ドイツ連邦共和国

平成28年5月5日
ドイツ連邦共和国に到着した安倍総理大臣
(写真提供:内閣広報室)
メルケル独首相と握手する安倍総理大臣
(写真提供:内閣広報室)

 5月4日(水曜日)17時45分から約50分間(現地時間),ドイツを訪問中の安倍晋三内閣総理大臣は,ベルリンから約60kmに位置するメーゼベルク城(独政府迎賓館)において,アンゲラ・メルケル・ドイツ連邦共和国首相(H.E. Dr. Angela Merkel, Federal Chancellor of the Federal Republic of Germany)と会談を行い,さらに19時00分から約2時間,ワーキング・ディナーを実施したところ,概要は以下のとおりです。

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    日独首脳会談に臨む両首脳
    (代表撮影)
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    日独共同記者会見
    (写真提供:内閣広報室)
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    庭を散策する両首脳
    (代表撮影)

1 冒頭

(1)冒頭,メルケル首相から,安倍総理のドイツ訪問に対する歓迎と熊本地震についてお見舞いの言葉があり,世界の平和と安定に向け,G7において日独間でさらに協力を進めたい旨述べました。

(2)安倍総理から,3年連続の訪独をうれしく思う,日独は基本的価値を共有するグローバル・パートナーであり,メルケル首相と協力してG7伊勢志摩サミットを成功に導きたい旨述べました。

2 G7伊勢志摩サミット

(1)安倍総理から,世界経済を再活性化させるため,構造改革の加速化に合わせて,機動的な財政出動が求められており,伊勢志摩サミットでG7として一段と強いメッセージを発出したい旨述べました。メルケル首相が言うとおり,構造改革は最も重要であり,自分もアベノミクスの「三本目の矢」別ウィンドウで開くを最も重視しているとして,日本国内での政策について説明しました。

(2)メルケル首相からは,財政出動においては自分はフロントランナーではないが,金融政策,財政政策及び構造改革を同時に進めていくことが重要である旨述べ,特に民間投資喚起の重要性を指摘しました。また,メルケル首相から,為替の急激な変動は望ましくないとの発言があり,両首脳は,為替の安定に向け協力していくことで一致しました。

(3)両首脳は,構造改革と財政出動をバランスをとって進めていくことの重要性について完全に一致し,シェルパによる話し合いを経て,伊勢志摩サミットにおいて首脳間でさらに議論を継続し,G7としてのメッセージをまとめることを確認しました。

(4)安倍総理から,伊勢志摩サミットにおいて,テロ・中東,ロシア・ウクライナ等について議論を行いたいと述べ,特に,国際社会の最優先課題であるテロと暴力的過激主義について,両首脳は,普遍的価値を共有するG7が先頭に立って取り組んでいく必要があることを確認しました。

3 二国間関係

(1)安倍総理は,日独は基本的価値を共有するグローバル・パートナーであり,アジアと欧州の主要リーダーとして,国際社会の諸課題への対処において重要な役割を担っている旨述べました。両首脳は,このような認識の下,日本の「平和安全法制」(PDF)別ウィンドウで開くの成立を契機に,日独が連携して,国際社会の平和と安定に一層積極的に貢献していくことを確認し,来月に開催予定の日独外務・防衛当局者間協議を通じた対話を継続していくとともに,本年中にサイバー協議を立ち上げることで一致しました。

(2)両首脳は,日独が科学技術とイノベーションで世界をリードしており,先週,日本の経済産業省とドイツの経済エネルギー省の間でIoTとインダストリー4.0に関する共同声明が発表別ウィンドウで開くされたことを歓迎しました。さらに,メルケル首相から,来年のCeBIT(情報通信見本市)への安倍総理の招待と日本のパートナー国としての参加希望が述べられ,安倍総理からは,諸般の事情が許せば出席したい旨述べました。

(3)このほか,両首脳は,デュッセルドルフ日本商工会議所設立50周年を歓迎するとともに,中小企業連携や日EU・EPAを更に進展させていくことを確認しました。

(4)安倍総理から,緊密な日独関係を一層強化するべく,ガウク大統領を日本に招待したい旨伝達し,メルケル首相から,ガウク大統領は日本への関心が高く,訪日を楽しみにしている旨述べました。

(5)両首脳は,ベルリン日独センターと日独フォーラムが人的・知的交流における重要なツールであることを確認し,引き続き積極的に活用していくことで一致しました。

4 地域情勢

(1)両首脳は,ウクライナ情勢,東アジア情勢,中東情勢,難民問題といった地域情勢について幅広く議論し,踏み込んだ意見交換を行いました。

(2)特に両首脳は,東アジア情勢について,国際社会における力による一方的な現状変更の試みは,法の支配といった普遍的価値に基づく国際秩序への挑戦であり,受け入れられない点につき一致しました。また,北朝鮮の核・ミサイル開発は地域のみならず国際社会の平和と安全に対する重大な脅威である点を確認しました。メルケル首相からは,先般の日韓合意を高く評価するとともに,これが北朝鮮への対応にも良い影響を与えることを期待している旨述べました。

(3)ウクライナ情勢に関し,安倍総理は,先月訪日したポロシェンコ大統領に対し,ミンスク合意の完全履行と国内改革の加速を求めるとともに,ウクライナが改革を進める限り日本はその努力を後押しする旨述べました。メルケル首相からは,ノルマンディー・フォーマットでの努力を継続し,ウクライナが状況改善への努力とともに,選挙法改正等の改革を進めていくことが必要であると述べました。その上で,両首脳は,ウクライナに加え,シリアやISIL等についても,ロシアが建設的な役割を果たしていくことが重要であるとの認識で一致しました。

5 国連安保理改革

 両首脳は,国連安保理改革について,G4の連携が重要であるとの認識で一致し,引き続き協力していくことで一致しました。

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