外交青書・白書
第2章 地球儀を俯瞰する外交

4 中部アフリカ地域

(1)ガボン

41年間大統領を務めたオマール・ボンゴ前大統領の逝去後、2009年8月に大統領選挙が平和裏に行われ、前大統領子息のアリ・ボンゴ現大統領が当選した(2016年に再選)。一方、2019年1月に軍の一部によるクーデター未遂が発生した。

経済面では、石油を始めとする天然資源に依存する経済構造の改革が喫緊の課題であり、産業の多角化や一次産品の高付加価値に向けた努力が進められている。

7月には、大串経済産業大臣政務官がガボンを訪問し、イソゼ首相との会談等を行った。また、10月のTICAD閣僚会合では、エヨゴ・エザング水・エネルギー相が出席した。

(2)カメルーン

10月には、ビヤ大統領は大統領選挙で7選を果たし、1982年から続く長期政権の継続が決定した。その後、同大統領は11月、ボコ・ハラムの影響下にある極北州や独立を求める英語圏地域の安定化を図るために、武装解除・動員解除・社会復帰(DDR)国家委員会の設置を発表した。

5月には佐藤外務副大臣がカメルーンを訪問し、ヤン首相を表敬するとともに治安・平和部隊国際学校(EIFORCES)を視察した。

(3)コンゴ民主共和国

カビラ大統領の2期目の任期が2016年12月に満了した状況が継続していたが、2018年12月30日に大統領選挙が実施され、2019年1月24日にチセケディ大統領が就任した。

2018年6月には、赤道州でエボラ出血熱が流行し、日本は、その対策のために緊急無償資金協力を実施し、国際緊急援助隊・感染症対策チームも派遣した。また、8月には、北ギブ州での流行を受け、JICAを通じて緊急援助物資を供与した。

10月には、佐藤外務副大臣が訪問し、カビラ大統領等に表敬・会談を行い、両国の友好協力関係の強化が確認された。

(4)チャド

チャドは、綿花と畜産業中心の最貧国の一つであったが、近年南部の石油資源の開発が進み、2003年には石油輸出が開始された。政治面では、1991年以降、長期政権となるデビー・イトゥノ大統領の下、安定政権が続いている。

2018年5月には、現職政務として初めて佐藤外務副大臣がチャドを訪問し、大統領への表敬等を行ったほか、イスラム過激派組織「ボコ・ハラム」対策のため結成された多国籍合同軍(MNJTF)の司令部を視察した。

(5)中央アフリカ

2016年3月に民主的に選出されたトゥアデラ大統領は、国際社会の協力の下で国家復興への努力を継続しており、2017年7月に開始したAU主導の調停プロセス「アフリカ・イニシアティブ」では、政府・武装勢力間の交渉を開始するために、2018年8月に武装勢力14団体と各勢力の要求を盛り込んだ合意文書に署名した。

日本は、こうした中央アフリカ政府による国家復興の努力を後押ししており、7月には、UNDPを通じて策定した「過激主義防止の国家戦略(2018-2021)」が発表された。

5月には、佐藤外務副大臣が中央アフリカを訪問した。また、5月及びTICAD閣僚会合が行われた10月には、ドゥバンヌ外相が訪日し、外相会談を行い、二国間関係や国際場裏での協力について議論した。

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