アフリカ

第1回TICAD V閣僚会合(概要と評価)

平成26年5月5日

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 岸田文雄外務大臣は,5月4日(日曜日)と5月5日(月曜日)の両日,カメルーンのヤウンデにおいて開催された第1回TICAD V閣僚会合に出席し,共同議長を務めたところ,概要と評価以下の通り。また,今回の岸田大臣によるカメルーン訪問は,我が国外相による初の同国訪問となった。

1.概要

(1) 第1回TICAD V閣僚会合には,20名の外相を含むアフリカ52か国の他,ドナー諸国やアジア諸国,国際機関及び地域機関の代表並びに民間セクターやNGO等市民社会の代表者など計約800名が参加した。

(2) 今次閣僚会合は,昨年6月に横浜で開催された第5回アフリカ開発会議(TICADV)後,最初の閣僚会合であり,またTICAD IV以降中部アフリカにおける初めてのTICAD閣僚会合の開催となった。

(3) 昨年3月のエチオピアにおけるTICAD V閣僚級準備会合,6月のTICAD Vに続き、3回目のTICAD関連会合に出席した岸田大臣は,開催国カメルーンのムココ=ムボンジョ外相と共同議長を務め,開会式での挨拶(PDF)を始め,全体会合1(横浜行動計画2013-2017の進捗状況)(PDF)及び特別セッション(女性と若者の能力強化)(PDF)で基調演説を行い,また、全体会合3(ポスト2015年開発アジェンダ)でパネリストとしてスピーチ(PDF)を行った。

2.会合の成果

 各セッションにおける概要及び主な成果は次の通り。

(1) 全体会合1(横浜行動計画2013-2017の進捗状況)
岸田大臣は基調演説にて,昨年1年間で、日本が想定していたスピードを上回り支援を実施している状況(ODA総額35.1億ドル(TICAD Vでのコミットの約25%相当),その他の取組20.8億ドル)について報告(「我が国支援策の進捗状況」ファクトシート参照(PDF))し,日本はTICAD Vで約束した支援は必ず実行することを強調、各国から評価されるとともに、これまでの支援に対する謝意が数多くの国から示された。同時に岸田大臣は、民間主導によるアフリカの成長には,現地の自由で安全な投資環境の整備が必要であり,アフリカ側に更なる努力を求めるとともに、アフリカの民間セクター育成のためにアフリカ開発銀行に対して3億ドルの円借款を供与する旨表明した。同会合では,横浜行動計画2013-2017を具体化する方策や実施状況に関し、アフリカ側からの我が国への期待や要望を含む活発な議論が行われ,以下の文書が承認された。行動計画別表には,アフリカ及び日本を含む57の国・機関からのべ600以上の施策が表明された。
 

(2)全体会合2(農業,食料・栄養安全保障)
江藤拓農林水産副大臣がパネリストとして出席し,アフリカの農産物のバリューチェーン作りへの協力強化等についてのスピーチを行った。本会合では,アフリカ最大の経済セクターである農業が経済成長と貧困削減に重要な役割を果たすとの共通認識の下,農業セクターが投資を呼び込み,女性や若者等の潜在的な農業の担い手を活用する方途,農業に従事する社会的弱者に対する保護について議論が行われた。

(3)全体会合3(ポスト2015年開発アジェンダ)
岸田大臣はパネリストとして出席し,スピーチにて,開発における経済成長の重要性とともに,人間の安全保障を推進する開発の3つの要素(包摂性,持続可能性,強靱性)を、開発に不可欠な3つのビタミンとして提唱した。本会合では,来年目標年を迎えるミレニアム開発目標(MDGs)の達成に向け一層進捗を加速させる必要があることで一致した。また、AUが採択したアフリカ共通ポジション(CAP)を歓迎するとともに、ポスト2015年開発アジェンダの策定に向け日本とアフリカでイニシアティブをとっていくことで一致した。

