報道発表
岩屋外務大臣とグロッシー国際原子力機関(IAEA)事務局長との会談及びワーキング・ディナー
令和7年2月18日



2月18日、午後7時30分頃から、岩屋毅外務大臣は、外務省賓客として訪日中のラファエル・マリアーノ・グロッシーIAEA事務局長(H.E. Mr. Rafael Mariano Grossi,Director General of the International Atomic Energy Agency)と会談(約20分間)及びワーキング・ディナー(約60分間)を実施したところ、概要は以下のとおりです。
- 福島の復興に向けた協力
岩屋大臣から、グロッシー事務局長が、滞在中に福島県を訪問予定であることに触れつつ、追加的モニタリングを始めとするALPS処理水の海洋放出への事務局長自身の力強いコミットメントを含め、福島の復興に向けた日本の取組に対する、IAEAによる科学的根拠に基づく中立的・専門的な立場からの協力に謝意を述べました。
これに対して、グロッシー事務局長は、今次訪問を通じて、日本の様々な取組について、その安全性を自ら確認する旨述べた上で、ALPS処理水の海洋放出について「最後の一滴」まで安全な放出を確認することを含め、IAEAとして引き続き、日本の取組に協力していく旨述べました。 - 原子力の平和的利用
岩屋大臣から、保健・医療、環境などの分野における原子力の平和的利用はSDGs達成に資するものであり、この促進に向けたグロッシー事務局長の取組を支持する旨、また、この取組を支えるべく、日本政府として、IAEAに対して、約1,400万ユーロの拠出を決定した旨、さらに、こうした取組における日本企業・機関との協力の一層の拡大に期待する旨述べました。
これに対して、グロッシー事務局長は、日本の支援に対する謝意を表した上で、世界的に拡大しつつある原子力需要に応えるため、日本の支援を通じて取組を強化する旨述べました。両者はガンの放射線治療の更なる普及に向けた協力につき検討していくことを確認しました。 - 国際・地域情勢
岩屋大臣から、国際情勢が厳しさを増す中で、核不拡散体制の礎石であるNPTとIAEAの取組の維持は一層重要である旨述べました。両者は、北朝鮮やイランの核問題、ウクライナにおける原子力安全等についても意見交換を行い、これらの分野において、引き続き緊密に連携することで一致しました。
(参考)この度支援を決定したIAEAの取組
- アフリカにおける保健・医療分野の支援(600万ユーロ)
IAEAの「Rays of Hope」イニシアティブの枠組で行われる、乳がんの早期検出のための機材(マンモグラフィ)支援等。 - 海洋放射能モニタリング(約200万ユーロ)
太平洋島嶼国を対象とした、海洋における放射能モニタリングに係る能力構築支援。 - ウクライナ支援(約520万ユーロ)
ウクライナの原子力施設において、IAEAが行う原子力安全・核セキュリティの確保及び保障措置関連活動等の技術・機材支援及び、眼腫瘍の治療のための技術・機材支援。 - イランにおける検証・監視活動の強化(約90万ユーロ)
IAEAによる検証・監視ミッションの派遣などを通じて、イラン核合意(JCPOA)下でのイランおける核関連コミットメントの検証・監視活動の強化を図るもの。