外交青書・白書
第2章 地球儀を俯瞰する外交

4 アフガニスタン

2014年はアフガニスタンにとって転機の年となった。9月に同国史上初の民主的な政権交代が実現したほか、国際治安支援部隊(ISAF)が同年末に任務を終了し、治安権限がアフガニスタン治安部隊(ANSF)へ移譲された。一方、国内では依然としてタリバーンなどの反政府武装勢力によるテロ事件が頻発しており、同国の自立と安定を確保していくことは、日本を含む国際社会全体の安定と地域の繁栄のために重要な課題となっている。

2014年4月に開始された大統領選挙は、6月の決選投票後、ガーニ元財務相及びアブドッラー元外相の両候補者陣営が互いに相手の不正を主張し、全投票分の再集計が行われ、混迷を極めた。その間、2度にわたりケリー米国国務長官がアフガニスタンを訪問し仲介を行うなど、国際社会も事態の進展に向け尽力した。約半年間にわたる選挙プロセスの結果、9月21日にガーニ候補の勝利が発表され、同月29日に同候補が大統領に就任した。決選投票を戦ったアブドッラー候補は行政長官に就任し、政権運営の一翼を担うことになった。ガーニ大統領就任の翌日には、2015年以降も米国やNATO加盟国などの部隊が国内に駐留しANSFを支援することを可能にする米・アフガニスタン安全保障協定(BSA)及びNATO・アフガニスタン地位協定(SOFA)への署名が行われた。

新政権は、自立した経済体制の構築に向け、治安の改善や汚職対策などの課題に取り組んでいる。日本は、同国の自立を助け、再びテロの温床としないとの方針の下、2001年以降、治安・開発などの分野で総額約55億米ドルの支援を実施してきている。

2012年の「アフガニスタンに関する東京会合」において、国際社会が支援を約束する一方、アフガニスタン政府もガバナンス(統治)の改善などに取り組むことを約束する枠組み「相互責任に関する東京フレームワーク」が創設された。2014年12月に開催された「アフガニスタンに関するロンドン会合」では、この枠組みに基づく国際社会とアフガニスタン政府双方のコミットメントが再確認されるとともに、同枠組みの更なるフォローアップの必要性も確認された。ロンドン会合には、日本から髙橋駐アフガニスタン大使が出席し、新政権の自立的な発展及び改革に向けた取組を国際社会と共に支えていくとの姿勢を新政権に伝達した。

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