外交青書・白書
第2章 地球儀を俯瞰する外交

3 イラン

7,000万人以上の人口を抱え、豊富な天然資源を有するイランは、中東地域の大国である。日本は、原油の安定供給や中東地域の安定確保の観点からイランとの伝統的な友好関係を維持・強化してきた。また、イランの核問題については、国際社会と協調しつつ、独自の立場から、同問題の平和的・外交的解決に向けて貢献を行っている。

2013年に国際社会との建設的協調を謳(うた)うローハニ政権が発足して以降、核問題をめぐるイランとEU(英仏独)+3(米中露)の協議に進展が見られている。同年11月24日、ジュネーブでの協議において、第1段階の措置及び最終段階の包括的合意の要素からなる「共同作業計画」が合意され、2014年1月20日から同計画の履行が開始された。また、2月からは、同年7月までに包括的合意に至ることを目指して、イランとEU3+3の協議が開始されたが、期限までに合意に至らず、7月19日に、11月24日まで協議を延長することが発表された。その後も、イランとEU3+3の交渉は断続的に行われたが、11月24日には、2015年6月30日まで共同作業計画を延長し、それまでに交渉合意を目指すことが発表された。12月には、ジュネーブにて、再延長後初の協議が行われた。

日本は、ローハニ政権発足直後から、ハイレベルの政治交流を始めとする重層的な二国間の対話の枠組みを通じて、イランとの伝統的な二国間関係のさらなる強化を図るとともに、核問題を含む地域・国際問題について、国際社会との信頼醸成を進めるようイランに対する働きかけを行ってきた。9月の国連総会出席の際の日・イラン首脳会談(2年連続での実施)などの累次の機会を捉えて、ローハニ大統領など、イラン側のハイレベルに対し、核問題の解決や中東地域の安定などに向けた積極的な働きかけを行ってきた。また、3月にザリーフ外相が、4月にはエブテカール副大統領兼環境庁長官が訪日するなど、日・イラン間での活発なハイレベルの往来が行われている。

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