外務副大臣・外務大臣政務官
アフリカ貿易・投資促進合同ミッション(概要と評価)
平成26年9月2日
8月24日(日曜日)から8月31日(日曜日)まで,石原宏高外務大臣政務官を団長として,アフリカ貿易・投資促進官民合同ミッションがエチオピア連邦民主共和国,ルワンダ共和国及びタンザニア連合共和国を訪問しました。概要と評価は以下のとおりです。
官民合同ミッションは,2008年の第4回アフリカ開発会議(TICADIV)で表明された,日本・アフリカ間の貿易・投資促進を目的とする施策の一つで,今回で8回目の派遣となりました。
今次ミッションには,民間企業17社(商社,メーカー,金融等),独立行政法人,中央省庁の関係者等,計69名が参加しました。ミッション一行は,訪問先のエチオピア,ルワンダ及びタンザニアの3か国で,貿易・投資に係るセミナーに参加し,また元首級及び多くの閣僚と面会を行いました。
概要
1.期間
平成26年8月24日(日曜日)~8月31日(日曜日)の8日間(石原外務大臣政務官は8月25日から31日まで参加)
2.訪問国
エチオピア,ルワンダ,タンザニア
3.参加者
- 団長:石原宏高外務大臣政務官
- 鈴木駐エチオピア大使,小川駐ルワンダ大使,岡田駐タンザニア大使
- 外務省,財務省,経済産業省,農林水産省
- 関係5機関(JBIC,JETRO,JICA,JOGMEC,NEXI)
- 民間企業17社(商社,メーカー,金融等)
4.各訪問国における活動概要
(1)エチオピア(8月24日~8月26日)
ア 政府要人等との会談
ムラトゥ大統領,ハイレマリアム首相,ヌワイ経済担当首相顧問,シェフェラウ国家砂糖公社総裁,マブラトゥ工業省国務大臣,シサイ工業省国務大臣,イェネガル・デスィ外務省国務大臣,ゲタチョウ首相府プレス広報担当国務大臣
イ 関係機関・企業関係者等との意見交換
貿易投資セミナー及びレセプション(8月25日)
セミナーには本ミッション参加者及びエチオピア側関係者約220名が出席。冒頭,石原政務官の挨拶に続き,エチオピア側より,エチオピアにおける工業化への取組,投資インセンティブ,また,コーヒー,農産品,花卉等のエチオピア産農産品加工に関する投資環境等について説明がなされた。特に,エチオピア側からは,今回のミッションはこれまでで最大規模のミッションであり,これを契機として日エチオピアの貿易・投資の増加に対し期待する旨の発言があった。また,国際連合工業開発機関(UNIDO)からエチオピアへの投資を支援するUNIDOのアプローチ,アフリカ開発銀行(AfDB)から民間資金を活用したインフラ開発について説明がなされ,続いて8つの日本企業より,各々のアフリカにおける取組や今後のビジネスの展望につき,プレゼンテーションを行った。
セミナーに続き,レセプションでは,日・エチオピアの官民出席者のほか,インドやトルコの当地大使館や企業関係者も加わり,出席者の間で積極的な情報・意見交換が行われた。
このほか,当地世銀との間で当国のマクロ経済の動向や輸出状況について,また,工業省との間で工業団地整備の取組について,活発な議論が交わされた。
ウ 視察
日本から進出している革製品製造メーカー・ヒロキ社の現地工場,トルコ系衣料品製造メーカー・AYKA社の現地工場,及び「カイゼン」実践企業(エチオピア資本の製靴工場Peacock Shoe社)を視察した。また,シサイ工業省国務大臣及びヤレガ工業団地公社副総裁の案内で,ボレ・レミ工業団地を訪問し,進出企業の現地工場等を視察した。
(2)ルワンダ(8月26日~8月28日)

ア 政府要人等との会談・意見交換
カガメ大統領,ガテテ財務・経済計画大臣,カニンバ貿易・産業大臣,ムケシマナ農業・動物資源大臣,ガタレ・ルワンダ開発庁(RDB)総裁,ンサンガニラ農業担当国務大臣
イ 関係機関・企業関係者等との意見交換
貿易投資促進セミナー及びレセプション(8月27日)
本ミッション参加者及びルワンダ政府・民間・国営企業関係者(約100名)が出席。ルワンダ開発庁(RDB)側から,過去10年間はGDPが平均年6%成長し国民所得も向上,政府はビジネス環境向上に向けた取組を継続しており,世銀のDoing Business の評価も高い旨の発言があった。また,ルワンダ政府が重視しているのはICT,金融,観光等のサービス産業,国内での人材育成等であり,国内で高付加価値の商品を製造したく民間投資を求めている点,ルワンダは自由市場で,外資も国内企業と同一の規則の下で活動することとなる点等について説明があった。さらに,石原政務官による挨拶,ルワンダ民間セクター連盟(PSF,商工会議所に該当する組織)からルワンダにおける投資機会等に関してのプレゼンテーション,5つの日本企業によるプレゼンテーションが行われ,最後に,テーマ別に,個別の企業同士のセッションが行われた。
