2 地域機構
中南米地域にはアジア中南米協力フォーラム(FEALAC)1やラテンアメリカ・カリブ諸国共同体(CELAC)2のほか、以下のような地域枠組みが存在し、様々な課題について政策調整を行っている。3月にはFEALAC諸国の若手行政官7人を招へいし、SDGs達成のための科学技術の活用について意見交換を行った。
(1)太平洋同盟
チリ、コロンビア、メキシコ及びペルーから成る太平洋同盟は、オーストラリア、カナダ、ニュージーランド及びシンガポールとの間で包括的自由貿易協定の締結を目指しており、早期の妥結に向け交渉中である。これら4か国に加え、韓国及びエクアドルも交渉参加への関心を表明している。
日本は、基本的価値を共有するグループとして、太平洋同盟との連携を重視している。11月にはテレビ会議形式で開催された太平洋同盟とオブザーバー国との会合に参加し、太平洋同盟と日本の協力の重要性などを確認した。
(2)南米南部共同市場(メルコスール:MERCOSUR)3
メルコスールは、アルゼンチン、ブラジル、パラグアイ、ウルグアイ及びベネズエラ4から成る関税同盟であり、1995年1月から域内関税は一部の品目を除き原則として撤廃されている。また、ボリビアは準加盟国5である。
日本は、2012年以来「日・メルコスール経済関係緊密化のための対話」を計4回開催しており、双方の貿易政策や投資などについて意見交換を行っている。
(3)カリブ共同体(カリコム:CARICOM)6
カリコムは、カリブ地域の14か国による経済統合や外交政策の調整などを目的に設立され、国際場裡で協調行動を取ることで存在感を示している。カリコム諸国は比較的所得水準が高い国が多い一方で、毎年のようにハリケーンによる甚大な被害を受けるなど、自然災害の脅威にさらされているほか、人口・経済規模の小ささから生じる小島嶼(とうしょ)国特有の脆弱性を抱えている。
日本は、対カリコム協力の3本柱(小島嶼国特有の脆弱性克服を含む持続的発展に向けた協力、交流と友好の絆(きずな)の拡大と深化、国際社会の諸課題の解決に向けた協力)に基づいた外交を展開しており、所得水準の高い国に対しても各国の開発ニーズや負担能力に応じて必要な協力を行っている。1月から2月に実施したJuntos!!中南米対日理解推進交流プログラムでは、カリコム諸国から11人の若手外交官を招へいし、環境・防災関連施設やオリンピック関連施設への視察を通じて、対日理解の促進のための取組を行った。また、新型コロナの影響により人の往来が困難な状況の下、鈴木馨祐(けいすけ)外務副大臣とハイチ外相(7月)、宇都隆史外務副大臣とトリニダード・トバゴ及びガイアナ(10月)、アンティグア・バーブーダ(11月)の各外相とのテレビ会談を実施し、オンラインを活用した各国との関係及び日・カリコム関係の強化を行った。

1 FEALAC:Forum for East Asia-Latin America Cooperation
2 CELAC:Comunidad de Estados Latinoamericanos y Caribeños(Community of Latin American and Caribbean States)
3 MERCOSUR:Mercado Común del Sur(Southern Common Market)
4 2020年12月現在、加盟資格停止中
5 2012年12月加盟議定書に署名し、ブラジルの議会承認待ち
6 CARICOM:Caribbean Community