岸田外務大臣

平成26年3月5日
ザリーフ・イラン外務大臣の訪日(1)
ザリーフ・イラン外務大臣の訪日(2)
ザリーフ・イラン外務大臣の訪日(3)

 ザリーフ・イラン外務大臣は,3月4日及び5日に日本を訪問し,安倍総理大臣を表敬するとともに,岸田外務大臣と日・イラン外相会談,共同記者会見及びワーキングディナーを行ったところ,概要は以下のとおりです。なお,両外相は日・イラン外相会談後に共同プレスリリース(和文(PDF)英文(PDF))を発表しました。

1.安倍総理大臣への表敬 (3月5日,17時35分から約15分間)

(1)日・イラン関係

 安倍総理から,外相としての初来日を歓迎する,昨年9月の日・イラン首脳会談以降,環境,麻薬対策,難民分野での協力が進展し,二国間交流が活発になっていることを喜ばしく思う旨述べました。これに対し,ザリーフ外相は,安倍総理をイランにお招きしたい,日本とは伝統的な友好関係を有しており,大変重要な関係である旨述べました。

(2)イランの核問題

 安倍総理から,イランの核問題を巡る交渉が最終合意に至るようイラン側が最大限の努力を行うよう求めるとともに,これまでのローハニ政権の努力を評価する,同問題の包括的な解決に向けて両国間で緊密に意見交換を行っていきたい旨述べました。これに対し,ザリーフ外相は,核交渉には善意をもって真摯に取り組んでいる,核問題の合意に向けた日本政府の役割に感謝しており,今後もその役割に期待したい旨述べました。

2.日・イラン外相会談 (同日19時から約40分間)

(1)総論

 冒頭,両外相は日・イラン間の伝統的友好関係を一層発展させていくとの認識で一致しました。また,ザリーフ外相からは,安倍総理に対するテヘラン訪問招請に言及しつつ,あらゆる分野で二国間の一層の協力強化に期待する旨の発言がありました。

(2)イランの核問題

 岸田大臣からザリーフ外相に対し,第一段階の措置の着実な実施と最終合意に向けた一層の努力を求めるとともに,核問題の解決のために,IAEA保障措置協定の追加議定書への迅速な締結,IAEAへの全面協力,CTBTの早期批准等を行うこと,周辺国の懸念を払拭するために原子力安全関連条約の締結について真剣な検討を行うことを働きかけました。また,岸田大臣から,核問題の包括的合意に向けて日本も積極的に関与する用意があり,核問題の解決により,経済を含む二国間関係が飛躍的に発展すると確信している旨述べました。
 これに対し,ザリーフ外相からは,核問題に対して誠意をもって真摯に取り組む旨の決意の表明がありました。また,ザリーフ外相は,共同作業計画を履行する上で日本の果たしている役割に謝意を表明するとともに,日本は共同作業計画の合意事項を履行しており,今後も日本が継続して役割を果たしていくことを期待する旨述べました。

3.共同記者会見 (同日19時45分から約20分間)

(1)岸田外務大臣による冒頭発言

 ザリーフ外相の訪日の成果として,共同プレスリリースが発表されたことにつき紹介がありました。また,核問題について,ローハニ政権の建設的な取組を高く評価するとともに,共同作業計画の着実な実施の観点から,日本政府として人道取引を含む日本企業の活動を積極的に支援する旨述べました。更に,ザリーフ外相に対し,問題解決に向けた積極的な取組を求めるとともに,日本として国際社会とともに最終合意の形成・履行に積極的に関与していくとの考えを伝えました。

(2)ザリーフ外務大臣による冒頭発言

 訪日における日本側の歓待に対する謝辞を述べるともに,共同プレスリリースにあるとおり様々な分野で二国間協力を進展させていくことが重要である旨述べました。また,両国は地域及び国際の平和と安定において共通の利害関係を有している,核問題に関して共同作業計画の着実な実施が重要であるが,速やかな実施に向けた日本の協力を多とする旨述べました。更に,イランは核問題の最終的な解決を真剣かつ誠実に目指しており,第一段階の措置とその後のプロセスにおける日本の貢献に対する期待を述べました。

(3)質疑応答

 両外相の冒頭発言の後,イランの核問題の解決に向けた日本の役割や日・イラン関係における今後の協力の在り方等に関して,質疑応答が行われました。

4.ワーキングディナー (同日20時10分から約65分間)

(1)日・イラン関係

 岸田大臣から,昨年9月の日・イラン首脳会談の際にローハニ・イラン大統領から提案のあった環境・麻薬分野での協力を着実に実施したい旨述べるとともに,ザリーフ外相に対して,オルミエ湖再生のための国連開発計画を通じた支援の決定や麻薬対策・難民支援の分野で国連薬物犯罪事務所,国際移住機関及び国連難民高等弁務官事務所への日本政府の拠出の決定等を紹介しました。また,岸田大臣からザリーフ外相に対して,日本企業はイランとの経済関係の拡大に関心を有しており,核問題が解決され,経済分野での両国の協力が新たな段階に進むことへの期待を伝えました。
 これに対し,ザリーフ外相は,環境分野での日・イラン協力やアフガニスタンにおける麻薬・難民対策といった分野において両国間で協力を行っていくことは有益であると述べました。また,ザリーフ外相から,日・イラン経済関係の改善と日本企業のイラン進出に対する期待が示されました。
 更に,両外相は,日・イラン文化協議の実施による文化交流の促進,受刑者移送に関する二国間条約交渉の早期妥結,国際場裏での建設的協力の推進等についても意見交換を行いました。

(2)地域情勢

 両外相は,レバノン,シリア,湾岸地域等の中東情勢について意見交換を行いました。また,アジア情勢について,岸田大臣からザリーフ外相に対し,日本にとって北朝鮮は重大かつ直接の脅威である旨伝えるとともに,拉致問題に対するイランの理解と協力を働きかけました。



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