アメリカ合衆国

令和4年9月8日

日米安全保障体制について

1 日米安保総論

 日本を取り巻く安全保障環境が格段に速いスピードで厳しさと不確実性を増している中、日米安保体制を強化し、日米同盟の抑止力を向上させていくことは、日本の平和と安全のみならず、アジア太平洋地域の平和と安定にとって不可欠である。日米両国は、首脳間の強力な信頼関係の下で日米同盟がかつてなく強固である中、ガイドライン及び平和安全法制の下で、日米同盟の抑止力・対処力を一層強化しており、弾道ミサイル防衛、サイバー、宇宙、海洋安全保障などの幅広い分野における協力を拡大・強化している。さらに、普天間飛行場の移設や在沖縄海兵隊約9,000人のグアム等への国外移転を始めとする在日米軍再編についても、在日米軍の抑止力を維持しつつ、沖縄を始めとする地元の負担を軽減するため、日米で緊密に連携して取り組んできている。

2 各分野における日米安保・防衛協力の状況

ア 「日米防衛協力のための指針(ガイドライン)」の下での取組

 2015年4月の日米安全保障協議委員会(「2+2」)において公表したガイドラインは、日米両国の防衛協力について、一般的な大枠及び政策的な方向性を見直し、更新したものである。同ガイドラインの下で設置された同盟調整メカニズム(ACM)を通じて、日米両国は緊密な情報共有及び共通情勢認識の構築を行い、平時から緊急事態まで「切れ目のない」対応を実施してきている。2017年8月に開催された「2+2」において日米の4閣僚は、両国の各々の役割、任務及び能力の見直しを通じたものを含め、同盟の更なる強化のための方策の特定を進めていくことで一致するとともに、米国の核戦力を含むあらゆる種類の能力を通じた日本の安全に対する同盟のコミットメントを再確認した。また、2018年2月にミリ-米国陸軍参謀総長、4月にハリス米国太平洋軍司令官、6月にマティス米国国防長官及びデービッドソン米国インド太平洋軍司令官、8月にネラー米国海兵隊司令官が訪日するなど、ハイレベルの人的交流が活発に行われている。加えて、2018年3月及び10月には日米拡大抑止協議を開催し、日米同盟の抑止力を確保する方途について率直な意見交換を行った。このような多層的な取組を通じ、米国との間で安全保障・防衛協力を引き続き推進し、同盟の抑止力・対処力を一層強化していく。

イ 弾道ミサイル防衛(BMD)

 日本は、2006年以降実施している能力向上型迎撃ミサイル(SM-3ブロックIIA)の日米共同開発及び共同生産の着実な実施を始め、米国との協力を継続的に行いつつ、2017年には陸上配備型イージス・システム(イージス・アショア)の導入を決定するなど、BMDシステムの着実な整備に努めており、いかなる事態においても北朝鮮による弾道ミサイルの脅威から国民の生命・財産を守るべく、万全の態勢をとっている。

ウ サイバー

 日米両国は、2018年7月に第6回日米サイバー対話を米国・ワシントンDCにて開催した。日米両国の政府横断的な取組の必要性を踏まえ、2017年7月に開催された第5回対話等のフォローアップを行うとともに、日米双方の関係者が、情勢認識、両国におけるサイバー政策、国際場裏における協力、能力構築支援等、サイバーに関する日米協力について幅広い議論を行った。

エ 宇宙

 日米両国は、2018年7月の包括的宇宙対話や安全保障分野における宇宙協議などにおいて、宇宙に関する幅広い協力の在り方について議論を行った。日米両国は、宇宙状況監視(SSA)情報等の相互提供、ホステッド・ペイロード(人工衛星へのミッション器材の相乗り)協力の具体的検討等、宇宙の安全保障分野での協力を引き続き進めていく。2018年10月には米空軍宇宙コマンド主催の多国間机上演習「シュリーバー演習」に初参加した。

オ 3か国間協力

 日米両国は、インド太平洋地域における同盟国やパートナーとの安全保障・防衛協力を重視している。特に、日米両国は、オーストラリア、インド又は韓国との3か国間協力を着実に推進してきている。2018年6月及び11月の日米首脳会談等においても、これらの国々との3か国間の協力は、日米が共有する安全保障上の利益を増進し、インド太平洋地域の安全保障環境の改善に資するものであることが確認された。また、2018年11月に初の日米印首脳会合が行われ、3か国の協力がインド太平洋地域の安定と繁栄にとって極めて重要な意義を有することを確認し、特に海洋安全保障や地域連結性強化の分野において、協力を強化していくことで一致した。

