軍縮・不拡散

軍縮・不拡散教育

平成25年10月

 近年、市民に対する軍縮・不拡散についての教育は、軍縮・不拡散問題への取り組みを促進する上で重要であると、国際社会によって広く認識されてきている。

1.国連における取組(国連軍縮・不拡散教育政府専門家グループ会合)

 2000年にニューヨークで開催された国連軍縮諮問委員会において、現在の核軍縮の停滞を打破するためには、若い世代の教育から精力的に取り組む必要があるとの問題提起がなされた。これを踏まえて、同年に開催された第55回国連総会で、軍縮・不拡散教育の現状を評価し、促進するための研究の準備を行うよう事務局長に要請する決議案が提出され、全会一致で採択された。

 この決議に従い、2001年より軍縮・不拡散教育政府専門家グループ(10名の政府・NGO・研究所の専門家より構成、日本からは天野在米大使館公使(当時)がメンバーとなった。)会合が計4 回開催され、2002年8月、「軍縮・不拡散教育に関する報告書」が事務総長に提出された。同報告書では、軍縮・不拡散教育の重要性が訴えられていると共に、各国や国際機関等に対する34の具体的な提言がなされている。

 同年11月の第57回国連総会において、上記報告書にある軍縮・不拡散教育の活性化のための一連の勧告の実施を求める「軍縮・不拡散教育に関する国連の研究」が全会一致で採択された。また、2004年の第59回国連総会、2006年の第61回国連総会及び2008年の第63回国連総会でも同決議が無投票で採択されている。

2.我が国独自の取組

 我が国は、唯一の被爆国として、また、国際的な軍縮・不拡散体制の強化を主要な外交課題と捉える立場から、上記報告書や決議も踏まえて、以下のとおり、軍縮・不拡散教育の推進事業を行ってきている。

(1)軍縮・不拡散教育に関する作業文書提出及び共同ステートメント実施

 我が国は、2005年NPT運用検討会議のための第2回及び第3回(PDF)PDF準備委員会へ軍縮・不拡散教育に関する作業文書をメキシコ他6ヵ国と共同提出し、翌年の2005年NPT運用検討会議においても、軍縮・不拡散教育に関する作業文書(PDF)PDFを共同提出した。また、同運用検討会議が、国連総会に提出された「軍縮・不拡散教育に関する報告書」の勧告を履行するために加盟国が具体的な活動を行うことを慫慂し、その情報を共有すべきとの内容の「日本における軍縮・不拡散に関する取り組みに関する作業文書(PDF)(PDF)PDF」も提出した。

 2010年NPT運用検討会議のための第1回及び第2回準備委員会(PDF)PDFにおいても、それぞれ我が国独自の軍縮・不拡散教育に関する作業文書を提出し、共同ステートメントを実施した。また、第3回準備委員会においても、共同ステートメントを実施した。

(2)国連軍縮フェローシップ

 1978年の第1回国連軍縮特別総会において、特に開発途上国における軍縮専門家を育成するために、国連軍縮フェローシップ・プログラムを実施することが決定された。これに従い、1979年以来毎年、軍縮に携わる各国の中堅外交官や国防省関係者等がこのフェローシップ・プログラムに参加し、軍縮・不拡散に関係のある国際機関、研究所や関係国を訪問し、見識を深めている。

 我が国との関係では、1982年の第2回国連軍縮特別総会において、鈴木総理大臣(当時)が、このフェローシップ・プログラムの参加者を広島及び長崎に招待する提案を行い、翌1983年以来、毎年25名前後を本邦に招待してきている。フェローシップ・プログラムでの本邦招待は2008年で26回目を迎え、この間、延べ650名を超える各国の外交官等が我が国を訪問した。参加者は、我が国の軍縮・不拡散政策について説明を受けるとともに、広島・長崎の訪問などを通じて、被爆の実態の一端に触れるなど、唯一の被爆国である我が国の経験にも接してきた。

 現在、世界の軍縮外交の第一線で活躍する各国外交官の中には、本プログラムの出身者も多く、彼らの多くが広島・長崎訪問に非常に感銘を受けたと言っている。このことからも分かるように、フェローシップ・プログラムの参加者を日本へ招待することは、自身の被爆体験に基づいて核兵器の非人道性を広く世界に訴えるとともに、軍縮・不拡散分野における我が国の取り組みを世界にアピールしていく上で、非常に有意義である。

