第7節 サブサハラ・アフリカ
アフリカは、豊富な資源と増大する人口を背景に高い経済成長を遂げ、輸入先、市場及び製造拠点として高い潜在性を有することから、国際社会の注目を集め、経済面における重要性を増している。また、サブサハラ・アフリカ49か国との友好関係は、国際場裏における日本への支持獲得という政治的側面からも重要である。
一方で、同地域は、政治的混乱、テロといった安全保障上の脅威、貧困や感染症といった開発課題を抱える。これら不安定要因の克服に貢献することは、アフリカの安定のみならず国際社会全体の安定の観点からも重要であり、さらに、国際社会の信頼を獲得することにもつながる。
こうした対アフリカ外交の重要性を踏まえ、2014年1月、安倍総理大臣はアフリカ(コートジボワール、モザンビーク、エチオピア)を訪問し、エチオピアにて実施したアフリカ政策スピーチにおいて、女性・若者などの人材育成を中心とする日本の支援や日本との経済関係強化の魅力を訴えたほか、各国でトップセールスを推進した。また、「積極的平和主義」の一環として、アフリカの紛争・災害への対応のため、約3.2億米ドルの支援の用意があることを表明した。5月には岸田外務大臣が共同議長を務め、第1回TICAD V(第5回アフリカ開発会議)閣僚会合を、34人の閣僚級代表の出席を得て、ヤウンデ(カメルーン)で開催し、TICAD Vで表明した支援策の着実な進展を報告した。
国内においては、安倍総理大臣のアフリカ訪問を受け「アフリカ経済戦略会議」を加藤官房副長官の下に設置し、アフリカの経済成長を日本の経済成長に取り込むべく政府全体での体制を構築した。また、「『日本再興戦略』改訂2014」には、アフリカの広域市場創設につながる地域経済共同体(RECs)の取組を促すことが明記された。
さらに、官民一体となった取組を進める観点から、8月に「アフリカ貿易・投資促進官民合同ミッション」をエチオピア、ルワンダ、タンザニアに派遣した。また、12月にはTICAD官民円卓会議第2回会合を開催し、日本政府の対アフリカ支援やビジネス促進に向けた施策に関する情報共有と意見交換を日本の経済界と行った。
平和と安定の分野では、アフリカに所在するPKO訓練センターへの支援を通じた能力強化、南スーダン及びソマリア沖・アデン湾への自衛隊派遣などの取組を継続している。2014年に西アフリカで流行が拡大したエボラ出血熱に対しては、人間の安全保障の観点から、国際社会と連携して切れ目ない支援を実施している。