報道発表

インドに対する円借款に関する書簡の交換

平成29年3月31日

1 本31日(現地時間同日),インドの首都ニューデリーにおいて,我が方平松賢司駐インド大使と先方エス・セルヴァクマール財務省経済局長(Mr. S. Selvakumar, Joint Secretary, Department of Economic Affairs, Ministry of Finance, Government of India)との間で,総額3,713億4,500万円を限度とする円借款9件に関する書簡の交換が行われました。

2 対象案件の概要

(1)ムンバイ湾横断道路建設計画(第一期)(PDF)別ウィンドウで開く(1,447億9,500万円)
 この計画は,マハラシュトラ州ムンバイ都市圏において,半島側のムンバイ中心部からムンバイ湾を挟んだ東郊のナビムンバイを接続する総延長約22kmの海上道路を建設するものです。これにより,都市開発が計画されているナビムンバイ等への連結性向上を通じた経済成長の促進に寄与することが期待されます。

(2)デリー東部外環道路高度道路交通システム導入計画(PDF)別ウィンドウで開く(68億7,000万円)
 この計画は,デリー都市圏において,インド国道庁が建設中のデリー東部外環道路に高度道路交通システムを導入するものです。これにより,急増する交通量に対応できる円滑な交通システムの構築が図られ,当該都市圏の地域経済発展の促進を通じた連結性の強化及び産業競争力の強化に寄与することが期待されます。

(3)チェンナイ地下鉄建設計画(第五期)(PDF)別ウィンドウで開く(333億2,100万円)
 この計画は,インド第4位の人口を有するタミル・ナド州のチェンナイ都市圏及びその周辺人口密集地域において,大量高速輸送システムを建設するものです。これにより,増加する輸送需要への対応が図られ,都市のモビリティ向上,道路交通混雑の緩和と大気汚染,騒音等の交通公害対策が進展し,地域経済の発展及び都市環境の改善を通じた産業競争力の強化に寄与することが期待されます。

(4)貨物専用鉄道建設計画(電気機関車調達)(PDF)別ウィンドウで開く(1,084億5,600万円)
 この計画は,貨物専用鉄道の計画区間であるデリー~ムンバイ間において新線を建設する計画の一環として,高出力及び高速の機関車を導入するものです。これにより,今後高い経済成長が見込まれる貨物輸送需要への対応及び物流ネットワークの効率化が図られ,連結性の強化及び産業競争力の強化に寄与することが期待されます。

(5)ナガランド州森林管理計画(PDF)別ウィンドウで開く(62億2,400万円)
 この計画は,ナガランド州において,移動焼畑耕作地における森林の回復を行い,生計向上手段を提供するものです。これにより,森林生態系の改善及び移動焼畑耕作以外の生計手段の確保が図られ,持続可能な森林環境保全及び地域住民の生計向上を通じた持続的で包摂的な成長への支援に寄与することが期待されます。

(6)オディシャ州森林セクター開発計画(フェーズ2)別ウィンドウで開く(145億1,200万円)
 この計画は,オディシャ州において,持続的な森林管理,生物多様性保全活動及びコミュニティ開発支援を実施するものです。これにより,地域住民の生活基盤の強化を通じた森林生態系の保全が図られ,同地域の環境保全と地域社会経済の調和を通じた持続的で包摂的な成長への支援に寄与することが期待されます。

(7)アンドラ・プラデシュ州灌漑・生計改善計画(フェーズ2)(第一期)(PDF)別ウィンドウで開く(212億9,700万円)
 この計画は,アンドラ・プラデシュ州において,老朽化した灌漑施設を改修し,生産農家組織に対する包括的な営農体制構築を支援するものです。これにより,実灌漑面積の拡大,農業生産性の向上及び農家のマーケティング能力強化が図られ,事業対象地域の農家の生計改善及び農業バリューチェーンの構築を通じた産業競争力の強化及び持続的で包摂的な成長への支援に寄与することが期待されます。

(8)ラジャスタン州水資源セクター生計向上計画(第一期)(PDF)別ウィンドウで開く(137億2,500万円)
 この計画は,ラジャスタン州において,女性農民の参画に配慮のうえ,老朽化した灌漑施設の改修と市場需要に基づく営農支援等を行うものです。これにより,灌漑効率の向上及び農業生産性の向上が図られ,事業対象地域の農家の生計の向上及び女性の社会経済活動への参画促進を通じた産業競争力の強化及び持続的で包摂的な成長への支援に寄与することが期待されます。

(9)タミル・ナド州投資促進プログラム(フェーズ2)(PDF)別ウィンドウで開く(221億4,500万円)
 この計画は,タミル・ナド州において,民間投資促進や産業振興に関連する政策・制度の改善を促すとともに,主に道路,電力,上下水道等のインフラ整備の早期実現を推進するものです。これにより,同州における投資促進環境の整備が図られ,同州に対する海外直接投資の増加を通じた連結性の強化及び産業競争力の強化に寄与することが期待されます。

3 供与条件

(1)上記2(1)

(ア)金利円LIBOR+10bp(変動金利。下限は0.1%。コンサルティングサービス部分は年0.01%)
(イ)償還期間30年(10年の据置期間を含む。)
(ウ)調達条件一般アンタイド

(2)上記2(2),(3)及び(7)

(ア)金利年1.40%(コンサルティングサービス部分は年0.01%)
(イ)償還期間30年(10年の据置期間を含む。)
(ウ)調達条件一般アンタイド

(3)上記2(4)

(ア)金利円LIBOR+10bp(変動金利。下限は0.1%)
(イ)償還期間30年(10年の据置期間を含む。)
(ウ)調達条件一般アンタイド

(4)上記2(5)及び(6)

(ア)金利年0.30%(コンサルティングサービス部分は年0.01%)
(イ)償還期間40年(10年の据置期間を含む。)
(ウ)調達条件一般アンタイド(優先条件)

(5)上記2(8)

(ア)金利年0.70%(コンサルティングサービス部分は年0.01%)
(イ)償還期間15年(5年の据置期間を含む。)
(ウ)調達条件一般アンタイド

(6)上記2(9)

(ア)金利年1.40%
(イ)償還期間30年(10年の据置期間を含む。)
(ウ)調達条件一般アンタイド

4 また,上記2(3),(4),(5),(6),(7)及び(8)の案件は,我が国の気候変動分野の途上国支援策の一環として実施するものです。我が国は,2015年11月に「美しい星への行動 2.0(ACE2.0)」(PDF)別ウィンドウで開く」を発表し,2020年に官民合わせて約1兆3,000億円の気候変動対策支援を実施することを表明しました。我が国としては,温室効果ガスの削減と気候変動の影響の最小化のため,インドと引き続き連携していきます。

(参考)インド基礎データ
 インドは,面積約329万平方キロメートル(日本の約8.7倍),人口12億9,529万人,人口1人当たりの国民総所得(GNI)1,610米ドル(2015年,世界銀行)。


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