核軍縮・不拡散
グロッシー国際原子力機関(IAEA)事務局長の訪日(結果)
2月18日から20日まで、ラファエル・マリアーノ・グロッシー国際原子力機関(IAEA)事務局長(H.E. Dr. Rafael Mariano Grossi, Director General of the International Atomic Energy Agency)は、外務省賓客として訪日しました。グロッシー事務局長は、滞在中、石破内閣総理大臣への表敬、岩屋外務大臣との会談を始め、我が国政府要人と会談を行ったほか、福島県の訪問を含む視察や日本の民間組織との意見交換を行いました。今次訪日を通じて、(1)福島の復興に向けたプロセス、(2)原子力の平和的利用及び核不拡散といった、国内外における原子力をめぐる我が国とIAEAの協力を強化しました。概要は以下のとおりです。
1 政府関係者との面会
(1)石破総理大臣表敬(2月20日)

(2)岩屋外務大臣との会談及びワーキング・ディナー(2月18日)

(3)関係閣僚との会談
武藤経済産業大臣との会談(2月20日)

浅尾環境大臣との会談(2月20日)

2 視察
(1)東京電力柏崎刈羽原子力発電所視察(2月18日)

グロッシー事務局長は、東京電力柏崎刈羽原子力発電所を訪問し、同発電所における原子力安全や核セキュリティ対策の強化に向けた取組などを視察しました。
(2)福島県訪問(2月19日)

(グロッシー事務局長は同日行われた海水の採水を実施) (写真提供:IAEA)

グロッシー事務局長は、福島県を訪問し、ALPS処理水の海洋放出に関する追加的モニタリングの統括、除去土壌等の中間貯蔵施設の視察、東京電力福島第一原子力発電所内での小早川東京電力ホールディングス株式会社社長との会談を行いました。
3 その他
グロッシー事務局長は、国際協力機構(JICA)や日本原子力研究開発機構(JAEA)に加え、経済界との意見交換を行いました。また、日本記者クラブでの会見を行いました。
(参考)国際原子力機関(IAEA)による原子力の平和的利用
IAEAは、原子力の平和的利用を促進することを核不拡散と並ぶIAEAの二大目的の一つとしており、IAEAが有する原子力科学・技術に係る知識や経験、ネットワーク等を活用し、その加盟国に対して技術協力を実施し、国際社会における原子力の平和的利用の促進と、この活動を通じた加盟国の社会・経済の発展に取り組んでいます。原子力科学・技術は、原子力発電分野に加えて、保健・医療、食糧・農業、水・環境等、様々な分野に応用されており、IAEAは、これらの原子力技術の利用やその安全性・セキュリティの向上に向けて、専門家の派遣や研修生の受入れ、機材供与、情報提供等を行っています。
原子力の平和的利用は、核兵器不拡散条約(NPT)において、締約国の「奪い得ない権利」と規定され、同条約において軍縮、核不拡散に並ぶ3本柱の一つであり、原子力の平和的利用の促進にかかるIAEAの活動は、国際的な社会・経済の発展に資するだけでなく、NPTに基づく核軍縮・不拡散にかかる国際社会の努力にも貢献するものです。原子力の平和的利用は、地球規模課題の解決やSDGsの達成に資するものとして、近年ますます注目が高まっています。