(3)「日本の軍縮・不拡散外交」の出版

 2002年5月、我が国の軍縮・不拡散外交をわかりやすく伝えるために、「我が国の軍縮外交」を発刊した(英語版は2003年3月に出版)。2004年4月、その後の進展を踏まえ、特に不拡散分野での重要な動きがあったことを受けて、タイトルも「日本の軍縮・不拡散外交」に変更して第2版を出版した(英語版は2004年10月に出版)。2006年3月には、日本の被爆60周年にあたり、日本の核軍縮に向けた新たな決意及び地域の不拡散問題等第2版以降新たに大きな問題として上がった点を踏まえ、第3版を出版した。また、2008年4月には、第4版を出版し、北朝鮮やイランの核問題や国際社会における日本の積極的な取組などにつき記述している。これらの冊子は、大学の講義においても用いられ、軍縮・不拡散教育の有効な手段となっている。

(4)軍縮・不拡散教育に関するセミナーの開催

 2003年8月、我が国は、国連軍縮大阪会議の開催中に、大阪市内の小学校、中学校、高等学校の現役教師約50名を集め、国連と共催で軍縮教育セミナーを開催した。セミナーでは、会議に参加した専門家より、如何にして青少年の心に平和の砦を築いていくか、軍縮・不拡散教育はどうあるべきか等について発表がなされた後、専門家と教師の間で活発な意見交換が行われた。

 また、2004年7月に開催された第2回国連軍縮札幌会議においても、同様の軍縮教育セミナーを開催し、外務省より参加した天野軍備管理・科学審議官(当時)が、「軍縮・不拡散教育と日本」と題するスピーチを行うなどした後、専門家と現役教師の間で活発な意見交換が行われた。

 2008年4月から5月において開催された2010年NPT運用検討会議第2回準備委員会(於:ジュネーブ)では、UNIDIR(国連軍縮研究所)と共催で被爆体験を如何に語り継いでいくかを主たるテーマに軍縮・不拡散教育セミナーを開催した。

 さらに、2009年5月の2010年NPT運用検討会議第3回準備委員会(於:ニューヨーク)においても、モントレー国際問題研究所、国連軍縮部、UNIDIRと共催で、軍縮・不拡散の意識を高める実際的な方法及びNPT体制強化のための教育を主たるテーマに、軍縮・不拡散教育に関するセミナーを開催した。

(5)軍縮教育家の招聘

 2002年11月、我が国は米国の著名な軍縮教育家であるK・サリバン博士を招聘した。同博士は、東京及び広島の高校で核軍縮の必要性に関する授業を行うとともに、広島及び長崎において被爆者やNGOとの意見交換を行った。

 2004年1月には、米国の軍縮教育家ゴールドリング博士を招聘し、講演、高校での授業、被爆者との意見交換を行った。

 2005年2月には、軍縮・不拡散分野の第一人者であるモントレー国際問題研究所不拡散センター所長のウィリアム・ポッター博士を招き、広島において講演会を開催した。同講演会には、河井外務大臣政務官(当時)も出席し挨拶を行った。

 また、2006年2月には、スイスのNGO、生物兵器防止プロジェクト(BWPP)の所長を務め、生物・化学兵器分野の専門家であるJ・P・ザンダース博士を招聘し、生物テロの脅威及びBWCの強化についての講演会を開催した。

 さらに、2007年3月には、小型武器問題にも精通しておりブラッドフォード大学国際協力安全保障センター(CICS)の所長であるオーウェン・グリーン博士を招聘し、小型武器問題に関する講演会を開催した。

 また、2008年11月に、化学兵器禁止機関(OPCW)の所長であるジョン・フリーマン博士を招聘し、軍縮・不拡散促進センターにおいて講演会を開催した。

(6)軍縮・不拡散教育における新たな取組

 2007年には、軍縮・不拡散教育の一環として、2010年NPT運用検討会議第1回準備委員会(於:ウィーン)の機会を利用し、英語版の漫画等の配布や被爆地の被爆前の街並みを再現したCG(コンピューター・グラフィックス)の上映等を行った。
 また、8月に開催された国連軍縮会議(於:札幌)の機会を活用し、地元大学生等を招き、軍縮・不拡散に関する意見交換会を開催した。参加型の軍縮・不拡散教育としては初めての試みであり、普段軍縮・不拡散の分野に触れる機会の少ない参加者達ではあったが、討論においては、多面的な視点から自由かつ活発な意見交換がなされた。

 2008年4月から5月において開催された2010年NPT運用検討会議第2回準備委員会(於:ジュネーブ)の機会に行われた軍縮・不拡散教育セミナーの会場で、英語版の漫画「夕凪の街桜の国」や「日本の軍縮・不拡散外交(第三版)」、「軍縮・不拡散~日本の取り組み~」(パンフレット)等を配布した。

 また、2009年5月の2010年NPT運用検討会議第3回準備委員会(於:ニューヨーク)において行われた軍縮・不拡散教育に関するセミナーの会場では、日本語・英語併記の絵本「あの夏の日に」や「日本の軍縮・不拡散外交(第四版)」、「小型武器と対人地雷~日本の取組~」(パンフレット)等を配布した。


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