アメリカ合衆国
日米外相会談
3月16日,岸田外務大臣は,訪日中のレックス・ティラソン米国国務長官(The Honorable Rex W.Tillerson, Secretary of State of the United States of America)との間で,午後2時15分から約1時間20分,日米外相会談を行い,その後の共同記者会見に引き続き,午後5時40分過ぎから約1時間弱,ワーキング・ディナーを行ったところ,概要以下のとおり。
1 冒頭・総論
岸田大臣から,就任後まもないタイミングでの日本訪問を歓迎する,特に,最初のアジア訪問先として日本を選択したことは,米国の日本,日米同盟重視の姿勢を示すものであり,高く評価する旨述べた。これに対し,ティラソン長官からは,国務長官として初めてのアジア諸国訪問先に日本を選んだことは,米国が日本との関係を重視していることを示している旨の発言があった。両者は,先般の日米首脳会談の結果を踏まえ,日米間の具体的協力をより一層進めていくことを確認した。
2 日米安全保障
(1)日米安保
両者は,首脳間の共同声明(PDF)において,米国は地域におけるプレゼンスを強化し,日本は地域首脳間の共同声明と国際社会の平和と安定確保のため,より大きな役割と責任を果たすことを強調していることを受けて,第1回の「2+2」閣僚会合の議題を議論し,早期に開催すべく,タイミングについて調整を加速していくことで一致した。
(2)沖縄
岸田大臣から,目に見える形で沖縄の負担を軽減していく必要があることを強調し,両者は,この点で日米双方が協力していくことで一致した。また,普天間飛行場の辺野古移設が唯一の解決策であることを改めて確認した。
3 アジア太平洋地域情勢
(1)北朝鮮
両者は,北朝鮮の核・ミサイル開発は断じて容認できないとの認識を共有しつつ,日米韓で連携して北朝鮮に対して挑発行動の自制,安保理決議等の遵守を強く求めていくことを確認し,中国の役割の重要性についても議論した。また,安全保障面を含め,日米及び日米韓の協力を進めていくことの重要性を確認した。
さらに,米国が対北朝鮮政策の見直しを進めている中,岸田大臣から,日本としての考えを伝え,両者は,しっかりと政策のすりあわせを行うとともに,今後とも連携を深め,日米が一致した立場を形成していくことを確認した。
また,岸田大臣から,拉致問題は我が国の主権及び国民の生命と安全に関わる重大な問題であり,安倍政権の最重要課題である旨述べ,両者は,日米で引き続き連携していくことを確認した。
(2)東アジア情勢
岸田大臣から,中国との関係改善に向けた日本の基本的立場を説明し,同時に,米国の尖閣諸島に対する力強いコミットメントを評価する旨述べた。また,首脳間の共同声明で,日米両国が東シナ海の平和と安定を確保するための協力を深めることを確認したことを踏まえ,ティラソン長官との間で協力のあり方について議論した。また,両者は,南シナ海の情勢について懸念を共有し,引き続き連携していくことを確認した。
4 同盟ネットワーク
岸田大臣から,日本は,視野をアジア太平洋からインド洋を経て中東・アフリカまで拡げ,インド太平洋の自由で開かれた海洋秩序を確保することにより,この広大な地域の安定と繁栄を支えていきたいとの考えを説明し,ティラソン長官との間で,日米同盟を基軸として,フィリピンやベトナム等のASEAN諸国やインド,オーストラリア等の有志国との重層的な協力関係を強化することが,地域の安定と繁栄にとって重要であるとの点で一致した。
5 日米経済関係
6 気候変動
岸田大臣から,パリ協定(PDF)を含む気候変動問題への対応は,国際社会で取り組むべきグローバルな問題であり,共に連携していきたい旨述べ,両者は,日米で引き続き意思疎通を続けていくことを確認した。