/AIDS(エイズ)、マラリアなどの病気)、環境問題といった世界中のみんなに関わる問題や、世界経済の発展などのためのさまざまな取組を行っています。また、日本の文化を外国に紹介したり、人と人との交流をとおしてお互いの理解を深めたり、海外に住む日本人の保護をしたりと、日本の外交活動の中心となっています。
外務省の面積はどれくらいですか?
外務省の1年間の予算はどれくらいですか?
外務省の1年間の予算は、約7,257億円(令和6年度当初予算)です(注)。このうち、世界の貧困を減らし、将来の発展のために様々な努力をしている世界の国々をお手伝いし、共に発展するためのODA(政府開発援助)予算は、約4,383億円で、外務省予算の約60%になっています。ODAの他には、国際社会の平和と安定を守るための取組、日本と世界の経済をより発展させるための取組、日本に対する理解を深めるための人と文化の交流、日本の魅力の紹介、海外にいる日本人の保護などの事業に外務省予算が使われています。
(注)このほか、デジタル関係予算(約160億円)はデジタル庁予算として計上しています。
外務省では何人の職員が働いていますか?
外務省には約6,500人の職員がいて、約2,900人が東京の霞が関にある外務本省に、残りの約3,600人が外国にある大使館や総領事館、政府代表部などで働いています。このほかにも、多くの現地職員などが働いています。(令和6年1月現在)
外務省の女性職員の割合はどれくらいですか?
外務省では、約2,300人の女性職員が働いています。これは全職員数の35%に当たります。
男女差によって仕事が区別されることはなく、日本、世界を舞台に女性も大いに活躍しています。(令和6年1月現在)
勤務時間は何時から何時までですか?
勤務時間は午前9時30分から午後6時15分までです。お昼休みは午後0時30分から午後1時30分までです。
外務省の中って入れますか?
外務省は、全国各地から小学生・中学生・高校生のみなさんの外務省への訪問を受け付けています。事前の申し込みと先生の引率が必要ですので、入りたい人は、ぜひ先生に相談してみてください。
毎年8月には「こども霞が関見学デー」というイベントを行っています。外務省の仕事や世界の国々について理解を深めてもらえるようないろいろなプログラムを開催しています。
在外公館(大使館・総領事館・政府代表部)は何か国にあるのですか?
現在、世界の195か国に日本の大使館が設けられています(注)。また、67の総領事館、12の政府代表部を置いています。(令和6年1月現在)
(注)
日本の大使館実館(実際の事務所)が存在する国:155
近くの他の国にある日本の大使館が業務を行っている国:40
大使館とは基本的に各国の首都に置かれ、その国に対し日本を代表するものです。相手国政府との交渉やその国の政治経済などの情報の収集・分析、日本を正しく理解してもらうための広報文化活動などを行っています。国を正式に代表する者として各国大使館に派遣された使節団の長が大使(特命全権大使)です。
総領事館は、世界の主要な都市に置かれ、その地方の日本人の保護、貿易の促進、広報文化活動などを行っています。そのため、1つの国に総領事館がいくつも置かれることがあります。たとえば、日本との貿易や文化の交流が盛んなアメリカ合衆国には、ニューヨーク、シカゴ、サンフランシスコ、ボストン、ロサンゼルス、ホノルルなど、たくさんの総領事館があります。
政府代表部は、日本政府を代表し、国際機関に対して外交活動を行っています。国際連合のあるニューヨーク(アメリカ合衆国)や、欧州連合のあるブリュッセル(ベルギー)などに政府代表部が置かれています。
外交史料館とはどのようなところですか?
外交史料館は、幕末(1850年ごろ)からの外交史料を保存し、だれでも利用できるように公開している外務省の施設です。11万5千点以上の史料を保存しています。
外国といろいろな問題についてやりとりするとき、外務省は日本政府の考えをまとめたり、相手国に伝えたりするために、さまざまな文書を作ります。また、外国からも似たような文書を受けとります。このうち、歴史的に価値のある文書を、外交史料として残し、利用してもらうのが、外交史料館の役割です。
歴史の教科書にのっているような、貴重な外交史料も数多く保存され、展示もされています。たとえば、つぎのような史料があります。
- 日米修好通商条約
- ポーツマス条約
- (太平洋戦争の)降伏文書
どのように日本の外交が行われてきたかがわかる外交史料は、国民の大切な財産です。外交史料館は、史料の展示や史料集の出版などを通じて日本の外交を知ってもらうことに努めています。
2024年4月に、麻布台ヒルズ森JPタワー5階に外交史料館の展示室が開室しました。史料の時代背景を詳しく説明するなど、分かりやすい展示に努めています。ぜひお越しください。