アフリカ開発会議(TICAD)
TICAD官民円卓会議第2回会合
平成27年1月15日
1.日時
平成26年12月24日(水曜日)14時30分~16時30分
2.場所
外務省講堂(新庁舎7階)
3.出席者
- (1)外務省(丸山アフリカ部長,石兼国際協力局長他),経済産業省,財務省,政府系機関(JICA,JBIC,JOGMEC,JETRO,NEXI),その他関係省庁
- (2)経団連,経済同友会,民間企業47社の関係者
- (3)逢沢一郎日AU議連会長,在京国際機関,その他団体
4.議題
- (1)我が国支援策(含む対アフリカ・ビジネス促進)の進捗状況に関する政府及び関係機関側からの報告及び民間側コメント・質疑応答
- (2)次回TICADアフリカ開催に関する意見交換
5.議事概要
- (1)冒頭,外務省より,本会合の趣旨について述べるとともに,エボラ出血熱に対する政府の支援実施状況について述べた上で,エボラ出血熱の流行の拡大阻止や治療等のみならず,予防や保健システムの再構築といった支援も重視し,今後も適時適切に切れ目のない支援を行っていく旨述べた。また,本日の会合が初のアフリカ開催となる次回TICADに向け,アフリカでのビジネス機会の発掘及び拡大に向けた官民連携が一層強化される機会となることを期待する旨述べた。
- (2)野路経団連サブサハラ地域委員会委員長より,TICADVの開催に先立って経団連としてODAの有効活用を提言し,それが戦略的マスタープラン,産業人材育成センターとABEイニシアティブ等の日本の支援策として結実し,これら施策を着実に実施されていることを評価する,2014年11月,戦略的マスタープランと産業人材育成に関してフォローアップの加速化を求める提言を経団連として発表した旨述べた。
また,同年1月の安倍総理のアフリカ訪問を契機に民間での日アフリカ交流の機会が拡大し,アフリカからの日本の技術やビジネスに対する期待はこれまで以上に高まっており,経団連としてもこれにしっかり応え,日本企業の対アフリカ・ビジネスが拡大していくよう官民協力を着実に進めたい旨述べた。 - (3)加瀬経団連サブサハラ地域委員会共同委員長より,アフリカでリスクをとり,これまで以上に日本企業がアフリカでのビジネスを拡大していくためには,TICADVの際や安倍総理のアフリカ歴訪の際に各国首脳にお願いしてきたように現地のビジネス環境改善を推進する必要があり,政府の更なる支援を求めたい旨述べた。
- (4)関山経済同友会アフリカ委員会委員長より,政府による日本企業の対アフリカ進出支援が着実に実施されていることを評価する,アフリカでのビジネス拡大にはまだ多くの課題が存在しており,経済同友会として2014年4月に作成した報告書で指摘している課題が解消され,オールジャパンでアフリカ開発支援が本格的に展開されることを期待している旨述べた。
また,経済同友会として政府のODA大綱の見直しに併せて,本年10月に意見書を作成しており,日本の強みを活かした国際協力が具体化されることを期待している,アフリカ開発には包括的なアプローチが必要となっており,ビジネスの観点から経済同友会としても官民連携の強化に協力していきたい旨述べた。エボラ出血熱については、正しい情報の下で必要な予防策を着実に実施し、アフリカへの進出を進めていくことが必要との旨述べた。 - (5)我が国支援策(含む対アフリカ・ビジネス促進)の進捗状況に関する政府及び関係機関側からの報告
- (ア)外務省
- アフリカにおける円借款の進捗状況について説明するとともに,2014年8月に実施したアフリカ貿易・投資促進官民合同ミッションの派遣(エチオピア,ルワンダ,タンザニア),投資協定交渉の現状等現地のビジネス環境改善に向けた取組の進捗状況について報告。
- (イ)JICA
- 戦略的マスタープラン,産業政策アドバイザー,TICAD産業人材育成センター,アフリカの若者のための産業人材育成イニシアティブ(ABEイニシアティブ)の進捗状況と課題について説明するとともに,ABEイニシアティブで来日した学生と日本企業のマッチングに向けたインターン機会の拡大及び産業政策アドバイザーとなる人材の推薦について参加企業に協力を要請。
- (ウ)経済産業省
- TICADVの際に「信頼できるビジネスパートナー」をテーマに打ち出した支援策(日本企業のアフリカ進出・投資促進,インフラ整備の推進,雇用創出・人材育成,環境分野の協力・地域社会との共生)の進捗状況について説明。