カ 情報保全

 情報保全は、同盟関係における協力を進める上で決定的に重要な役割を果たすものである。こうした観点から、日米両国は、情報保全に係る協力を強化すべく、引き続き協議を行っている。

キ 海洋安全保障

 日米両国は、ASEAN地域フォーラム(ARF)や東アジア首脳会議(EAS)などの場で、海洋をめぐる問題を国際法にのっとって解決することの重要性を訴えている。2015年4月に公表した新ガイドラインにおいても、日米両国は、航行の自由を含む国際法に基づく海洋秩序を維持するための措置に関し、相互に緊密に協力するとしている。また、日米両国は、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向け、インド太平洋地域諸国で様々なプロジェクトや協力を実施している。

ク 東日本大震災への対応における日米協力

 2011年3月に発生した東日本大震災へ共同で対処した際の日米間の緊密かつ効果的な協力は、両国間の特別な絆を証明し、同盟の深化に大きく寄与した。特に米軍は「トモダチ作戦」の下、自衛隊と緊密に連携をとりながら、ほかに類を見ない規模の人道支援、災害救援等を実施し、自衛隊の活動を支援した。この大規模な共同対処の成功は、自衛隊と米軍との高い相互運用性を証明するものであり、長年の日米安保協力の成果を実証した。今回の震災及び原発事故対処の教訓を踏まえ、日米両国は、日米の多様な事態へ対処する能力を更に強化すべく、協議を重ねている(トモダチ作戦の概要等については、参考資料1参照)。

3 在日米軍再編

 2017年2月の日米共同声明において、日米両政府は、普天間飛行場の代替施設をキャンプ・シュワブ辺野古崎地区及びこれに隣接する水域に建設することが、普天間飛行場の継続的な使用を回避するための唯一の解決策であることを首脳レベルの文書で初めて確認した。また、2017年8月の「2+2」共同発表、2017年11月の日米首脳ワーキングランチ及び日米首脳会談や2018年4月の日米首脳会談において、日米両国は、在日米軍の強固なプレゼンスを維持する観点から、地元への影響を軽減し、在日米軍のプレゼンス及び活動に対する地元の支持を高めると同時に、運用能力及び抑止力の維持を目的とした既存の取決めを実施することについてのコミットメントを再確認した。在沖縄海兵隊約9,000人のグアム等国外への移転(グアム移転は2020年代前半に開始)や、2013年4月の「沖縄における在日米軍施設・区域に関する統合計画」に基づく嘉手納以南の土地返還等についても、引き続き、着実に計画を実施すべく日米間で緊密に連携していく。2017年12月に北部訓練場の過半(約4,000ヘクタール)、2018年3月にはキャンプ瑞慶覧西普天間住宅地区(約51ヘクタール)の引渡しが行われたほか、2017年7月には普天間飛行場の東側沿いの土地(約4ヘクタール)、2018年3月には、牧港補給地区の国道58号線沿いの土地(約3ヘクタール)の返還が実現した。この返還に伴い、沖縄南部地域の大動脈である国道58号線が拡幅されれば、地域住民の日常生活の妨げとなっている交通渋滞を緩和し、多くの県民の生活環境の改善に資することになる。

 また、2017年8月に開始された、2006年5月の「再編実施のための日米のロードマップ」に基づく厚木飛行場から岩国飛行場への空母艦載機の移駐について、2018年3月に全ての航空機部隊の移駐が完了した。この移駐により、人口密集地に所在している厚木飛行場周辺の住民が長い間負ってきた騒音等の負担が軽減することになる。さらに、同ロードマップに基づく、普天間飛行場の緊急時における航空機の受入れ機能の新田原基地及び築城基地への移転に関し、2018年10月には機能移転に必要となる施設整備について合意した。

  政府としては、早期の辺野古への移設と普天間飛行場の返還を含む在日米軍再編を着実に進め、在日米軍の抑止力を維持しつつ、沖縄を始めとする地元の負担軽減に引き続き全力で取り組んでいく。

4 在日米軍駐留経費負担(「同盟強靱化予算」)

 政府は、日本を取り巻く安全保障環境が厳しさを増すなかで、在日米軍の安定的な駐留を確保し、日米安保体制の円滑かつ効果的な運用を実現していくことが重要であるとの観点から、日米地位協定の範囲内で、米軍施設・区域の土地の借料、提供施設整備(FIP)費などを負担しているほか、特別協定を締結して、在日米軍の労務費、光熱水料等及び訓練移転費等を負担している。2022年4月1日に発効した新たな特別協定(下記参照)においては、これらに加え、在日米軍の即応性の確保のみならず、自衛隊と米軍の相互運用性の向上にも資する訓練資機材の調達に関連する経費を負担することとなった。

