ウクライナ

平成28年4月6日
ポロシェンコ・ウクライナ大統領を出迎える安倍総理大臣
(写真提供:内閣広報室)
儀じょう隊による栄誉礼及び儀じょう
(写真提供:内閣広報室)

 6日午後6時から約1時間40分(最後の30分は少人数会合),安倍晋三内閣総理大臣は,実務訪問賓客として訪日中のペトロ・ポロシェンコ・ウクライナ大統領(H. E. Mr. Petro Poroshenko, President of Ukraine)と会談を行ったところ,概要は以下のとおりです。

  • 画像1
    握手を交わす両首脳
    (写真提供:内閣広報室)
  • 画像2
    日・ウクライナ首脳会談
    (写真提供:内閣広報室)
  • 画像2
    日・ウクライナ首脳会談
    (写真提供:内閣広報室)
共同記者発表に臨む両首脳
(写真提供:内閣広報室)
共同記者発表
(写真提供:内閣広報室)

 会談後,両首脳は共同記者発表を行いました。次いで,安倍総理大臣夫妻主催の夕食会が行われ,文化及び青年・スポーツ交流を含む,両国関係の幅広い話題に会話が及びました。

1 冒頭

(1)安倍総理から,ポロシェンコ大統領の訪日を歓迎するとともに,本日は率直かつ真剣な意見交換を期待する,ポロシェンコ大統領の訪日を契機に二国間関係を更に発展させていきたい旨述べました。

(2)これに対して,ポロシェンコ大統領からは,今回の日本側の招待に謝意が表明されるとともに,経済・貿易,原子力安全,人的交流等の幅広い分野で日本との関係を強化させていきたい旨述べました。

2 ウクライナ情勢

(1)安倍総理からは,日本はこれまでウクライナ情勢の平和的解決に尽力してきており,来月のG7伊勢志摩サミットでは,議長国としてウクライナ情勢についてG7の議論をしっかりとリードしていく旨の決意を表明するとともに,ウクライナ情勢の厳しさは理解するが,ミンスク合意の履行以外に道はない,ウクライナによるミンスク合意の完全履行が重要であり,今こそ具体的成果を示していくべきである旨述べました。

(2)これに対して,ポロシェンコ大統領からは,ウクライナ情勢の現状につき詳細に説明があるとともに,来月のG7伊勢志摩サミットにおける日本のイニシアティブに期待が示されました。

3 ウクライナの国内改革と対ウクライナ支援

(1)安倍総理から,ウクライナが強靱性と持続性を持つ国になることを強く期待しており,今こそ,改革の一層の加速が不可欠である,その上でウクライナが改革を進める限り,日本は表明済みの約18.5億ドルの支援を着実に実施し,ウクライナの改革努力を後押ししていく旨述べました。

(2)さらに安倍総理から,3月の世界銀行との3億ドルの協調融資の実現を歓迎するとともに,1月に決定した約15億円の支援を通じて,ウクライナ東部の国民の生活状況の改善等に貢献していきたい旨述べました。また,安倍総理は,4月の日本貿易保険による300億円の短期貿易保険引受枠の再設定や1月のキエフへの日本人金融専門家の派遣等を通じて,引き続き,ウクライナの経済状況の回復を支援していく旨述べました。また、ポロシェンコ大統領の関心が高いエネルギー分野で協力が着実に進展していることを歓迎しました。

(3)これに対して,ポロシェンコ大統領からは,日本の支援に改めて謝意が表明されるとともに,汚職対策や財政再建等の国内改革の加速に向けた力強いコミットメントが示されました。さらにポロシェンコ大統領からは,日本とのインフラ協力やエネルギー協力の一層の進展に期待が示されました。

(4)安倍総理からは,ポロシェンコ大統領の改革に向けた決意を心強く思っている旨述べました。

4 二国間関係

(1)安倍総理からは,人的交流の分野では,本年6月1日からの外交査証免除の相互運用開始の決定は大きな成果,また昨年度に引き続き,今年度も約100名のウクライナ関係者を研修のために日本に招へいする予定である旨述べました。また,経済分野では,昨年11月の日ウクライナ投資協定の発効を歓迎するとともに,適切な時期にJETROミッション派遣や第6回日ウクライナ経済合同会議を実施したい旨述べ,日本企業のウクライナ市場への一層の進出に期待を示しました。

(2)さらに安倍総理からは,本年は福島第一原発事故から5年,チェルノブイリ原発事故から30年という節目の年であり,第4回原発事故後協力合同委員会の年内開催を含め,福島・チェルノブイリ協力を更に推進していきたい旨述べました。また,安倍総理は,チェルノブイリ原発の使用済み燃料の中間貯蔵施設建設は極めて重要である点に言及しつつ,今回,日本は新たに約350万ユーロの追加拠出を決定した旨述べました。

(3)これに対し,ポロシェンコ大統領からは,日ウクライナ関係が順調に発展していることに満足の意が示されるとともに,外交関係25周年を機に2017年を「ウクライナにおける日本年」と位置づけたい,チェルノブイリ支援の分野でも日本との連携を強化したい旨述べました。

5 国際場裏における協力

(1)安倍総理からは,日本の常任理事国入りへのウクライナの支持に感謝を示すとともに,本年からウクライナとともに国連安保理非常任理事国に就任したことは喜ばしい,安保理を始め国際場裏での連携を強化したい旨述べ,北朝鮮の一連の挑発行動に対し,国際社会が断固とした対応をとることが極めて重要である旨を強調しました。

(2)これに対し,ポロシェンコ大統領からは,安保理における連携の結果,北朝鮮の核実験ミサイル発射を受けてのウクライナの措置につながった,安保理の議論を効果的に継続していきたい旨述べました。


ウクライナへ戻る