国際法

海洋資源の国際法 知の拡充・環境の保全・利益の衡平

平成28年4月11日
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1 概要

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  • (1)平成28年2月16日及び17日,外務省は,東京(三田共用会議所講堂)において,第2回海洋法に関する国際シンポジウム「海洋資源の国際法-知の拡充・環境の保全・利益の衡平-」を開催しました。
  • (2)今日,国際社会においては,技術の発展等にともない海洋資源開発への高い関心が示されています。海洋には,ハイテク社会や低炭素社会の鍵となるレアアース,レアメタルや,新たな可能性を秘めた生物・遺伝資源があり,こうした海洋資源の開発は将来にわたって持続可能な経済成長を実現するための鍵でもあります。その秩序ある開発の実現のためには,国際法の枠組みを発展させること,またそのルールを守っていくことが不可欠です。本シンポジウムは,上記を踏まえ,深海底の鉱物資源,大陸棚の資源及び国家管轄権外区域の海洋生物多様性に関する国際法の諸問題について共通理解を醸成することを通じて,国際法の発展を促進し,海洋資源の秩序ある探査・開発を実現することを目指し,国際的・学術的な議論の場を提供しようとするものです。
  • (3)本シンポジウムでは,オープニング・セッションにおいて,黄川田仁志外務大臣政務官が開会の辞を述べ,日本外交の重要な柱の一つである「海における法の支配」の促進は,本年日本が議長を務めるG7でも重点分野の一つとなるものであると強調しました。また,柳井俊二国際海洋法裁判所裁判官(前同裁判所所長)が基調講演を行い,国連海洋法条約(UNCLOS)の起草過程における海洋資源開発の重要性,今日までの海洋資源に関する国際法の発展,また,こうした国際法の発展を通じた「海における法の支配」の強化の意義について論じました。
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  • (4)その後,1日半のパネルディスカッションが行われ,国外(米国,英国,フランス,豪州及びインド)及び国内から,権威ある海洋法研究者及び実務家がパネリストとして出席しました。また,在京外交団,政府関係者,研究者,学生ら延べ300人余が参加し,パネリストとの間で活発な質疑応答が行われました。
  • (5)また,2月16日夕には,三田共用会議所レセプションホールにおいて,本シンポジウム出席者を招待し,岸田文雄外務大臣主催レセプションが行われました。同レセプションでは,多くの出席を得て,和やかな雰囲気の中,意見交換が行われました。

基調講演・パネルディスカッション

第一部 深海底の鉱物資源

 コーディネーター:坂元 茂樹 同志社大学法学部教授

マイケル・ロッジ 国際海底機構(ISA)副事務局長兼法律顧問
「深海底鉱業のための規制レジームの発展」(報告資料(PDF)別ウィンドウで開く
西本 健太郎 東北大学大学院法学研究科准教授
「深海底における海洋科学調査:公海自由と深海底活動との調整に関する法的問題の検討」(報告資料(PDF)別ウィンドウで開く
エリ・ジャルマッシュ 仏首相府海洋本部事務局海洋法担当特別顧問 ISA法律・技術委員会委員
「深海底における諸主体の権限:相互補完的か競合的か?」(報告資料(PDF)別ウィンドウで開く

第二部 大陸棚(200海里以遠の大陸棚を含む。)の資源

 コーディネーター:奥脇 直也 明治大学法科大学院教授

江藤 淳一 上智大学法学部教授
「大陸棚制度概論(200海里内外の大陸棚の資源ガバナンスの違いを含む。)」(報告資料(PDF)別ウィンドウで開く
坂巻 静佳 静岡県立大学国際関係学部専任講師
「大陸棚限界委員会の勧告を得ていない200海里以遠の大陸棚の法的地位」(報告資料(PDF)別ウィンドウで開く
クライブ・スコフィールド ウーロンゴン大学 オーストラリア国立海洋資源・安全保障センター教授
「境界未画定の大陸棚における共同開発:協力の機会か,又は海洋ガバナンスの複雑化か?」(報告資料(PDF)別ウィンドウで開く

第三部 国家管轄圏外区域の海洋生物多様性(BBNJ)

 コーディネーター:河野 真理子 早稲田大学法学学術院教授

アシュリー・ローチ シンガポール国立大学国際法センター(CIL)上級客員研究員
「シンガポール国立大学・国際法センターBBNJワークショップの成果」(報告資料(PDF)別ウィンドウで開く
兼原 敦子 上智大学法学部教授
「BBNJに関する『UNCLOSの下の』国際的な法的拘束力を有する文書とは何か?」(報告資料(PDF)別ウィンドウで開く
ルーサー・ラングレジ インド外務省法規条約局上級法務官
「BBNJに関するレジームの展開:予備的考察」(報告資料(PDF)別ウィンドウで開く
濵本 正太郎 京都大学大学院法学研究科教授
「国家管轄圏外区域の海洋遺伝資源と知的財産権」(報告資料(PDF)別ウィンドウで開く


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