また,同日に行われたレセプションでは,ルワンダ側政府・民間企業関係者の他,在ルワンダ国際機関関係者,在留邦人等多数の出席を得て,活発な情報・意見交換が行われた。
ウ 視察
ルワンダ最大の繊維会社であるUtexrwaの工場を視察(8月27日)した他,ルワンダ開発庁(RDB)の案内で,キガリ経済特区(フェーズ1)及び経済特区内の工場2カ所(農産物加工施設,紙袋製造工場)を視察した(8月28日)。
また,ルワンダ開発庁(RDB)において,ルワンダにおける起業時の手続き等に関する説明を受けながら,内部を視察した(8月28日)。
なお,石原政務官は,ジェノサイド記念館を訪問し,献花した(8月27日)。
(3)タンザニア(8月28日~8月30日)
ア 政府要人等との会談
ピンダ首相
イ 関係機関・企業関係者等との意見交換
日・タンザニアビジネスセミナー(8月30日)
本ミッション参加者及びタンザニア民間セクター財団(TPSF)(共催),タンザニア民間企業,タンザニア経済団体,タンザニア政府関係者(約160名)が出席。ミッション参加者による自社紹介に続き質疑応答を行い,日本企業のPRを行った。
視察先タンザニア企業経営者等との交流会(8月28日)
29日の視察先(下記ウ)の企業経営者より企業の概要説明を受けるとともに,ミッション参加者との交流を行った。
タンザニア民間セクター財団事務局長及びバークレーズ銀行頭取によるタンザニア・ビジネス環境説明会(8月29日)
バークレーズ銀行頭取及びTPSF事務局長より,タンザニア経済を俯瞰する立場から,タンザニア経済動向や各種制度,ビジネス環境の現状,タンザニアによるビジネス環境改善への取組等につき説明が行われ,ミッション参加者との間で,ビジネス環境改善の具体的な取組や今後の見通しをはじめ多岐にわたる質疑応答がなされた。なお,タンザニア経済の重鎮であるメンギIPPメディア会長もTPSF会長として参加し,積極的に質疑とその後の交流に加わった。
ウ 視察
タンザニア経済を代表するバクレサ・グループ,モハメッド・エンタープライズ及びモティソン・グループの傘下の工場(製粉,洗剤,トタン板,鋼材),外資系の工場(独のハイデルベルク・セメント),日本企業の子会社(JT)の工場といった大規模工場に加え,タンザニア資本の中小企業の工場(皮革加工。我が国技協のカイゼン・プログラムの実施工場)をあわせ,計6工場を視察。加えて,ディーラーのサービスセンターやショールーム3か所(医療機器,ソニー製品,キャノン製品),民放放送局及びタンザニア最大のショッピング・モールを訪れ,タンザニア経済の現場を実体験した。 また,有力会計事務所を訪れ,タンザニア・ビジネスについての実情についての見方を聴取した。
評価
- 今次ミッションは,エチオピア,タンザニアは2008年の東部アフリカ・ミッション以来2回目の,ルワンダは初めての官民ミッションの派遣となった。これら3か国は,安定した政治と比較的良好な治安,エネルギー資源のポテンシャル,好調な経済成長を背景とした市場としての可能性が大きく,アフリカの成長を牽引する東部アフリカを象徴する国である。
- 今次ミッションは,緊密な官民連携の下,各訪問国の政府要人・企業関係者等との人脈形成及び具体的な戦略的ビジネス・パートナー探しの機会を提供することを目指し,各国において多くの行事をこなした。
- 具体的には,エチオピアにおいては,本年1月の日エチオピア首脳会談で確認された両国間の経済関係強化に向けての取組として,ムラトゥ大統領,ハイレマリアム首相をはじめ,エチオピア政府・企業関係者,及び現地進出外国企業関係者等との間で,エチオピアの投資環境,海外投資の実例,日本企業の関心分野等に関して,幅広く情報収集・意見交換を行うことができた。また,様々なプログラムを通じ,当地における今後のビジネス展開に有益な人的関係の構築を図ることができた。
- ルワンダにおいては,初めてのミッション派遣となり,経済成長目覚ましい同国において,将来の投資増加に向けた契機となることが期待される。特に,閣議休会中にも関わらず,カガメ大統領やルワンダ政府閣僚をはじめ幅広い経済関係者と面談する等,先方政府・企業から日本の投資増加に対する期待が高い中,日本企業の同国に対する関心を印象づけることができた。また,ミッション参加者はルワンダの投資環境を把握するとともに,個別の企業セッションを通じて,将来のあり得べき企業進出に向けたネットワークを構築することができた。
- タンザニアにおいては,現地ビジネスの実態を体感し民間企業の意見を聴取することでタンザニア経済の理解を増進するとともに,民間ビジネス・パートナーを発掘することを目指した。(1)現地民間企業経営者や経済団体幹部との交流,(2)各種工業やディーラー店舗,テレビ局などのビジネス現場の訪問,(3)日本企業を現地ビジネス関係者に売り込むためのセミナーの実施により,具体的なビジネス環境についての理解を深めるとともに,ビジネス・パートナーの発掘に寄与することができた。