(4)特別セッション(女性と若者の能力強化)
岸田大臣は基調演説にて,「アフリカの女性が輝く社会」と「アフリカの若者に明るい未来」の実現のために女性と若者の能力強化に必要な支援を行っていく旨述べた。また、瀬谷ルミ子日本紛争予防センター理事長がパネリストとしてスピーチを行った。本セッションでは,女性と若者の能力強化はアフリカ社会の安定,産業の発展・高度化に直結するとの共通認識の下,開発,ビジネス,平和構築における女性と若者の能力強化に必要な方途や課題についてアフリカ各国から積極的な見解が出された。
各セッションにおける議論の概要は,議長サマリーとして発出された。参加者は,今次閣僚会合における議論を踏まえ,今後も国連,G20等の場で協働していくとの認識を共有した。

3.その他の成果

(1)南スーダン情勢に関する関係国会合
岸田大臣は,昨年12月以降悪化した南スーダン情勢の安定化に向け,ベンジャミン南スーダン外相及び近隣国代表(キインジ・ウガンダ外相付国務相,シデ・エチオピア財務経済開発担当国務相,ヤーシーン・スーダン財務・国家経済担当国務相,マガンガ・ケニア地方分権・計画省マクロ経済局長)との間で,南スーダン情勢に関する会合を主催した。同会合では,岸田大臣より,敵対行為停止合意違反の発生等の事態に対する懸念を表明するとともに,同国情勢の安定化に向けた南スーダン及び近隣国の努力を期待する旨述べ,我が国としての自衛隊派遣等の貢献を説明した。ベンジャミン南スーダン外相からは,同国の情勢安定化への決意と方針の説明がなされるとともに,近隣国出席者からは,対話による解決が重要であり南スーダンの当事者の努力を後押しするとの一致した見解が示され,事態解決への連携が確認された。

(2) 二国間会談等
岸田大臣は,本会合出席の機会を捉え,ビヤ・カメルーン大統領を表敬したほか,ヤン・カメルーン首相、ムココ=ムボンジョ・カメルーン外務大臣及びジョップ・マリ外務・アフリカ統合・国際協力大臣、サノ・ギニア国際協力大臣、カラバ・ザンビア外務大臣と二国間会談を行い,二国間関係の強化及び国際場裡における協力について協議を行った。また岸田大臣は,ンガヌ=ジュメシ・カメルーン経済・計画・国土整備大臣との間で6億円のノンプロ無償のE/N(交換公文)署名式を実施した。更に岸田大臣は,その他多くの出席関係者との間で懇談や挨拶を行なった。

4.評価

(1) 岸田大臣の2回目となるアフリカ訪問において,我が国がTICAD Vにおいて表明したODA1.4兆円を含む最大約3.2兆円の官民の取組を通じたアフリカ支援策を着実に実施していることを示し,我が国の対アフリカ外交及びTICADプロセスの信頼性に大きく資するものとなった。

(2) アフリカ側及び日本を含む開発パートナーの具体的施策をとりまとめた「横浜行動計画2013-2017別表」が今次会合にて全会一致で承認されたことにより,参加者が一致してTICAD Vで掲げた成果目標を国際的に拡げ,実現に向けた協力を深化させて行くことが可能となった。

(3)今次会合で議論された3つの議題(農業,ポスト2015年開発アジェンダ,女性と若者)は,アフリカが最も重視し,また国際社会全体が取り組むべきグローバルな課題である。これらの課題にTICADプロセスを通じ取り組むことは,日本外交の基本理念である国際協調主義に基づく「積極的平和主義」の実践そのものであり,日本が積極的平和主義を通じアフリカの発展と平和の定着に引き続き貢献する姿勢を強く示す機会となった。

(4)本会合の機会に行われた南スーダン情勢に関する関係国会合や各国との二国間会談を通じて,南スーダン情勢に関する我が国の懸念を伝達すると共に,同国情勢への対応における主要各国との連携を確認し,各国との関係強化を図ることができた。また,中央アフリカ情勢やサヘル地域情勢についても,各国との会談において我が国の貢献等を伝達し,我が国の積極的平和主義に基づくアフリカの平和と安定への貢献を印象づけることができた。

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