- (エ)JETRO
- JETROのアフリカ戦略「四つの車輪」(日本企業の対アフリカ投資支援,日・アフリカ双方向の貿易拡大,日本企業のインフラ整備参画支援,アフリカの地場産業や人材育成に貢献)の進捗状況について説明。
- (オ)JOGMEC
- 民間企業による資源投資促進,地質リモート・センシングセンター等を通じた人材育成,鉱山防止等セミナー開催などの進捗状況について説明するとともに,JOGMECのアフリカにおける共同探査・開発の活動状況について報告。
- (カ)NEXI
- アフリカ向け貿易保険引受方針の緩和の取組及び実績等について説明するとともに,アフリカ向け投融資の更なる促進を図るため,カントリーリスクの掛け目をゼロとする新たな「アフリカ投融資促進特別保険」について紹介。
- (キ)財務省
- 日本企業のアフリカでのビジネス活動を支援するために円借款を積極的に活用すること,世銀グループやアフリカ開発銀行(AfDB)との協調融資等を活用した現地企業とのパートナーシップ形成を引き続き支援していく方針を説明。
- (ク)JBIC
- アフリカ貿易投資促進ファシリティの仕組み,2013年及び14年の主要承諾案件の進捗状況について説明。
- (ケ)総務省
- アフリカにおける情報通信事情(利用人口の大幅増),ボツワナにおける地上デジタル放送日本方式を起点としたICT技術協力,光海底ケーブルの敷設,緊急対応ICTユニット(MDRU)の導入促進の進捗状況について説明。
- (コ)農水省
- 民間投資の連携によるフードバリューチェーン(FVC)の構築と日本の技術を活かしたアフリカにおける農業開発支援のそれぞれの具体的事例として,南アにて立ち上げ予定のFVC実務レベル会合を説明し,関心企業の積極的な参加を依頼するとともに,アグリビジネス展開・促進実証モデル事業,農業アドバイザーの派遣による農産品等輸出促進,市場志向型農業・食産業発展促進プロジェクト等の進捗状況について説明。
- (サ)国交省
- 海外交通・都市開発事業支援機構(JOIN)の概要について説明するとともに,将来アフリカでの港湾運営でJOINを活用していきたい旨発言。
- (6)民間側コメント・意見交換
参加者から出された主な質問及び意見は以下のとおり。- (ア)アフリカにおける日本企業の円借款の受注率を上げるための具体的な方法について。
- (イ)ビジネス支援のみならず,アフリカが抱える貧困問題(食料自給率の改善など)の解決に向けた政府の具体的な取組について。
- (ウ)対アフリカ・ビジネスの面的展開を図っていく上で重要な要素となる地域開発や地域統合の旗振り役である地域経済共同体(RECs)との連携について。
- (エ)アフリカ開発銀行より,2014年1月に立ち上げた対アフリカ・ビジネスの情報ポータルサイトであるAB-NETの進捗状況について発言。
- (7)次回TICADアフリカ開催に関する意見交換
- (ア)外務省より,次回TICAD首脳会議のアフリカ開催に向けた調整状況について説明の上,TICADVのフォローアップの意見交換及び次回TICADへのアイデアづくりの場として円卓会議を活用し,2016年の次回TICADのアフリカ開催に向けて日本企業のアフリカ進出を一層促進させるための官民の取組や支援策のあり方について,民間側との議論を一層深めていく旨述べた。
- (イ)参加者より,日アフリカ貿易の更なる拡大のためアフリカからの輸入関税の無税無枠化の拡大を検討してほしい旨の発言があった。
- (8)逢沢日AU議連会長より,本会合の開催を歓迎し,日AU議連としてもアフリカ側からの次回TICAD開催の要請をしっかりと受け止め,官民で協力して次回TICADに向けて取り組んでいきたい旨発言。また,日本におけるアフリカに対する関心は高まっており,ビジネスを通じて官民でアフリカの将来を切り開いていくとともに,人材育成,農業,保健・衛生等の分野でもしっかりとした支援が行えるよう,国連におけるポスト2015年開発アジェンダの議論の動向や目下の資源価格下落のアフリカ経済に与える影響等について日AU議連としても注視しつつ,政治面から対応していきたい旨発言。
- (9)閉会
外務省より,これまでの議論を総括するとともに,次回TICAD首脳会議の初のアフリカ開催が日アフリカ関係強化のみならず,日本企業の対アフリカ・ビジネスを一層促進する機会となるよう,官民で連携を強化していきたい旨述べた。