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平成9年3月
ヨーロッパ、アジアのいずれにおいても、民間企業が経済発展に寄与してきたことはまちがいない。今日、世界のいたるところで、民間企業は経済発展の原動力になっている。企業がもたらす大きな影響力は経済の範囲を超えて、社会の幅広い分野に及んでいる。
経済発展に対する民間企業の関与には、大規模な多国籍企業から中小企業までさまざまな形態があり、関与する産業分野も、製造業、農業、工業など多岐にわたっている。
アジアとヨーロッパの民間企業は、投資を促す環境づくりを重視している。民間企業は市場をめぐって競争をくりひろげる一方で、互いに協力する必要がある。この目的を達成するために、各企業は協力体制を確立して、お互いが繁栄できるプロセスを築くべきである。競争が激化し、両地域の相互依存関係が深まっているだけに、その必要性は一段と差し迫ったものになっている。
(1)ヨーロッパでもアジアでも、投資の決定は投資利潤に基づいて下される。これは、事業を展開する上での共通基盤となる基本原則である。
(2)政府は、投資を促す環境を整備する上で、重要な役割を果たすことができる。この役割は、政府と企業の開発目的を結ぶ重要な絆である。
(3)企業の外国支社支店長および経営幹部は、本社がさらに支援と理解を示すことを必要とする。これによって、アジアと欧州の企業の双方が、相互理解を一層深め、より緊密な情報交換を行なうことになる。
(4)ヨーロッパとアジアの企業幹部は、相手の地域の政治体制、商慣行、文化に対する知識が不足していると感じており、これらの知識を得るために一層の努力が必要であることに意見の一致を見ている。
二つの文化圏の間の相互理解を深めることの他、つぎの課題についても検討が必要である。
I.政府の役割
(1)政府は情報の透明性を促進し、情報公開につとめるべきである。海外直接投資と政府調達のしくみはさらに公開すべきである。
(2)政府は、経済、政治、社会を安定させるべきである。
(3)政府は、規制することによって、また反対に規制緩和を通じて、開かれた市場の確立を図るべきである。
(4)政府は海外投資家と国内投資家の利害の調整を図るべきである。
(5)政府は、より充実した教育制度を確立して、熟練労働者を育成し、異文化間の理解促進を図るべきである。
II.資金調達
投資決定のための資金調達、とりわけインフラストラクチャー整備のための資金調達の重要性に関しては、意見の一致をみている。
III.人的資源の開発
多くの参加者が、開発プロセスの基本的要素として、人的資源の開発が必要であることを認めている。この人的資源の開発に関しては、民間部門が重要な役割を果たすことができる。
IV.環境保護
参加者は、環境保護の必要性を民間部門にも反映させることが重要である、という点でも意見の一致をみた。
V.情報の透明性と情報の公開
最終的に、参加者は、民間部門の活動においても、開発過程においても、情報を自由に入手できることが最も重要であるとの結論に達した。政府と民間部門は共に情報の透明化、情報の公開を支援すべきである。