エネルギー安全保障

令和3年9月24日

1 経緯

  • (1)ソ連の崩壊に伴い、1991年、旧ソ連、東欧を含む欧州諸国、米、加、豪及び日本は、旧ソ連及び東欧諸国におけるエネルギー分野の市場原理に基づく改革の促進、並びに、エネルギー分野における企業活動(貿易及び投資)を全世界的に促進すること等を宣言する「欧州エネルギー憲章」(政治宣言。以下「憲章」)を作成しました。
  • (2)1994年12月、憲章の内容を実施するための法的枠組として、「エネルギー憲章に関する条約」(以下「条約」)を作成しました。条約は1998年4月16日に発効し、2018年11月現在、旧ソ連(ロシア・ベラルーシを除く)、東欧及びEU諸国等50か国及び2国際機関が条約を締結しています。日本は、1995年6月に条約に署名し、2002年7月に締約のための国会承認を得たことを受け、同月23日に受諾書の寄託を行いました(同年10月21日に日本について発効)。

2 条約の概要

 条約は、主として、エネルギー原料・産品の貿易及び通過の自由化並びにエネルギー分野における投資の保護等について規定しています。各分野の概要は次のとおりです。

(1)通商分野

ア 貿易

 エネルギー原料・産品の貿易が、基本的にGATT(関税及び貿易に関する一般協定)によって規律されること(すなわち、GATT締約国であるこの条約の締約国間で行われるエネルギー原料・産品の貿易はGATTによって規律され、また、GATT非締約国であるこの条約の締約国が関係する貿易についても、この条約により創設的に最恵国待遇の付与等、GATTの主要な規定が基本的に適用されること)を規定しています。

イ 通過

 エネルギー原料・産品の「通過」(3つ以上の地域(国)にまたがるパイプラインによる石油及び天然ガスの輸送並びに送電設備による電力の送電を想定)について、通過の自由の原則に従い、その出発地及び仕向地等による差別または不合理な制限等を行ってはならないことを規定しています。

(2)投資分野

 エネルギー分野における投資の保護に関し、一般的な二国間の投資保護協定と類似の内容(締約国が外国投資家の投資財産に対して内国民待遇(NT)又は最恵国待遇(MFN)のうち有利なものを付与すること、一定の要件を満たさない収用の禁止、送金の自由、紛争解決手続等)について規定しています。

(3)その他

3 条約の意義

  • (1)本条約は、エネルギー原料・産品の貿易の自由化及びエネルギー分野における投資の保護を図ることにより、供給国から需要国へのエネルギーの安定供給確保などを目的としています。
  • (2)我が国企業の投資環境の一層の改善を図り、また、投資受入国にとっても、優良な外国投資を誘致する条件を整備する上で、重要な法的基盤を提供するものです。

4 条約作成後の動き

(1)貿易関連部分の改正書

 1998年4月、エネルギー原料・産品の関税率のスタンドスティル(関税率を一定の税率を超えて引き上げないことを約束すること)の義務化及びWTO協定の作成に伴う当該協定の規定の条約への取り込みを内容とする改正書が採択されました(2010年1月に発効。ただし、日本は同改正書を批准しておらず、暫定的適用の除外申請を行っています。)。

(2)国際エネルギー憲章(IEC)

 2015年5月、エネルギー憲章に関連するプロセスを近代化するため、「国際エネルギー憲章」(IEC)閣僚会合がオランダのハーグにて開催され、日本を含む64の国と機関がIECに署名しました。2021年9月現在、我が国を含む92の国・機関がIECに署名しています。

(3)近代化交渉

 発効から20年以上が経過した本条約について、昨今のエネルギー情勢や投資協定の現状等を踏まえて条約の内容を近代化するため、条約改正に向けた議論が行われています。2019年に条約の近代化に係る交渉の開始を決定し、2020年から本格的に交渉が行われています。

5 エネルギー憲章会議

  • (1)条約の最高意思決定機関。最近は、おおむね毎年1回開催され、補助機関や事務局の活動等について決定しています。2016年、日本は議長国として、第27回会合を東京で開催しました。2021年の議長国はアルメニアで、12月14日・15日にエレバンで第32回会合が予定されています。
  • (2)憲章会議により設置される事務局がベルギー・ブリュッセルにあり、正規職員は16名、事務局長はウルバン・ルスナック氏(スロバキア出身)、副事務局長は日本人の廣瀬敦子氏が務めています。
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