4 中部アフリカ地域
(1)ガボン
8月に実施された大統領選挙で、軍・治安部隊の一部兵士が選挙結果の不正及び無効を主張し、国家機関の解体を宣言した後、オリギ・ンゲマ将軍が暫定大統領に、文民のンドン・シマ氏が首相に就任した。暫定政権は、民主的で公正な選挙や、新憲法採択のための国民投票の実施などを打ち出しており、汚職の追放や報道の自由の強化に取り組んでいる。
(2)カメルーン
カメルーン政府は、独立分離派と治安部隊の衝突が続く英語圏地域問題の解決に向けた取組を継続している。日本は、3月に無償資金協力「第二次南西州における保健センター及び給水所の改修を通じた復興計画(UNDP連携、供与額3億円)」、9月には国連世界食糧計画(WFP)6を通じた食糧援助(供与額2億円)に関する書簡の交換を行い、同国の平和と安定の強化に貢献している。
3月に実施された上院選挙では、ビヤ大統領率いる与党カメルーン人民民主連合(RDPC)が100議席中94議席を獲得し、強固な政権が維持されている。
(3)コンゴ民主共和国
コンゴ民主共和国は、チセケディ大統領の任期最後の年を迎え、12月20日に大統領選挙が行われた。日本は、同選挙が包摂的で安全な形で実施されるよう支援を行った。
東部地域では、武装勢力の動きが活発化し、多くの国内避難民及び難民が発生、人権・人道状況の悪化が深刻化した。そのような中、コンゴ民主共和国政府は、同国に展開する国連PKOの早期撤収を要請している。国際社会は、同PKOの段階的で責任のある、持続可能な撤収に向けた現実的で具体的な措置の重要性を指摘し、同国における治安部門改革を始めとする、ガバナンスの強化の必要性を強調している。日本は、国際機関と連携して、「地域の警察モデル」の再構築を通じた支援を行っている。
また、同国は豊富な重要鉱物資源、森林・水資源などを有しており、日本は、資源の利活用や電力インフラ分野の支援を含め、同国の社会経済発展に向けた協力を進めている。
(4)コンゴ共和国
コンゴ共和国は、6月、7か国のアフリカ首脳などによるウクライナ及びロシアへの和平ミッションに参加した。また、広大なコンゴ盆地を擁する同国は、気候変動課題にも積極的に取り組み、10月に三大熱帯雨林サミットを開催するなど、地域及び国際社会の課題に関与している。
一方、ロシアのウクライナ侵略による影響などを受けて国内経済が低迷し、経済の多角化が優先課題となっており、日本は、同国に対しWFPを通じた食糧援助を行った。10月には、サス=ンゲソ国際協力・官民連携相が訪日し、深澤陽一外務大臣政務官と会談を行い、双方は技術協力協定に関して原則同意に至ったことを歓迎したほか、官民の関係者との意見交換を通じた更なる二国間関係の強化に取り組むことを相互に確認した。
(5)サントメ・プリンシペ
貧困率が高いサントメ・プリンシペでは、ビラ・ノバ大統領が貧困削減に向けた経済の多角化に取り組んでいる。日本は食糧援助を実施しており、旧宗主国のポルトガルに次ぐ第2位の援助国となっている。これら食糧援助の見返り資金は、同国の経済社会開発のために活用されている。
(6)赤道ギニア
赤道ギニアは、2022年11月の大統領選挙で再選したオビアン・ンゲマ大統領の長期政権が維持されている。2月に同国の大陸部においてマールブルグ病の症例が確認されたが、6月に世界保健機関(WHO)7が同国のマールブルグ病の終息を宣言した。
(7)チャド
チャドでは、12月に新憲法に係る国民投票が実施され、民政移管に向けた進展が見られる。4月に発生したスーダン国内での衝突を受け、同国は40万人以上のスーダン難民を受け入れている。日本は、5月にチャドを含むスーダン周辺国における難民・帰還民に対する支援などを決定し、チャドに対する人道支援を行った。日本は、同国がサヘル地域やチャド湖地域の平和と安定において果たす役割を重要視し、その後押しを行い、食糧援助などを実施している。
(8)中央アフリカ
中央アフリカは、4月に国内の武装勢力5団体の解体を実現するなど、国内の和平プロセスを推進している。一方、多数の難民や国内避難民が存在しており、引き続き人道上の課題に直面している。日本は、9月にWFPを通じた食糧援助(2.5億円)に関する書簡の交換を行い、同国への人道支援を継続している。
7月に新憲法草案の国民投票が実施され、8月に中央アフリカ憲法裁判所は過半数の賛成票により同憲法の採択を宣言した。
6 WFP:World Food Programme
7 WHO:World Health Organization