東アジア首脳会議(EAS)

令和元年11月4日
(写真1)東アジア首脳会議1(写真提供:内閣広報室) 東アジア首脳会議
(写真提供:内閣広報室)
(写真2)東アジア首脳会議2(写真提供:内閣広報室) 東アジア首脳会議
(写真提供:内閣広報室)
(写真3)東アジア首脳会議3(写真提供:内閣広報室) 東アジア首脳会議
(写真提供:内閣広報室)

 11月4日(月曜日)午後13時55分から午後16時25分(現地時間)まで,タイにおいて,東アジア首脳会議(East Asia Summit(EAS))が開催され,我が国から安倍総理大臣が出席したところ,概要は以下のとおりです。

1 EAS協力のレビューと今後の方向性

 冒頭,安倍総理から,過去7回のEAS参加を通じ,地域の政治・安全保障が直面する課題を首脳たちが話し合い,取り組む場としてEASほど重要な会議はないと実感しているとした上で,以下のとおり述べた。

(1)自由で開かれたインド太平洋

ア 安倍総理から,以下のとおり述べた。

  • (ア)今年,ASEAN自身が,一体性と中心性を示し,「インド太平洋に関するASEANアウトルック(AOIP)」を発表したことは,非常に画期的。
  • (イ)今年はまさに,ASEANの,ASEANによる,ASEANのための自由で開かれたインド太平洋の船出の年。
  • (ウ)地域の平和と繁栄の礎は,法の支配に基づく自由で開かれたインド太平洋であり,日本はこのAOIPを全面的に支持する。日本が掲げる「自由で開かれたインド太平洋」構想(FOIP)とのシナジーを実現し,AOIPの具体化実現に向け協力していきたい。
  • (エ)AOIPが掲げる原則の実現に向けて,日本は今まで以上に,法の支配に基づく海洋安全保障の強化,質の高いインフラを通じた連結性の強化,違法漁業対策を含む海洋資源の持続利用といった分野で,考え方を共有する全ての国々と協力していく。

イ 多くの参加国から,ASEANが本年発表した「インド太平洋に関するASEANアウトルック」を前向きに評価する発言があった。

(2)持続可能な経済発展

ア 安倍総理から,以下のとおり述べた。

  • (ア)地域の平和と繁栄のもう一つの礎は,国際ルールに基づく,開かれた公正な経済秩序。自分(安倍総理)が今年議長を務めたG20大阪サミットでも,自由,公正,無差別で透明性があり予測可能な安定した自由貿易及び投資環境という基本的原則を改めて確認した。
  • (イ)「質の高いインフラ投資に関するG20原則(PDF)別ウィンドウで開く」では,開放性,透明性,経済性,債務の持続可能性といった要素の重要性を確認。この原則に則った,質の高いインフラ投資の実践こそが,持続可能な経済成長に繋がる。日本は引き続き,主導的な役割を果たしていく。
  • (ウ)日本は,人材育成やインフラ整備などを通じて,ASEAN各国にLNG分野への支援を実施している。エネルギーアクセスと強靱性の向上や,エネルギー源の多様化,よりクリーンなエネルギー技術の推進をしていく。これらを通じ,地域におけるエネルギー安全保障の確保に貢献していく。
  • (エ)保護主義の動きが見られる中,RCEP交渉の進展は大きな成果。引き続きTPP11協定の着実な実施・拡大とインドを含む16か国でのRCEPの早期妥結を目指す。
  • (オ)「大阪トラック」やWTO改革を通じ,東アジア・ASEAN経済研究センター(ERIA)も最大限活用する。それとともに地域の自由で公正な経済秩序を推進していく。

イ これに対して,多くの国から自由貿易体制の重要性等について言及があった。

2 地域及び国際情勢

(1)南シナ海問題

ア 安倍総理から,以下のとおり述べた。

  • (ア)地域の平和と繁栄は挑戦を受けており,EAS参加国と深刻な懸念を共有する。
  • (イ)日本は,あらゆる一方的な現状変更の試みや他国に対する威圧に強く反対し,係争中の地形の非軍事化と国連海洋法条約に従った紛争の平和的解決を強く要請する。
  • (ウ)南シナ海行動規範(COC)が実効的で実質的な内容となることを強く期待する。国際法に合致し,全ての関係者の正当な権利や利益を侵害してはならない。
  • (エ)「法的・外交的プロセスの完全な尊重」や「航行及び上空飛行の自由」,「非軍 事化及び自制の重要性」といったASEANが掲げる基本原則を完全に支持する。

イ これに対し,多くの参加国が,航行及び上空飛行の自由,国際法の遵守,紛争の平和的解決の重要性について言及した。また,南シナ海行動規範(COC)について国際法と整合的であるべきとの意見が多く見られた。

(2)北朝鮮問題

ア 安倍総理から,以下のとおり述べた。

  • (ア)北朝鮮は,今年に入って20回以上,ミサイル発射を繰り返している。その目的がミサイル技術の向上にあることは明らかである。10月2日には,北朝鮮が発射したSLBMと見られる弾道ミサイルが我が国EEZ内に落下。
  • (イ)北朝鮮の弾道ミサイル発射安保理決議の明白な違反であり,日本のみならず,地域の平和と安全を深刻に脅かすものであり,強く非難する。
  • (ウ)北朝鮮の完全な非核化に向けた米国の取組を完全に支持する。
  • (エ)安保理決議に従って,北朝鮮の全ての大量破壊兵器及びあらゆる射程の弾道ミサイルの完全な,検証可能な,かつ,不可逆的な廃棄(CVID)を実現するため,国際社会が一体となって米朝プロセスを後押ししていくことが重要である。
  • (オ)具体的には,「瀬取り」対策を含め安保理決議の完全な履行の堅持が不可欠である。
  • (カ)拉致問題の早期解決に向けて各国による引き続きの協力を期待する。

イ これに対し,多くの参加国が,完全な非核化及び対話を通じた平和的解決の重要性について言及した。複数の国からミサイル発射への非難や国連安保理決議の遵守の重要性について言及があった。

(3)ラカイン情勢

安倍総理から,以下のとおり述べた。

ア 国際社会は,バングラデシュにおける支援の継続と共に,避難民帰還を引き続き後押しすべき。ASEANとの連携も重要。

イ 人権侵害疑惑につき,ミャンマー政府・国軍が適切な措置を取ることを強く期待。



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