1 アフリカ開発会議(TICAD)プロセスを通じた日・アフリカ関係の強化
(1)対アフリカ外交の柱としてのTICADプロセス
日本の対アフリカ外交の重要な柱は、20年以上継続しているアフリカ開発会議(TICAD)プロセスである。1993年以降、5年に1度の日本での首脳会合に加え、閣僚級のフォローアップ会合などを開催し、アフリカ開発に関する幅広い議論を行ってきた。
TICADは、日本が主導し、国連、国連開発計画(UNDP)、世界銀行(WB)及びアフリカ連合委員会(AUC)と共同で開催している。アフリカの「オーナーシップ(自助努力)」と日本を含む国際社会との「パートナーシップ」という日本の対アフリカ外交の基本理念を実践するものである。
2013年6月に横浜で開催された第5回アフリカ開発会議(TICAD V)は、日本主催として最大規模の国際会議となった。日本は、アフリカの「質の高い成長」を実現すべく、TICAD Vで表明した「強固で持続可能な経済」、「包摂的で強靱な社会」、「平和と安定」を柱とする支援を着実に実施している。
これまでTICAD首脳会合は日本で開催されてきた。しかし、近年、アフリカの人口増加・経済成長などを背景としてアフリカの「オーナーシップ」が高まるにつれ、アフリカ側から、TICAD首脳会合を3年毎にアフリカと日本で相互に開催することとし、次回TICADをアフリカで開催したいとの意向が表明されるようになった。安倍総理大臣は、アフリカの「オーナーシップ」を重視し、次回TICAD首脳会合をアフリカで開催するとともに、日本とアフリカとの交互開催を実施していきたいと、2014年9月、第2回日・アフリカ地域経済共同体(RECs)議長国首脳会合の場で発表した。初のTICADアフリカ開催がTICADプロセスの更なる深化を導くとともに、日・アフリカ関係を新たな段階へと発展させることが期待される。

(2)第1回TICAD V閣僚会合の開催
2014年5月に、岸田外務大臣とムココ=ムボンジョ・カメルーン外相を共同議長として、日本からは江藤農林水産副大臣の出席も得て、第1回TICAD V閣僚会合がカメルーンの首都ヤウンデで開催された。「農業」、「女性と若者」、「ポスト2015年開発アジェンダ」というアフリカ及び国際社会にとって重要な課題について、議論を行った。また、岸田外務大臣から、TICAD Vで約束した支援を想定を上回るスピードで実施している状況(2013年の1年間で、5年間でのODA支援の約25%に相当するODA総額35.1億米ドル、その他の取組20.8億米ドル)を報告し、アフリカ各国から高く評価された。


(3)官民連携による日・アフリカ間の貿易・投資促進
2014年8月、日・アフリカ間の貿易・投資を促進すべく、TICAD IV以降8回目となる「アフリカ貿易・投資促進官民合同ミッション」をエチオピア、ルワンダ、タンザニアに派遣した。石原外務大臣政務官が団長を務め、日本企業17社、独立行政法人、関係省庁などが参加し、各訪問国で、貿易・投資にかかるセミナーや首脳・閣僚との会談等を行った。
また、「TICAD官民円卓会議」を通じた、アフリカ・ビジネスに関する官民の情報共有や意見交換、対外発信なども実施している。2013年12月の第1回会合に続き、2014年は、3回の実務レベル会合に加え、12月に民間企業47社の関係者の出席を得てTICAD官民円卓会議第2回会合を開催した。TICAD V支援策や対アフリカ・ビジネスに関する取組の実施状況の共有、次回TICAD首脳会議に向けた官民一体での協力の継続の確認などを行った。


(4)アフリカ地域経済共同体(RECs)との関係強化
一国の経済規模が小さい国が多いアフリカが更なる経済成長を遂げるには、国単位を超えた地域的協力が必要である。日本は、「『日本再興戦略』改訂2014」の中で、アフリカの広域市場創設につながる施策として、アフリカ地域経済共同体(RECs)の取組促進を掲げている。その実践として、安倍総理大臣は、2014年9月、ニューヨークにて、前年に続き第2回日・RECs議長国首脳会合を開催し、マハマ・ガーナ大統領、ハイレマリアム・エチオピア首相などの出席を得て、アフリカが重視するインフラ開発に関し議論を行った。日・アフリカ間で広域インフラ開発の重要性に関する認識を共有するとともに、RECsを通じたアフリカとの重層的な関係を強化していくことを確認した。

