2 中南米地域情勢
(1)政治情勢
2014年には、エルサルバドル、コスタリカ、パナマ、コロンビア、ブラジル、ボリビア、アンティグア・バーブーダ、ウルグアイ、ドミニカ国で大統領選挙や総選挙が行われた(政権交代の詳細については87ページの図「2014年の主な出来事(各国・地域別)」参照)。6月から7月にかけて国際サッカー連盟(FIFA)ワールドカップ(W杯)が開催されたブラジルでは、10月に大統領選挙が行われルセーフ大統領が再選された。
また、地域統合機構においても、1月末に第2回CELAC首脳会合、6月及び12月にSICA首脳会合、12月にイベロアメリカ・サミット、UNASUR首脳会合など様々なハイレベル協議が行われた。
12月には米国とキューバ外交関係再構築に向けた動きが発表され、今後の動向が注目される。
(2)地域経済情勢
2014年、中南米地域全体としての経済成長率は1.1%となり、2009年以来最も低い成長率となったが、パナマとドミニカ共和国が6.0%、ボリビアが5.2%、コロンビアが4.8%、ニカラグアが4.5%など、一部の国では高成長を記録した。一方、失業率は比較的低く(6.1%)、2014年は減速したものの経済が安定的に成長していることにより、中間層の拡大と貧困層の漸次縮小が進んでおり、格差の是正が進んでいる。
中南米地域最大の経済規模を擁するブラジルの成長率は0.3%と、中南米諸国の平均値(1.1%)より低くなる見込みである。しかし、2016年のリオデジャネイロ夏季オリンピック・パラリンピックを控え、今後、インフラを中心とする内需拡大と経済活性化が見込まれる。中南米地域第2位の経済規模を誇るメキシコは米州市場への玄関口でもある。自動車関連分野を中心に、日本を始め世界各国から企業進出が相次いでいる。また、ペニャ・ニエト政権は、財政やエネルギーなどの長年の諸課題についての改革に精力的に取り組んでおり、国内経済の活性化や海外からの投資拡大を目指している。
中南米地域は、世界でも有数の食料供給地域であるとともに重要資源の供給地である。銀、銅、亜鉛、鉄鉱石、石油などの重要資源や、電気自動車などの電池用として今後大幅な需要増が見込まれるリチウムを始めとする希少金属(レアメタル)の主要産地でもある。近年は、シェール・ガスの主要埋蔵地として、アルゼンチン(埋蔵推定量世界第2位)、メキシコ(同第4位)にも注目が集まっている。原油の確認埋蔵量世界1位のベネズエラの経済状況、中南米地域における一次産品価格の変動の影響や一部の国における資源の国家管理強化といった懸念材料はあるものの、中南米諸国の持つ潜在力は高い。また、パナマ運河は2015年の拡張工事完了を予定しており、引き続き世界物流の要衝であり続けることが見込まれている。






私は7歳の時に両親とともにブラジルに移住、帰化して以来、「ブラジル人女性」として人生の大半を過ごし、現在は、ブルーツリー・ホテルズ(この名前は私の苗字、青木から取りました)というホテルチェーンを経営しています。
私のような女性の企業経営者というのはブラジルでは珍しくありません。私の昔からの友人で、年商1兆円に迫ろうとしているブラジル家電量販チェーンのオーナー社長であるルイーザ・トラジャーノもその一人ですが、私は彼女が旗振り役を務める「ムリェーレス・ド・ブラジル(=ブラジルの女性達)」というグループで、官民一体による女性社会進出支援活動にも力を入れています。
このグループのもう一人の大切な仲間であり、官側を代表するのがブラジル初の女性大統領であるジルマ・ルセーフ大統領です。つい先日も「女性らしい視点で屈託のない意見を聞きたい」ということで、首都ブラジリアにこのグループの女性経営者80人が招待され、3人の女性大臣と共に、ブラジルの教育水準の向上、女性経営者・役員の育成、慈善活動方途などについて意見交換をしてきました。女性ばかりの集まりではありますが、決して男性に対抗するような思想のものではなく、ブラジル社会全体がより良くなるよう、人を育てる・活かすという女性的な強みをベースに活動しています。

世界最大の日系社会があるブラジルでは、もちろん「日系人女性」も様々な分野で活躍しています。昨年8月、安倍総理大臣がブラジルにいらした際には、そんな活躍する日系人女性達を我が家にお招きし、安倍総理大臣夫人を囲んで昼食(せっかくの機会ですのでブラジルの郷土料理であるフェイジョアーダ(黒豆と豚肉の煮込み料理)を出してみました)をとりながら、ブラジルで活躍する女性の社会進出について意見交換させていただきました。

よく「男性は競争を好み、女性は協調を好む」と言われますが、イケイケドンドンの時代が終わった今、女性の「競争を避け、仲間を巻き込み、みんなで一緒により良い場所を目指す」という考え方は、世界の平和にとって、とても大切なもののように思います。ブラジルはその歴史上、戦争とは縁の遠い国ではありますが、今思えば、国内あちこちで「女性」が活躍していることも、もしかしたら関連性があるのかもしれません。
ブラジルでは「結婚相手にしたい理想的な女性像の世界一は日本人」とも言われますが、そんなポテンシャル高き日本人女性ですから、家庭でも社会でも大活躍し、公私共に「世界一の理想的女性像」として、世界中の女性のお手本になって頂けると思い、希望で胸が膨らみます。
2015年は日ブラジル外交関係樹立120周年。今回ご紹介したような「官民一体となった女性活躍支援」なども含めて、ブラジルには、日本の皆様にとって参考になるものも多々あるかと思いますので、ぜひ多くの方々に興味を持って頂き、そして足を運んでいただけたら嬉しく思います。
ムイント・オブリガーダ!(どうもありがとうございました!)
ブルーツリー・ホテルズ&リゾーツ 代表取締役社長 青木 智栄子