インドネシア共和国

平成27年3月23日
(写真提供:内閣広報室)
(写真提供:内閣広報室)
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 3月23日午後6時10分頃から約45分間,安倍総理大臣は,公式実務訪問賓客として訪日中のジョコ・ウィドド・インドネシア大統領と会談を行ったところ,概要は以下のとおり。
 会談終了後,共同記者発表において,「日本・インドネシア共同声明 -海洋と民主主義に支えられた戦略的パートナーシップの更なる強化に向けて-(骨子(PDF)別ウィンドウで開く仮訳(PDF)別ウィンドウで開く英文(PDF)別ウィンドウで開く)」が発出された。

1 冒頭

 安倍総理から,ジョコ大統領とは,昨年11月の北京APEC以来の会談となるが,ASEANの国以外の最初の二国間の訪問先として日本を選ばれたことを歓迎する,自分(総理)も,就任後初の外遊でインドネシアを訪問したと述べた。
 また,同じアジアの海洋国家・民主主義国家であるインドネシアとの「戦略的パートナーシップ」の強化を重視しており,両国の互恵的関係を抜本的に強化し,共に地域と国際社会の繁栄に貢献したい旨述べた。
 ジョコ大統領からは,日本政府の招待に対する謝意と共に,経済,政治・安全保障といった様々な分野で両国の「戦略的パートナーシップ」を一層深化させたい旨の発言があった。

2 二国間関係

(1)政治・安全保障

 安倍総理から,日本は戦後70年間一貫して平和国家として歩み,アジアや世界の繁栄に貢献してきたとして,今後もその歩みは不変であると述べた。また,国際協調主義に基づく「積極的平和主義」の立場から,今後も地域と国際社会の平和と安定に一層貢献していく,この一環として安保法制の整備を推進中であり,大統領からも理解・支持を得たいと述べた。さらに,安全保障・防衛協力推進のため,外務・防衛閣僚協議の調整を進めたい,今般の防衛協力・交流の覚書の署名を歓迎する旨を述べた。
 また,安倍総理から,昨日(22日),防衛大学校の卒業式に出席したが,インドネシアからの留学生も4名が卒業を迎えていた,大変優秀であると伺っており,引き続きインドネシアからの留学生の派遣を期待する旨述べた。
 これに対し,ジョコ大統領からは,今般の防衛協力・交流の覚書の署名を歓迎するとともに,外務・防衛担当閣僚会議の早期開催を期待するとの発言があった。

(2)海洋協力

 安倍総理から,開かれ安定した海洋は地域の繁栄に不可欠であるとして,ジョコ大統領の「海洋国家構想」への支持を改めて伝達した。また,前回のジョコ大統領との会談後,両国の協力が開始されたことを歓迎する,今回立ち上げる海洋フォーラムを通じ,海洋安全や産業振興等の協力を進めたいと述べた。また,鯨を含む海洋生物資源の持続可能な利用につき理解を得たいと述べた。
 これに対し,ジョコ大統領からは,日本からの沿岸警備への協力や,船舶や水産物加工への投資につき期待が示され,両首脳は,海洋フォーラムを通じて,今後,両国の協力を進めていくことで一致した。

(3)経済・経済協力

 安倍総理から,互恵的経済関係は両国の戦略的パートナーシップの重要な柱であり,日本からの投資は2014年は45億ドルに達し,引き続き活発であるとして,このような関係を共に一層強化すべく,投資を拡大して輸出促進につなげる両国のイニシアティブ「プロモシ」(注:インドネシア語で「促進」の意味)に合意したいと述べた。
 また,安倍総理から,この「プロモシ」では,質の高いインフラの整備によるビジネス・投資環境整備を進め,ジャカルタ都市高速鉄道等の中核案件を推進していくとして,ジャカルタ都市高速鉄道の南北線及び東西線,ジャワ-スマトラ連系送電線の三案件について,約1400億円の円借款供与を決定したことを伝達した。また,安倍総理は,裾野産業等での産業人材育成も強化していく,ジョコ大統領が進める地方開発,格差是正も支援すると述べ,個別の案件についても,両国間の協力や議論を深化させたいと述べた。
 これに対し,ジョコ大統領から,日インドネシアEPAの一般的な見直しを進めたいとの要望が示され,両首脳は,見直しを進めていくことを確認した。
 また,ジョコ大統領から,発電,港湾,道路,高速道路,経済特区内の工業団地の整備等の分野で日本の投資を期待している旨述べ,両首脳は,投資拡大と輸出促進を通じ,両国の互恵的な経済関係を一層強化すべく,協力を深めていくことで一致した。

(4)人的・文化交流

 安倍総理から,今後,JENESYS2.0や「文化のWA」プロジェクトを通じ,この分野での協力を更に深めていきたい旨を述べた。ジョコ大統領からは,農業分野でのインドネシア青年の研修の受入れについて期待が示された。

3 地域・国際社会の課題

 安倍総理からは,地域の枠組みにつき,今年はASEAN共同体構築やEAS10周年の節目の年であり,ASEANを主導するインドネシアと連携し,貢献したい旨を述べた。また,北朝鮮について,核,ミサイルは脅威である,拉致問題は重大な人権侵害であり,自分の政権で解決する旨を述べた。
 南シナ海の問題について,安倍総理から,「法の支配」に基づく対応が重要であり,ASEANのリーダーであるインドネシアの一層積極的な関与を期待する旨を述べた。これに対し,ジョコ大統領からは,南シナ海の問題について,インドネシアは,各方面に自制を求め,地域の平和に貢献していきたい旨述べた。
 この他,両首脳は,テロ・過激主義対策の重要性で一致した。総理からは,過激主義を生み出さない社会の構築が重要であるとして,6月に東京で開催する「アジアの平和構築と国民和解,民主化に関するハイレベル・セミナー」で,穏健主義を取り上げることを紹介した。
 4月のアジア・アフリカ会議については,ジョコ大統領から出席の招待があったのに対し,総理からは,同会議の成功に向け協力したい,日程調整がつけば是非自分自身が出席したいと述べた。


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