 日米両政府は、前特別協定の有効期間が2022年3月31日までであることを踏まえ、協議を行った結果、2022年2月7日に新たな特別協定に署名し、同協定は同年3月25日に国会の承認を得て、同年4月1日に発効した。新たな特別協定の期間は5年間(2022年4月1日から2027年3月31日)であり、概要以下のとおり。

  • (1)労務費 日本側が新たな特別協定に基づき労務費を負担する労働者数は、全労働者数のうち23,178人とする。この内訳は、福利厚生施設で働く労働者が3,893人であり、装備品の維持・整備や各種事務等に従事する労働者数が19,285人である。(注)人事院勧告等に基づく賃金の変更は、各年度の労務費に適切に反映される。
  • (2)光熱水料等 日本側が各年度に負担する光熱水料等を、令和4年度及び令和5年度は234億円、令和6年度は151億円、令和7年度及び令和8年度は133億円とする。
  • (3)訓練資機材調達費 在日米軍の即応性の確保のみならず、自衛隊の能力強化にも資する施設・区域内に設置される訓練資機材の調達に関連する経費を負担する。新たな特別協定の有効期間において、日本側が負担する訓練資機材調達費を総額200億円とする。(予算要求のための全ての必要な手続の完了を前提とする。)
  • (4)訓練移転費 日本側が各年度に負担する訓練移転費を、令和3年度の予算額(約114億円)と同水準とする。アラスカを航空機訓練移転先の対象とする。
     なお、新たな特別協定に合意するに際して、日本側の経費を用いて日米同盟を一層強化する基盤を構築することで一致したことを受け、日本側は、「在日米軍駐留経費負担」の通称を「同盟強靱化予算」とすることとした。新たな特別協定の対象期間における「同盟強靱化予算」は、年平均で約2,110億円となっている。

5 在日米軍の駐留に関する諸問題

 日米安保体制の円滑かつ効果的な運用とその要である在日米軍の安定的な駐留の確保のためには、在日米軍の活動が周辺の住民に与える負担を軽減し、米軍の駐留に関する住民の理解と支持を得ることが重要である。特に、在日米軍の施設・区域が集中する沖縄の負担軽減を進める重要性については、2018年4月の日米首脳会談を始め、累次の機会に日米間で確認してきている。日本政府は、在日米軍再編に引き続き取り組む一方で、2015年に締結された日米地位協定の環境補足協定、2017年に締結された日米地位協定の軍属補足協定の着実な実施を含め、米軍関係者による事件・事故の防止、米軍機による騒音の軽減、在日米軍の施設・区域における環境問題等の在日米軍の駐留に関する様々な具体的な問題について、地元の要望を踏まえ、改善に向けて最大限の努力を払ってきている。

 2018年3月には、沖縄県の20人の高校生・大学生等を米国に派遣する第1回「アメリカで沖縄の未来を考える」(TOFU:Think of Okinawa's Future in the United States)プログラムを開始した。このプログラムは、沖縄の若者が同盟国・米国のありのままの姿、国際社会における日本の役割を目の当たりにする機会を設け、現地の要人・若者らと英語で交流することを通じ相互理解の増進を図ることを目的としたものである。2019年第2回プログラムでは、24人の高校生・大学生を米国に派遣。今後も本事業を通じ、沖縄の国際化に向けた取組にも貢献していく。

6 朝鮮国連軍と在日米軍

 1950年6月の朝鮮戦争の勃発に伴い、同月の国連安保理決議第83号及び同年7月の同決議第84号に基づき、同年7月に朝鮮国連軍が創設された。1953年7月の休戦協定成立を経た後、1957年7月に朝鮮国連軍司令部が韓国・ソウルに移されたことに伴い、日本に朝鮮国連軍後方司令部が設立された。現在、同後方司令部は、横田飛行場に設置され、司令官ほか4人が常駐しているほか、9か国の駐在武官が朝鮮国連軍連絡将校として在京各国大使館に常駐している。

 朝鮮国連軍は、日本との国連軍地位協定第5条に基づき、朝鮮国連軍に対して兵たん上の援助を与えるため必要な最小限度の在日米軍施設・区域を使用できる。現在、朝鮮国連軍には、キャンプ座間、横須賀海軍施設、佐世保海軍施設、横田飛行場、嘉手納飛行場、普天間飛行場及びホワイトビーチ地区の7か所の使用が認められている。

アメリカ合衆国へ戻る