
世界遺産条約採択40周年記念最終会合(概要と評価)
平成24年11月9日
1.概要
- (1)11月6日~8日,世界遺産条約採択40周年記念最終会合が,日本政府主催(外務省,文化庁,環境省,林野庁共催)のもと,ユネスコの協力を得て,我が国の世界遺産所在地の一つである京都において開催された。
- (2)本会合は,本年採択40周年を迎えた世界遺産条約のこれまでの成果を総括し,将来を展望するため,世界各地で開催された40周年関連記念行事の最終会合として開催されたもの。
- (3)本会合には,ボコバ・ユネスコ事務局長及びラオ・ユネスコ世界遺産センター所長はじめユネスコ関係者,ソック・アン世界遺産委員会議長(カンボジア副首相),ゲルーナス・リトアニア文化大臣はじめ本条約締約国政府関係者,UNDP(国連開発計画),世界銀行,UNWTO(世界観光機構)等国際機関関係者,国内外の専門家や世界遺産保護に携わる関係者等,世界60か国から約560名が参加し,「世界遺産と持続可能な開発:地域社会の役割」という40周年全体のテーマのもと,幅広い議論が行われた。また,議論の総括として,最終日には「京都ビジョン」と題する成果文書が取りまとめられ,発表された。
2.評価
- (1)ボコバ・ユネスコ事務局長や歴代世界遺産センター所長及び世界遺産委員会議長をはじめとする著名な専門家等,世界遺産の分野における主要な関係者の出席に加え,千玄室ユネスコ親善大使から記念の講演を頂き,我が国が世界遺産条約採択40周年の節目の年を締めくくる最終会合を主催したことにより,ユネスコ及び世界遺産の分野における我が国のプレゼンスを高めることができた。これに加えて,我が国の文化遺産及び自然遺産の保護に対する積極的な国際貢献を広く世界に知らしめることができ,昨年11月以来世界遺産委員会委員国を務める我が国の世界遺産条約への積極的な取組を印象づけることができた。
- (2)最終日に発表した「京都ビジョン」を通じ,今後の世界遺産条約の運用において,持続可能性の観点及び,世界遺産所在地の地域社会の参画が極めて重要であることを確認した。そしてその実現のため,グローバルな規模での財源の確保,世界遺産に関わる多層的なコミュニティ間の協力,地域社会や専門家,若者が早い段階から世界遺産保護へ参画すること等が必要である旨を国際社会に呼びかけ,条約の今後のあり方について一定の方向性を示すことができた。