アジア

平成29年8月6日
第10回日・メコン外相会議1
第10回日・メコン外相会議2
第10回日・メコン外相会議3

 6日午後7時05分(現地時間)から約45分間,フィリピン・マニラにおいて,第10回日メコン外相会議が開催され,我が国から河野外務大臣が出席し議長を務めたところ,概要は以下のとおりです(メコン地域諸国から,ラオス人民民主共和国のサルムサイ・コンマシット外務大臣,カンボジア王国のプラック・ソコン上級大臣兼外務国際協力大臣,ミャンマー連邦共和国のチョウ・ティン外務大臣代行,タイ王国のドーン・ポラマットウィナイ外務大臣,ベトナム社会主義共和国のファム・ビン・ミン副首相兼外務大臣が出席。)。

1 冒頭

 河野大臣より,今般,日メコン外相会議が10回目を迎えることは喜ばしい,日本は,ハードインフラ整備やソフト面の協力を一貫して実施し,「新東京戦略2015(PDF)別ウィンドウで開く」採択以降は,連結性を強化し,グリーンメコンを実現するための支援を促進してきた,今次会議では,10年間の成果を振り返りつつ,連結性が抱える更なる課題に取り組むべく議論したい旨述べました。

2 日メコン協力

(1)河野大臣より,日メコン協力の進捗につき,以下のとおり述べました。

 この10年間でメコン地域は大きく成長。日本は,質の高いハードインフラの整備,電子通関を含む輸出設備の導入,人材育成,ミャンマー・ティラワ,ラオス・パクセーにおける東西経済回廊の開発といった支援を実施。ハード・ソフト両面を通じて,メコン地域の連結性を強化し,成長の加速化に貢献。日本とメコン地域の経済交流も活発化しており,メコン地域への日本企業の関心は顕著に高い。今後とも官民挙げて地域の発展を後押ししていく。人的交流も活発になっている。JENESYSや文化のWAプロジェクト等を通じ,人と人の連結性も一層深化させていきたい。

 「新東京戦略2015」は2年目を迎えたが,多くのプロジェクトが順調に実施されていることを高く評価。この1年間で,南部経済回廊を構成するカンボジアの国道5号線の改修事業ベトナムの南北高速道路建設事業を実施し,また,タイとの間で「産業人材育成に関する覚書」を締結するなど,ハード・ソフトの両面で,域内連結性強化に資する取組が進展。

 「日メコン連結性イニシアティブ(PDF)別ウィンドウで開く」実現のため立ち上げたシニアレベル・ワーキング・グループでは,優先的に実施すべきODAプロジェクトを特定。「生きた連結性」を実現していくにはシングルウィンドウの実現を含む通関の円滑・効率化やインフラの維持や管理に携わる人材育成等,ソフト面の課題への対処が必要。日本は,各国の通関制度の互換性や相互理解を深めるため,本年9月にメコン5か国の専門家を招いたワークショップを開催することを提案する。

 2008年の第一回日メコン外相会議で表明した日ASEAN統合基金を活用した「東西経済回廊・南部経済回廊物流効率化支援」は最終段階に到達しており,早期に支援を完了したい。また,日本はアジア開発銀行と協調し,東西経済回廊のボトルネックとなっているミャンマー・モーラミャインとコーカレー区間を整備中。物流の効率化に貢献したい。

(2)これに対し,メコン諸国より,日メコン協力10周年という記念すべき年に河野大臣が外務大臣に就任され,本日の会議に出席されたことを歓迎する,河野大臣は日メコンファミリーの一員である,日本の10年間の支援によってメコン地域の経済社会がめざましく発展したことに感謝,既存のプロジェクトを着実に実施するとともに,日メコン協力の次なるフェーズへ向けて,様々な課題に日本とメコン諸国で連携して取り組んでいきたい旨述べました。

3 地域・国際情勢

(1)河野大臣より,メコン地域の平和と安定は地域全体にとって極めて重要,この観点から,タイの新憲法の公布や,カンボジアの平穏且つ円滑な地方選挙の実施を歓迎する,ミャンマーの国民和解の達成のため,日本政府としては,今後も少数民族地域の復興支援を精力的に進めていく旨述べました。

(2)また,北朝鮮問題については,北朝鮮は,ここに集まる全ての国にとって重大かつ現実の脅威,実効的な圧力を強化する必要がある,拉致問題の早期解決に向けた理解と協力を期待する旨述べました。

(3)これに対し,メコン諸国より,地域の紛争を平和的な手段で解決し,域内の調和と安定を実現することが重要である旨述べました。


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